第13話 Gと都市
上空は快適だグリフォンが風魔法で風を制御して背中に乗っていても快適だ。そこでグリフォンから色々な話を聞いた。
この森の名前は魔獣の森。この森に触れるのは禁忌とされている。それは何故か。
1000年以上昔にこの森がある場所には国が有った。それが聖域の生命の実をめぐり争いとなり、それに怒った神により滅ぼされて森に呑まれた。魔力の濃い聖域の周りにはランクの高い魔獣が闊歩しており、とてもではないが手が出せない。それに神の祟りが怖い。
それで手付かずのままになっているが数十年前に森の近くに人族が城塞都市を築き、森の恵みを享受し始めた。
それもありグリフォンは生命の実を食するついでに監視しているのだとか。
その城砦都市の人達は、滅んだ国の末裔だという。その国の名前までは知らないといっていた。他にも国があり争いが絶え無いとかも言っていた。人種は愚かだとも。
時速300㎞くらいの速度で3時間程飛んだところで遠くに壁で囲まれた都市が見える。
《この辺で良いか?近くまで行くとうるさくての》と言って森の中へと降下。降りて挨拶、
「ありがとうございました」と言うと、
《またの》
と言って飛んで行く。
また会うの?
そう、彼は遠い未来にグリフォンとはまた出会う・・・・エンシェントドラゴンと共に。
話を戻そう。
森を見渡すと聖域や魔獣の森の奥とは違い木も標準の木だ。何かホッとする。それを南に30分程歩くと森から抜ける。遠くに城塞都市の壁が見える。そこまでは腰まで伸びる草が続いている。
ガサガサと草を掻き分ける音と共に角が生えたウサギが飛び出してくる。すかさず鑑定。
《ホーンラビット(G)・・・食べられる》
あああ、やっとGランク魔物だ!これだよこれ!これを待っていたよ!
ウサギは航平を認識すると角を突き出し助走からジャンプする。
ガンッと音がしてホーンラビットが頭をふらふらさせている。
ふふふ、結界完璧!
すぐにホーンラビットを結界で囲み、風魔法で中の空気を抜いていく。するとしばらくして、もがいたかと思えば痙攣して動かなくなる。
やった!普通魔物初討伐!
後ろ足を持ち、下に穴を開ける。首を風魔法で切って水魔法で血抜きをする。丁度良い高さで後ろ足を結界で固定して風魔法で小さな丸いカッターを作り無魔法で回転させて腹を捌いて内臓を取り出す。内臓を取り出したら小さな魔石を抜き取り収納する。
最後に穴を生活魔法の穴埋めで埋めれば終了だ。
こんな感じでホーンラビットを7羽討伐。2時間も歩くと城塞都市の門の前に到着する。すると上から、
「何用だ!」と声が掛かる。門の上から兵士が声を掛けているようだ。
「え〜と、討伐した魔物を売りたくて来ました!」と大声で返す。
「そうか、待っていろ!」と返ってくる。しばらくすると大きな門の横の小さな丈夫そうな扉が開き兵士が2人出てくる。
「手を上げろ!」と言われたので従い手を上げる。
「獲物はどうした?」
「はい、収納に入っています」
「ほう、収納持ちか」
航平は2人の兵士に挟まれて中へと入る。中に入るとそこにはもう1つ門と扉が2つ有った。どうやら2重になっているようだ。
航平は壁側にある扉に兵士に挟まれて入る。どうやら兵士の詰所のようだ。
「よし、そこに座れ」と粗末な椅子に腰掛ける。
「少し事情を聞かせてもらう」と2人の兵士よりも偉そうな人が前に座る。
「まずはどうしてここに来た?」
「えっと、獲物を売ってお金にしたいのと、出来れば仕事を探したいと思いまして」と答える。
「ふむ、どこから来た?」
「魔獣の森です」
「!!、魔獣の森だと!」
「はい」
「どうやってあんな所に住めていたんだ?」
「じいちゃんが結界を張って」
「結界?そのじいちゃんとは?」
「えっと、父母が物心着く前に死んでしまい、祖父に引き取られて育てられました。ですが祖父は変わり者の魔法使いだったらしく、仕えていた貴族様の所を辞めて私を連れて魔獣の森で結界を張り暮らしていました」と航平はここに着くまでに考えたカバーストーリーを話す。
「してその祖父は?」
「1ヶ月前に老衰で死にました」と俯く。
「そうか悪い事を聞いたな。食料とかはどうしていたんだ?」
「祖父の張る結界は大きく、中に畑を作り野菜や穀物を作り、肉は魔獣を狩って食べていました」
「祖父が仕えていた貴族様の名はわかるか?」
「いいえ、分かりません。死ぬ間際まで教えては貰えませんでした」
「そうか」と取調官は目を瞑り考える。暫くすると、
「分かった、これに手を当ててくれ」と机の上にある水晶を用意する。
「はい」と言って水晶に手を置くと青く光る。
「うん、犯罪歴は無いな。通常は入場税を取るのだが今は持ち合わせは無いのだろう?」
「はい、ありません」
「では後で冒険者ギルドに案内する。そこで登録して身分証を作れ。そうすれば獲物はギルドで売れる。その後にまたここに来い」
「はい、ありがとうございます」と頭を下げると、
「よし、お前。こいつをギルドまで連れてってやれ」と兵士に指示を出す。
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