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第126話 2人旅

コウとサイが港町に着いた頃には日が陰ってきた為に宿に1泊する事となった。ゆっくりと宿で休み翌日となると港へと2人で歩いていく。


2人は港に着くと防波堤に座り朝食にホットドックを食べコーヒーを啜る。朝日が海面を照らしてキラキラと光り、海鳥がその上を爽快に飛ぶ。


コウは食べ終わると収納から船を出して海面に浮かべてサイと共に乗り込んでいく。


コウは船を操船して港を出るとゆっくりと沖を目指す。心地良い陽気で風も穏やかだ。とても気分が良い。そこに、


「コウ、船は良いな。こんな小さい船で大丈夫なのか」とサイが聞いてくる。


「大丈夫だ。後で違うのに乗り換える」と言うと、


「おお、何だそれは!」とサイは無邪気に聞いてくるが、


「後でのお楽しみだ」とゆっくりと船を進める。


「ナブ、何か行き先にオススメは無いか?」


『はい、マスター。オススメでは無いのですが偶々ある現象を探査ポッドが捉えました』とナブが答えてコウの目の前に映像が浮かぶ。


その映像は地上を真上から撮影した物で、その映像に突然集団が現れる。


『マスター、これは転移での出現と考えられます。探査ポッドで近づいて調べましたが行き先は魔法陣の下に別の魔法陣があるらしく確認できませんでした』


「そうか面白そうだな。ここは何処だ?」


『はい、ここは魔物使いの集落がある周辺になります』と現在位置と行き先の地図が目の前に表示される。


「分かった。ありがとうナブ」


コウは収納から飛空挺を出して目の前に浮かべると飛空挺に乗り込んでいく。それを見たサイは慌ててコウに続く。


コウは船を収納にしまうとナブから示された方向へと飛空挺を設定して空を飛ぶ。雲の上まで上昇して水平飛行になると、


「おお、凄いなコウ」と目をキラキラさせながらサイは雲の下の海面を眺める。


「行き先を決めました」


「うん?何処だ?」とサイは振り返り尋ねる。


「魔物使いがいる大陸です」


「魔物使い・・」とサイは呟き外を眺める。


昼間は順調に進み日が陰ってくると上空で停止させて休む事にする。コウはソファーのテーブルに唐揚げやソーセージにサラダに簡単な漬物と言ったものを並べてビールを出す。


サイは既に涎が垂れていて食べ物に釘付けだ。


「さあ、食べましょうか」とコウが言うとサイは唐揚げをフォークで刺して齧ると満面の笑顔となる。


「いつ食べても、この唐揚げは美味いな」と言ってビールのプルタブを開けるとゴクゴクとビールを流し込む。


「プハァー!美味いな」とサイはご機嫌にソーセージも齧る。「これも美味い」とサイは呟きながら次々に食べていく。コウはそれを見ながら魔導ピアノに近づくと緩やかなジャズピアノを流す。


「ほう、良い音色で心地良いメロディーだな」とサイは感心するように目を瞑り曲に耳を傾ける。


コウはソファーに座り、ゆっくりとビールを飲んで一息入れる。すると、


「すまんなコウ」とサイが突然頭を下げる。


「何がですか?」とコウは首を傾げながら聞く。


「あの何だ。無理やりついて来てしまってな」と鼻の頭を掻きながらそっぽを向いていう。


「ああ、その事ですか。サイの事情も分かりますし1人旅よりも2人旅の方が楽しそうですから気にしていませんよ」とコウは笑顔で答える。


「それなら良いのだが、心地良すぎてな」と照れながらサイはいう。


「それは何よりです」と2人は顔を見合わせて笑う。


美味しいものを食べて美味しいお酒を飲んで静かに流れる曲を堪能する。2人にとっては至福となる時間が流れる。


◇◇◇


「父上、サイの奴が行ってしまいました」とライディスがロンドルに言うと、


「そうか」とだけ答える。


「魔法ギルドの件ですがサイの言った通りでした」とライディスは苦い顔をしながら言う。


「それが本当だとすると国が荒れるな」とロンドルは腕を組み苦しい顔をする。


「そうですね。今までは実力と魔法の杖がありましたから魔法ギルドも従っていましたが、これからはそうはいかないかと」


「ああ、分かっている。5家の方でも対策を練ってはいるが答えが出ない」


「いっその事、魔法ギルドに教えを請うては如何かと」


「5家が頭を下げると思うか」とロンドルはライディスを見るとライディスは首を振り、


「無理ですね」と溜め息を吐く。


その後、魔法国では魔法ギルドが主体となり魔法改革が進み、国の魔法師は衰退していくこととなる・・。


◇◇◇


数日間飛行を続けると大陸が見えてくる。


「どうやら目標の大陸のようですね」とコウが大陸を眺めると、


「おお、あれか」とサイも目を細めて見る。


「さて何が待ち受けているのでしょうか」とコウが言うと、


「楽しみだな」と2人は笑い合う。 

お読みいただきありがとうございます。


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