第106話 蒸気船
1週間に1度、古代書を読みに行っている。重複する本もあり何とも言えませんがかなりの本を読んでいます。
その他の日はロランさんの所で魔導蒸気機関を使い色々と試しています。私からは船に付けて外輪船にしてはどうかと提案しています。今の魔導船は帆に直接、風の魔道具で風を当てて進む仕様でかなり効率が悪いですし風が強く吹くと使えなくなります。
ドルガンともよく遊び、よく議論します。とても充実した日々を過ごしています。楽しいです。
レオンの所にも1度行きました。だいぶ、環境に慣れて来たようで安心しました。
あとは遺跡で回収した物ですがカタログや取説から読み解くと、やはり農耕機器でした。勿論、魔道具であり魔石を燃料にして動きます。
基本は魔導エンジンでしたがカタログの最新と言われているのは魔導モーターでした。扱いも楽ですしね。
でもアレです無限軌道を見てロマンを感じました。ふふふ、何か作りましょうかね。キュラキュラと音を立てて進む。良いではありませんか。
?????。
「教皇様、参りました」
「ふむ、それで首尾はどうだ?」
「それが失敗に終わりました」
「どう言うことだ?」
「魔物の誘導は成功したようなのですが、殲滅されました」
「上位の魔物が少なかったのか?」
「いえ、数百はいたと聞いています」
「それが何故だ?」
「かなりの規模の魔法が使われたと」
「ふ〜む、それ程の技術があの国にな。それで帝国はどうなった」
「分裂してしまいました」
「使えぬのう。折角、貴重な魔道具を渡したと言うのにのう。転移陣は大丈夫か?」
「はい、幾つかの陣は経年劣化で使えませんが各大陸に2つは機能しています。隠蔽は完璧です。」
「そうか。確か獣人共が住む大陸で争いが起きたとか聞いたが」
「はい、魔法国から杖の技術が渡りまして人種が亜人種を攻撃しましたが、それも亜人側の対抗手段により、現在は膠着しております」
「そちらもダメか。これでは魂の数が足りないではないか。儀式が行えん」
「では、例の計画を進めても」
「人形使いの国など滅ぼしても構わん。やれ」
「はっ」と言って男は出ていく。
教皇と呼ばれた男は大きな扉を開けると、そこには脈を打つ巨大な魔法陣が怪しく光っている。
「何もかも足りん」と教皇と呼ばれた男は扉を閉めてその場を後にする。
ロランさんから連絡があり、魔導蒸気機関を魔導船に取り付けて外輪船にする計画が了承された。
設計段階から絡む事が出来て楽しい。
船の規模に合わせて魔導蒸気機関を設計していく。設計が完了したらミニチュアを作り動かして不具合がないか検証をしていく。
幾つかの場所の材質を変えて問題を解決する。ふふふ、楽しいです。
2ヶ月で試作魔導蒸気機関が完成しました。勿論、外輪も作成済みであとは船に取り付けるだけとなります。
翌日にはロランさんと港町に行きます。
そこは大きな港町で大きな造船所もあります。そこに今回作成した魔導蒸気機関を運び船に取り付けます。
作業すること1週間で魔導蒸気機関と外輪を取り付けることが出来ました。帆もありますし見た目は黒船来航な感じです。
船は造船所を出て港に浮かんでいます。
ロランさんと私も乗っています。これから試験です。
手順通りに蒸気機関が動き出しました。それにより外輪が周り出して船が前に進みます。
これには皆さん大喜びです。
2時間ほど試験運用しましたが問題はありません。成功です。
これで大航海時代到来でしょうか?
海の魔物は少なく比較的海は安全だと言っていますがどうでしょうか?嵐には勝てませんよ。
もう少し造船技術が上がれば安全な航海が出来るかもしれませんね。
少し手伝いますか。リンドルンガがある大陸と交易が出来ると楽しいのですが。
まだ先ですね。
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