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第119話 魔法と国

アレンさんと共に応接室に入る。


「何というか・・コウさんの魔法はどう言う物なのでしょうか?」


「ん?特に珍しい事では無いと思いますが」とコウは小首を傾げる。


「いえいえ、無詠唱でしかも多重展開ですよ!」とアレンは口角に泡を出しながら言う。


「確かに多重展開は難しいとは思いますが無詠唱は当たり前では?」


「そんな事は無いですよ。無詠唱などはこの国でできる者はいませんよ」とアレンは必死で言う。


「そうなんですか?私の居た大陸では徐々に無詠唱になりつつありますが」


「そ、そんな馬鹿な!」とアレンは頭を抱える。


「そもそも、なんで詠唱が必要なんですか?」


「そ、それは詠唱により魔法が魔力により励起されると教えられています」


「ふふふ、では実験しましょうかアレンさん」とコウは微笑む。


「何をでしょうか?」


「ではこうやって火を掌の上に出します」とコウは簡単に小さな火を掌に浮かべる。


「な、な」


「アレンさん、火魔法は使えますか?使えるなら同じように火をイメージして掌に火を出してみましょう」


アレンは恐る恐る掌を上に向けて出すと何か掌の上を睨む。するとボッと火が現れる。


「!!」アレンは慌てると火が消える。


「ふふふ、出来たじゃ無いですか。魔法はイメージですよ。属性魔法はその属性にするだけで飛んだりはしません。無魔法で属性魔法を加工して飛ばします」


「・・・・そ、そんな。属性魔法を無魔法で飛ばしているですと・・」とアレンはまだ自分の掌を見つめる。


「でもおかしいですね」とコウが言うとアレンは顔を上げる。


「何がですか?」


「う〜ん。この国で作られている魔法の杖ですよ」と言うとコウは腕を組み難しい顔をする。


「魔法杖の何がですか?」


「ああ、実は杖を分解して中を調べた事があるのですが、それを知らないと作れない構造なんですよね」


「こ、コウさん!あの杖の中を見てわかるのですか?」


「多少は」


「実は我々はあれの中身を見ても何も分からないのですよ」


「?、あれは魔法ギルドで扱っているのでは?」


「はい、扱ってはいますが。作成しているのは国です」とアレンは苦い顔して言う。


「では魔法も国が秘匿している可能性が高いですね」


「確かにコウさんの話を聞くとそうとしか考えられません」


「では国の魔法師と魔法ギルドの魔法師の間に差が?」


「はい、かなり有ります」


「そうですか。ではどうにか国の魔法師と話したいですね」とコウは言うが、


「それは多分無理ですね」


「どうしてですか?」


「根本的に国家お抱え魔法師は私たち庶民とは隔離されています」


「なるほど」


「それに国と接触するのも厳しいです。基本的に国のトップも魔法師で全ての役職も魔法師が占めています。かつそれぞれが研究と称して引きこもっています」


ははは、まさかの引きこもりだとは。


「そうですか。でも私は僅かな可能性に賭けて領都までは行ってみようと思います」


「分かりました。ではコウさん、私の権限で魔法ギルドC級での登録をします。これであれば関も街もお金を払わなくとも通れます」


「それは有難いです。ここまで来るまでにかなりお金を取られました。商業ギルドのカードは見せたのですが」


「商業ギルドのカードですか?それだと逆にお金を多く取られますし場合によっては関を通れ無い可能性がありますよ」


「そうなんですか?どうして?」


「ははは、実は商人とこの国はあまり良い関係では無いのですよ。詳しくは分かりませんが国と揉めたようです」


「はぁ、それでですか。確かに他の方よりも多く取られたように思います」


暫くすると魔法ギルドのカードが用意されてコウは魔法ギルドを後にする。カードが出来るまでに無詠唱を取得するためにはどういった訓練をすればとか色々と話をしました。アレンさんはウキウキでまた必ず来てくれとギルド出入り口まで送ってくれました。


どうやら国が魔法技術を秘匿して色々と研究しているのですね。その研究の資金を得るために魔法の杖などを売って資金にしているのでしょう。


何となく分かってきましたね。


領都に向かいましょうか。 

お読みいただきありがとうございます。


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