第110話 決着
コウは陸に上ろうとしていたリザードマンを粗方仕留めるとバックパックを収納してハンマーを装備する。
目に入ったリザードマンを片っ端から潰していく。時折、杖を持ったリザードマンに魔法攻撃をされるが結界を展開して防ぎハンマーで潰していく。
既に1時間は戦闘をしている。
軍のファントムアーマーと冒険者のファントムアーマーもまだ健在のようだ。
残りのリザードマンは1500といったところか。
コウはソーサリーアーマーの魔法陣に介入して頭上にファイヤーボールを数十展開して、それを誘導して確実に殲滅していく。勿論、近づいてきたリザードマンはハンマーで潰す。
そこから1時間程経過するとリザードマンの残りは50程だろうか?
でも変だね。ここまでやられたら普通は逃げるのにな。これは何かあるのでしょう。
あとは通常装備のリザードマンのため、軍と冒険者のファントムアーマーに任せます。
私は比較的原型を保っているリザードマンの装備を回収します。特に魔法の杖は集中的に回収します。
リザードマンを殲滅し切った軍のファントムアーマーが1機近づいてくる。コウはそれに気付いてハッチを開けて対応する。
「助力感謝する」とファントムアーマーのハッチを開けていかにも軍人な男が声を掛けてくる。
「いえいえ、たまたまですよ」
「いや。貴公が居なかったなら我々は首都へのリザードマンの侵攻を許していただろう。それで貴公の名は?」
「探索者で商人であるコウです」
「ああ、確かロラン殿の所に通っていて遺跡の新たな発見者の」と何か納得したように頷く。
「はい」
「本当に感謝する。褒賞や何やらは後処理の後になるがロラン殿に聞けば連絡は取れるか?」
「はい取れます」
「ならまた事情聴取などもある故に助力を頼む」と軍のファントムアーマーは去っていく。
ああ、そういえば名前を聞かなかったな。まぁ、良いか。
それからナブと連絡を取り引き返してもらい、コウはこのまま首都へと向かう。
「ロランさんに報告しなければなりませんね。おみやげ(お土産)もありますし」とコウは笑顔で首都に向かう。
久しぶりの首都です。
まずはロランさんの所へ。
「コウさん!久しぶりです!」とコウを見つけたロランが走って近づいてくる。
「ははは、遺跡巡りをしていました」
「それで何か成果は?」
「内緒です」というとロランはジト目で見てくる。
「それよりも」とコウは港町であったことを話して魔法の杖やリザードマンの使っていた装備を見せる。
「これは!確かにリザードマンが使うには上等すぎますね。この杖も相当な物です」
「そうです。この杖は他の大陸でも使われていました。その時の物よりも優れた物です。それがリザードマンが使うにはおかしいです」
「ふむ、そうすると今回のことは仕組まれた物だと?」とロランは腕を組み考える。
「十中八九そうでしょうね」
それからは杖の構造を簡単にロランに教えて今回の物を調査していくと、やはり中の魔法陣がかなり洗練されており最新の物に見える。それにこれをリザードマンが作れる訳はない。
これはどう見ても仕組まれた事ですね。ナブに探査ポッドで調べてもらいますか。記録にリザードマンの移動したログがあれば良いのですが。
数日が経つと港町の被害の状況がわかってくる。
今回のリザードマンによる襲撃での死者は意外に少なかった。港で働く漁師が早期にリザードマンの移動を感知。それにより住民の避難が間に合った形だ。
あとは何故か整然と統率されたように移動していたリザードマンだが、その移動速度は速くなかった。
何か理由があるのだろう。
国の上層部も今回の件は仕組まれた可能性が高いと見て調査を開始した。何かわかれば良いのですが。
ナブの方の探査ポッドでの記録には細切れだがログが残っていた。やはり他の大陸で誘導されていた形跡がある。
他にも襲撃箇所があるにも関わらずかなりの距離を真っ直ぐ港町に向かっていた。ただし、今回の襲撃には魔物を誘引するような魔道具は見つかっていないし形跡もない。
他の方法が使われたのだろう。ナブが言うには他の大陸で魔物を使役する魔法が存在するという。場所はわかっているので今度行ってみたいと思う。
他には魔法の杖だが、これの出所が分かった。
魔法国ライネリオンという、これも他の大陸だ。魔法の研究が盛んで研究のために魔法道具を周辺国にばら撒いているという。
ここも時間があれば行ってみたいな。
ナブは優秀ですね。まさしくチート。
ただし、今回の黒幕は分かっていません。この国にその魔物を使役できる者が侵入していたのでしょうか?分かりませんね。まぁ、これはこの国に任せましょう。私が考えても仕方がありません。
明日は国から呼ばれて色々と事情聴取など手続きがあります。どうなるでしょうか?褒賞もくれると言うので少し楽しみです。
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