第109話 リザードマン
地球か・・・行けるのか?
「ナブ、この星に行きたいとなったらどれくらいで行ける?」
《距離は約250万光年になりメイン・ディープ・ドライブで3週間となります。正確な時間を割り出しますか?》
「いや、まだ良い」
そうか3週間で行けるのか凄いな。でも今更行ってもだよなぁ。
「ナブ、この船は動けるのか?」
《はい、マスター。動かすことが出来ます》
「では宇宙へ行こうか」
《はい、準備開始します・・・・・・準備完了です。魔力供給パイプ排除・・・。何時でもいけます》
「発進」
《発進します》
船体はふわりと浮かび上がり3本の足を収納。頭上の屋根が開いていく。陽光が差し込み銀色の船体を輝かせる。
《重力ドライブ出力上昇10%・・多重防御シールド展開・・完了・・・重力ドライブ出力上昇30%・・・・・重力ドライブ出力上昇60%・・》
眼下の地上がみるみる小さくなっていく・・・凄いな。何も衝撃を感じない。
《周回軌道に入ります・・・・・重力ドライブを下方から全面に展開します・・・・周回軌道に入りました。数周周回軌道を周ります。次の目標を設定してください》
眼下には次々と過ぎ去る大陸や海が見える。私も青かったとか言えば良かったでしょうか。それにしてもこの眺めは圧巻の一言です。
「次は月を周って帰って来よう」
《はい、マスター。月を目標に設定します・・・・設定完了しました。本船は月を周り帰還します》
そこからはあっという間に月を周り地上へと帰還した。凄い性能だ。
地上に帰ると地上を監視する探査ポッドが数百あるというので各地に放ってもらい情報収集してもらう。
あとは数日篭って船に蓄積された技術情報を片っ端から閲覧する。何か自分でも応用可能な技術があれば積極的に取り込んでいく。ふふふ、とても楽しいですね。
それからは居住エリアのマスタールームに案内されて至れり尽くせりのサービスでナブから情報を聞き出して閲覧していく。
これが2週間程続いた頃、ナブから連絡が来る。
《マスター、報告があります》
「何だナブ」とコウは読んでいた情報から目を離し顔を上げる。
《この国に一番近い港町に複数の統率された魔物が襲撃を仕掛けようとしています》
「探査ポッドの情報か?」
《はい、マスター》
「映像は観れるか?」
《映像を映します》というとコウの前に映像が展開される。そこには海から続々と魔物が陸に上がろうとひしめいている。
「何でリザードマンが海から来るんだ?リザードマンは沼地が生息地だったはずだ。それに観た事もない上位種が多数いて、あの装備は何だ?全て新品で揃っている。魔法の杖を持つリザードマンもいる。全体の数は分かるか」
《はい、マスター・・・・・上位種を含めた同種で4234体です》
「それは不味いな。この上空まで飛んでくれ」
《はい、マスター。発進準備を開始します・・・・準備完了しました。発進します・・・発進しました。念の為隠蔽シールドを展開します・・・展開しました》
コウを乗せた宇宙船は空を飛び現場へと急行する。
上空に到達したコウはソーサリーアーマーに乗り、後部にある大型ハッチから現場へと降下する。
上空から見ると4分の1ほどのリザードマンは上陸して街を蹂躙している。所々では軍の物と思われるファントムアーマーが必死に応戦しているが数が違い過ぎる。
冒険者のファントムアーマーも各所で奮戦しているが、こちらも押されて後退している。
何よりもリザードマンが使う魔法の杖の性能がおかしい。あれは獣人族を襲っていた人族が使っていた物と同等かそれ以上の性能のようだ。
発動と射程は勿論の事、威力までかさ増しされているようだ。
地上に降りたコウはソーサリーアーマーに魔法攻撃用のバックパックを背負う。
味方がいないことを確認して陸に上がって来ようとしているリザードマンに向かって魔法攻撃する。
赤く伸びた火の弾が空中で分裂。その直線上にいたリザードマン達を焼いていく。それを数斉射。
更に範囲を広げてリザードマンを駆逐していく。
??????。
「それで例の件はどうなった?」
「はい、教皇様。準備が整いまして例の国へと攻撃を仕掛けている頃と思われます」
「そうか。でだ数は如何程用意出来た?」
「はい、4000程用意出来ました。勿論、かなりの数の上位種も用意してございます」
「ふむ、魔法国の杖はどうした?」
「はい、あれも最新の物を500程用意出来ました」
「ははは、これで人形使いどもも壊滅出来なくともかなり削れるだろう。これで空気中に魂の数が増えるぞ。儀式も近いうちに行えるだろう。よくやった」
「はっ、必ず良い知らせを報告いたします」と男は部屋を出ていく。
「もう少しじゃ」と教皇と呼ばれた男は宙空を眺めてニヤリと笑う。
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明日からは1日1話に戻ります。
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