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第124話 襲撃

サイと行動を共にする様になってから2ヶ月が過ぎた。もうこの頃には魔法ギルドでのコウの講習も終わり不定期に追加講習を行うだけとなっていた。


ゆえにサイに対する講習が増えて、それと共にサイの魔法力もメキメキと上達していった。


サイは既に無魔法を自在に操り、特に得意としている属性の火、風、水魔法はかなりの腕前となり、更に索敵、身体強化などの補助魔法も覚え、驚く事に容量は少ないながらも収納魔法も習得している。


「コウ、この収納魔法は便利だな」とニッと笑顔を見せるサイ。眩しい。


「ですがサイの実力ならまだ容量は増やせる筈です。励みましょう」とはコウ。


「ふふふ、そうだな」とサイは楽しそう。


コウとサイは街の商店街を歩く。そこであれこれと購入して収納にしまいながら店を見ていく。


「サイ、もう講習は終わりでも良いのでは?」とコウは言うが、


「ははは、それはダメだ。コウといるのは楽しいからな。それに勉強になる。日々刺激があって充実している」と楽しそうに言うとコウは肩をすくめる。


「で、コウ。今日の昼飯は何だ?」と真剣なサイ。それを聞いたコウは溜め息を吐くと、


「今日の昼は唐揚げ、ソーセージ、卵焼きに焼きおにぎりです」


「おお、唐揚げは美味いな!楽しみだ」と鼻歌を歌いながら歩き出す。


◇◇◇


「父上、サイですがどうします」とサイの兄であるウルリス家の長男ライディス・ウルリスは父であり当主であるロンドル・ウルリスに問う。


「サイか・・・仕方があるまい。その邪魔な魔法師と共に消す。もう手遅れかもしれぬがな」とロンドルは腕を組み目を瞑る。


「しかし父上、イルの話では件の魔法師と対立するのは危険だと」


「仕方があるまい。これは5家の総意となる」


「ではサイは・・・」とライディスは呟き拳を握りしめる。


◇◇◇

その夜、コウとサイが泊まる宿周辺で50人の黒装束を着た者達が集まっている。どうやら10人が宿の周りを固めて40人が中へと侵入するようだ。


その40人は宿の警備をすり抜けコウとサイが泊まる部屋があるフロアへと辿り着く。


その廊下で20人がバックアップ。コウとサイの逃走経路を潰し、残り10人づつそれぞれがコウとサイの部屋へと音も立てずに侵入する。


侵入した黒装束はコウが寝息を立てているのを確認すると鋭利なナイフを懐から引き抜き、コウに突き立てるが、


「これはお客さまですね」とコウは無傷で起き上がる。


黒装束の男たちは素早くコウを囲むように移動する。


「国の暗部といった所でしょうか」とコウは楽しそうに言う。


黒装束の男たちは一斉にナイフを抜きコウへと迫るが・・・・結界に阻まれる。


「さてとサイが心配ですね」とベッドから降りると黒装束の男達を結界で囲み拘束。廊下へと出るとバックアップの黒装束20人がギョッとしたリアクションをとる。


その黒装束達が動き出そうとしますが既に結界で覆われて動けない。


コウは構わずにサイの部屋へと入ると、


「サイ、大丈夫ですか」とコウはサイへと声をかける。


「コウか問題ない。教わった通りに結界で制圧した」とサイは得意げに言う。それを確認したコウは宿の1階ロビーへと降りて、宿の夜の責任者へと侵入者があったと報告して宿の外へと出ると慌てた黒装束がコウへと向かってくるが、これも結界で制圧。


コウとサイは部屋や廊下にいる黒装束たちを外に並べて、起きるにはまだ早いので寝る事にする。


翌朝、起きると外が騒がしい。何だ何だと外を確認すると結界で包まれた黒装束達の周りに人だかりが出来ている。


昨夜の事を思い出したコウは1階ロビーまで降りると、支配人が困った顔をしながら近づいてくる。


ああ、やはり宿の前に50人の黒装束が拘束されて見世物になっていたら迷惑ですよね。と支配人と話し合い。眠そうなサイと共に50人の拘束された黒装束を広場に移動させる。


そして張り紙を貼り付ける。内容は、


“私たちは国の暗殺者です。一般人を狙いましたが失敗して拘束されました“


と書かれている。


それを見た住人達は黒装束を囲み、「酷い奴らだ」「情けない」「国は何をやっているんだ」ナドナド良いように言われる。


そこに役人が来て住人を追い払うが遠巻きにヒソヒソと囁き続ける。


それを見たサイは、


「一度、父上に会う必要があるな。コウも来てくれるか?」


「良いですよ」とニコリとする。


サイを先頭にして2人は国が管理する区域へと歩いていく。国が管理する区域に入る門の前にいくとサイは、


「ウルリス家のサイディランだ。こちらは供の者になる」と懐から何やら紋章を見せると門番は頭を下げて門を開く。


「いくぞコウ」と小さくコウへと声をかけて堂々と道を歩いていく。10分ほど歩くとこの地域でも裕福な者が住むと思われる地域へと足を踏み入れる。


そこでも他の屋敷とは比べ物にならないくらい大きな屋敷へとサイはコウを引き連れて入っていく。


大きな屋敷の扉の前では執事と思われる者が既に待っている。


「これは坊っちゃまお久しぶりです」と執事は頭を下げる。


「カルロスか久しいな」と一瞥しただけで前を通り過ぎる。が、


「お待ちください。サイディラン様」


「何だ」とサイはカルロスを睨むがカルロスは怯まずに、


「サイディラン様は既にウルリス家を廃嫡されています」とカルロスはサイの前に立つ。


「ふふ、そんなものは関係ない」とサイは笑いカルロスを避けて扉を開けるとそこには20人の魔法師が立ち塞がる。そんな状況をサイは見て微笑む。


「コウ、手を出すなよ」と楽しそうに振り返りコウに言う。 

お読みいただきありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[一言] 廃嫡と言う言葉が使われているが、廃嫡だとあくまで跡継ぎじゃ無くなるだけで家族ではあるから家に帰ってくるのは問題ないかも 勘当や絶縁の方が意味的にはあってるかもね
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