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351話 究極の味噌料理とは

この作品の総PV(アクセス)が50万を超えました。

わぁー! パチパチパチ…


タップミス・あらすじバック・数話読んでリタイアが9割だと仮定しても、5万回分はちゃんと見られていると考えて良いはず。

350話以上のページの数だけ換算されているとしても、100人くらいの方々が拙作全てに目を通してくれているらしい。


有り難いことです。


まあ、それはそれとして。

今日も謎展開のストーリーをお届けします。

 くつくつくつ…!


 寸胴鍋の中で様々な具材達が煮えている。

 今日は1人、庭の調理研究鉄小屋の中で料理中だ。



「良い匂いだな~…。」灰汁取り… 灰汁取り…


 かれこれ3時間ほど煮続けている。なかなか良い感じなのではなかろうか。



「赤熱魔鉄様々だな~…。」


 IH調理を可能にしてくれた深紅の魔鉄。

 煙を出すことも薪を継ぎ足す必要もなく、任意の温度で一定に加熱し続けてくれる優れもの。


 さらには「加速操作」の応用で回転ファンに転用することもでき、今も壁に取り付けた真っ赤な換気扇がくるくると回転し、小屋の外へと熱気を排出してくれている。

 まあ、ちょっとパワー不足なので微妙な排気能力ではあるが。



「さて、味見味見っと…。

 ん~…、美味い…。」


 今作っているのは、魔猪肉と野菜の旨味たっぷりのスープ。

 ただ、魔猪汁(豚汁)の時とは違い、骨周りの硬い(すじ)ばかりを大量に使っている。野菜もヘタや皮なんかの直接食べれない部分ばかり。


 これは単純に出汁(だし)を取る為のチョイスだ。

 通常なら固く剥がしにくい筋ばった肉も呪怨(わたし)の鉄なら容易に削ぎ落とせる。そんな肉から出るエグみや臭みをクズ野菜達が消して、なおかつ優しい旨味をプラスしてくれる。



「さくっと魔猪骨(まちょこつ)でスープ作れたら良かったんだけど。」


 豚骨ならぬ魔猪骨の濃厚スープ。あれが有れば色々と手っ取り早かったのだが。



「シリュウさん、まだ起きないんだもんね…。」


 所持しているだけで骨が持つ毒性を無効化してしまう超人、シリュウさんは、今もすやすや眠っている。そんな彼に頼れない現状、魔猪骨を無毒化する新たな方法など無いので、致し方なしである。


 いや、やり方自体は無いでもないのだが。


 高魔力持ちの人とかにやたらめったら魔力を(そそ)いでもらって、毒になる原因らしき骨髄内部の魔力回路を完全粉砕すれば良い。

 これをしなかったのはひとえに、どれだけの魔力を使えば完全無毒化に成功するのかが不明過ぎたからだ。


 この無毒化処置が一般に全く普及していないのは、必要な魔力量が並大抵ではないからと言うのも理由の1つだと考えている。


 超級冒険者で魔法にも長けたダリアさんとかなら、恐らく十分要件を満たせるとは思うが…。日々の仕事(クエスト)や生活に支障が出るレベルって可能性が有るから、おいそれとは頼みにくい。



「まあ、今は長期の任務(クエスト)で魔猪の森に潜ってるから、どのみち頼める訳ないんだけど。」あきらめ~…


 なんか凄い精霊であるアクアにもできそうではあったが、普段から水魔法でお世話になりっぱなしな上、紅蕾(ママ)さんの回復に尽力してくれている。アクア本人(本精霊)が興味のない骨スープ作りに参加させるのは、流石にお門違いだろう。

 美味しく衛生的(きれい)水を大量に出してくれるだけで超絶に有り難いし。



「まあともかく! 魔猪肉の旨味がたっぷりの特製濃厚スープは出来たんだし! 早速やっていきますか!」切り替え! 切り替え!


 ここに、異世界お味噌と! リュカの実から抽出した自家製ラー油もどきを! 独自配合して、完成…!



「至高の『味噌ラーメン』、である…!!」ドン!☆




 ──────────




「いや、『至高』は言い過ぎだな。うん…。」ずずずっ…


 完成した味噌ラーメンもどきを(すす)る。


 うん。美味いっちゃあ、美味い。素人(わたし)が作ったにしては。


 でも、なんか色々と足りない。

 なんかこう…、「美ー味ーいーぞー!!」ってなるパンチが無いんだよなぁ。



「麺だって、中華麺じゃなくてちょっと色が付いただけの『もどき』だしな…。」


 (恐らく)アルカリ性であろう、魔導具製の石灰を溶かしたお湯で煮ることで、風味自体は以前に比べれば割かしラーメンの麺っぽくなったんだが。



「まあ、安全に食べれて、そこそこ美味しいなら別に良いんだけど。」ずずっ… ずぞっ… もぐもぐもぐ…


 味噌の風味が強過ぎて、魔猪肉スープが結構負けてる感が有る。やはり素人に味噌ラーメンはハードル高かったな。



「ん~…、いっそのこと。醤油ラーメンの開発を目指すのもアリか…?」記憶を探る…


 醤油は元々「溜まり醤油」と言う、味噌を絞って抽出する旨味エキスが始まりとか聞いたことあるし。

 この異世界お味噌も液体成分を抜き出せば、異世界醤油と呼べるものが出来るかも…??



「まあ、本来は醤油専用に仕込んだ『もろみ』を絞って作る訳だから、黒泥(これ)でできるかはかなり未知数…。色々と無駄にしちゃう可能性を考慮すると、優先度は低いよな~。」


 やはり、一応は形になったこの新作ラーメンを改良するのがベターかな。



「旨味と辛味が目立ち過ぎてるから、こう、マイルドにしてくれる(マロ)い何かを足してみる…?」シミュレーション、スタート…


 まろいもの…。甘味、甘味、甘い汁…。


 ヤシもどきの実(ヤイカ)の汁…、は要らんな。エルド島時代の主食兼貴重な甘味成分だが、大陸の北(ここ)で手に入る訳が無いし。そもそも食べ飽きた。



「蜂蜜、砂糖…? いやカレーじゃないんだから…。

 生卵、なら…。だからそれカレーだって…。」


 牛乳、も無理だし…。

 甘味(あまみ)、甘いもの、幸せ甘味(かんみ)…。


 乾燥アリガ、加熱フラー、甘い豆「千豆(ちとう)」、異世界モンブラン…。


 ん? モンブラン?

 …栗?



「そうか! 栗もどき(トーケー)のペーストを混ぜてみっか!!?」


 とろとろ濃厚スープは、骨に含まれるゼラチン成分的な物があのとろみを生み出す要のはず。だが、炭水化物系の粉でも似た感じにはできる。



「旨味、辛味に、さらに甘味を投入(ドン)! 割りといける気がする…!?!」


 なんだかちょっとぉ~、いけそうな気がする~!♪

 …いけるか、アホォ!!(セルフ脳内ツッコミ)



天○木村(スケベ野郎)恋人ができる(いける)未来はない。

 でも、ペースト投入トロトロスープのアイデアは悪くない、はず。真面目に取り組んでみよう。」


 屋敷に戻ってトーケーを貰ってこよう。

 蒸して裏漉(うらご)しして…。スープ、味噌との比率も色々と試したいな…。


次回は11月3日予定です。

もしかしたら4日の祝日月曜になるやも。

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