第116話 攻防
「親父殿、敵が500を砦の包囲に残してこちらへ向かって来ています」とエイダイは厳しい顔をする。
「エイダイか、マイドニはなんと?」
「兄者は領主様へ伝馬を送ったゆえ、耐えていれば援軍が来ると」
「そうか、ワシらも腹を括るしかないな」と立ち上がり武具を取り付ける。
「エイダイも準備せい」と言われてエイダイは部屋を後にする。
「シグナにはどれほど籠っている?」
「はっ、200程度と」
「ふむ、予定通りだな。魔法師は?」
「それもでております」
「ははは、まさしく天啓である!捻り潰してくれようぞ」とフナイ領領主アラバラは吠える。
シグナの砦を囲んだフナイの軍は降伏勧告をする。
「シグナ砦に詰める兵よ聞けい!こちらの軍は1000で魔法師もいる!すぐに投降せよ!」
「卑怯なフナイの者たちよ聞け!我々は決してお主らには屈さない!直ぐに援軍が来る!さすればお主らは殲滅されるであろう!今のうちに引くが良い!」とエイダイが叫ぶと砦の中から鬨の声が上がる。
「小癪な!殲滅してくれるわ!魔法師、弓隊は砦に打ち掛けい!」との掛け声と共に各種の魔法や矢が砦に降り注ぐ。
砦の損害は軽微。エイダイは弓を引き絞り矢を放つ。それが指揮をする武将の額に突き刺さる。
兄であるマイドニはエイダイが守る側の反対側を守備していた。こちら側は守備が固く敵の攻撃は散発的な物だ。だが離れるわけには行かない。
親父殿は砦の中で待機。被害の出そうなところに駆けつける算段となっている。エイダイもマイドニもいない側はそれぞれナルカミ家の副将が守備を務める。
現在はエイダイのいる側での戦闘が激しい。
2時間ほどの攻防がなされるとフナイ側陣地で変化がある。
兵士に守られた魔法師らしき者が前に出てくる。
その魔法師が詠唱を始める。詠唱が長い。これは上級魔法?と言うことで集中的に矢を射掛けるが兵士に拒まれて魔法師までは届かない。
詠唱が終わったのか魔法師を守っていた兵士が前を開けると大きな火の玉が砦の門へと放たれる。
ゴゥと言う音共に門へと着弾。これにより門が半壊する。
魔法を撃った魔法師は魔力が切れたのか兵士に肩をかりながら下がっていく。
「不味いな。我は門まで降りる!矢を射掛け続けろ!」とエイダイは叫び。門へと急ぐ。
そこには知らせを聞いた親父殿が先に着いていた。
「エイダイか、してやられたの」と渋い顔の親父殿。
「親父来ていたか!これからだ!兵よ柵を門の前に出せ!」と兵士と一緒になって用意していた柵を門の前に出す。
エイダイは砦上からの矢の援護を受けながら迫る敵兵を他の兵士と共に槍で退けていく。
代わる代わる兵士を休ませながら門の前を死守する。
それが1時間ほど続いたところで一騎の騎馬がフナイ側から駆けてくる。
「我はフナイ家家臣!ツウダイだ!ナルカミ家のエイダイ殿とお見受けする!さぁ!尋常に勝負!」と馬を降りて近づいてくる。
敵兵士もそれを見て後ろに下がり門の前がポッカリと空く。
「ツウダイ殿か!相手に不足無し、お相手しよう!」とエイダイも前に出る。両者とも槍を構える。
エイダイは上から槍を振りおろすもツウダイはそれを槍で弾く、その反動を利用して横からエイダイを叩きに行く。
それをエイダイは槍で上に流すようにツウダイの槍を上へと逃す。そのガラ空きとなったツウダイの腹へと槍を捻りながら突き出す。
ツウダイは斜め後ろに槍を避けながら上に上がった槍を斜め上からエイダイを叩く。
エイダイは槍を引き戻してそのまま後ろに下がり槍を躱す。ツウダイは打ち下ろした槍をそのまま回転させながら前へと進み、もう一度横からエイダイを叩きに行く。
それを体を回しながらエイダイは回避すると回転しながら槍を伸ばしてツウダイを叩きに行く。これをツウダイは槍を立てて防ぎ、槍を叩かれた勢いで回転して上からエイダイを叩きに行く。
これを横に躱してエイダイはツウダイの胴体を突くがツウダイはこれを横に躱す。
2人は一旦距離を開けて構え直す。
「流石はツウダイ殿」とエイダイが言うと、
「エイダイ殿もな!」とツウダイが返し槍を突き出す。これをエイダイは槍で弾いて躱して槍を突く。
これもツウダイは横に躱す。そこでツウダイはすかさずエイダイへと突き返すとエイダイは何かに躓いたようによろける。そこにツウダイは隙と見て踏み込んで槍を突き出すがエイダイは結界を展開してツウダイの突きを防ぐと結界で防がれて唖然としているツウダイへ、土魔法のストーンバレットを無詠唱で撃ち出す。
これがツウダイの右肩を貫通。エイダイは透かさず槍をツウダイへと突き出して心臓を貫く。
「フナイ家家臣ツウダイ殿!討ち取ったり!」とエイダイは高らかに叫ぶ。
槍に貫かれたエイダイを見てパニックになったフナイ軍兵士が慣例を破り一騎討ち後にエイダイを槍で突いた。
エイダイはグフっと血を吐き出して倒れる。
「卑怯な!一騎討ちの慣例を破りおって!」と親父殿は怒り柵の前へと出るとフナイ兵士へと襲い掛かる。
10人、20人とフナイ兵を倒した親父殿は奥に進み敵に囲まれる。一本の矢が親父殿の膝に突き刺さると親父殿は膝をつく。
そこにフナイ兵が殺到して親父殿は果てる事となった。フナイ軍はこれで士気を上げて門前の柵へと殺到するがそこに火魔法が数十も降り注ぎフナイ兵士を蹂躙する。
「遅くなりました」とコウがフナイ軍と対峙する。
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