表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

329/406

329話 適切な距離感と言うのは難しい

この作品の総合評価が1000ポイントを超えました。

こんな適当プロットの駄文章が、ここまで見てもらえるとは…。逆に不安が過る…。


しかしまあ、これもゆるりと見てくださる皆様のおかげです。ありがとうございます。わーい。


てな訳で、本日も山谷の無い謎平穏ストーリーをお届けします。



「」ごくっ!ごくっ!ごくっ!ごくっ!


「どうですか? シリュウさん。」

「…。ああ。」そこそこ満足げ…


「やっぱり、さらに美味しくなってますよね。アクアのお水。」

「…。だな。」ごくぷはぁ…

『「泉」の力を手に入れたからね。当然だとも。』ぽよふーり…



 現在私は、屋敷に戻ってきたシリュウさんをアクアのお水で歓待している。


 町の外は真冬の寒さだが、そんなことはお構い無しでシリュウさんは、キンキンに冷えた生成水をぐびぐびと飲み干していた。

 クラゲ頭ことミャーマレース一味の監視疲れやら何やらで眉間に寄っていた(しわ)(ほぐ)れて、さっぱりした顔をしている。


 アクアがあんなに蒸留酒(アルコール)をガブ飲みした後だから少々不安だったが、生成した水が酒臭くなることはなかった様で一安心だ。

 まあ、むしろ「お酒」の味がした方がシリュウさんは嬉しかったかも、だが。



「…。美味い水が出せるのは結構なことだがな。少しは自重してくれよ?」

『うん? 今回の騒動のことかい? 相当に穏便に済ませただろう。』ぽよ?…

「どこがだ。ベフタスやら関係無い奴らの前で〈呪怨(のろい)〉を発動した挙げ句、激流蛇の名前を出しやがって。

 イーサンや俺がどれだけ抑えに駆けづり回ったと思ってんだ。」

『そのくらいは必要経費と言うやつだね。

 卑屈娘と付き合うなら、この程度のことは割り切りたまえよ。』ぽよぽ~よ…

「…。」


 シリュウさんがアクアを無言のジト目で睨みつける。思うことは多々有りそうだが、反論はできない模様。

 まあ、今回の一件に関しては、発端にシリュウさんが絡んでいるものの、親友(レイヤ)と私の因縁が呼び寄せた部分が大きいからねぇ。

 尊大な態度のアクアさんだが、問題解決と言う意味では悪いことはしていない。


 なので、ここは私自ら動くべきだろう。



「時に、シリュウさん。」

「何だ?」

「提案、と言うか、相談と言うか。()きたいことが有りまして。」

「…。ああ。」


「鉄の家の再建、についてなんですけど──」




 ──────────




 某日、朝。


 空気は寒いの一言だが、天候は快晴で日差しも降り注いでいる。風もほとんど無く、絶好の建築(・・)日和(びより)だ。



「ぃようし! それでは早速始めていきましょうか~!」ハイ・テンション~!

「…。無理はしてくれるなよ…。」

「大丈夫ですよ~。『材料』はもう揃ってますし、組み立てるだけですから。

 むしろ重労働部分をお任せする形になってすみません。」

「まあ、それぐらいは、な。」魔鉄取り出し持ち上げ…


 今から私達はこの場所に、鉄の家を再建する。周囲の地面は既にシリュウさんの土属性魔力を染み込ませ、ガチガチの真っ平らに固めてある。


 魔獣鉄で出来た以前の家は、あの水エルフの癇癪によってそれはもう無惨に破壊されてしまった。それを作り直すのだ。


 今回はオール魔鉄製のハイスペック高機能住宅にするつもりである。

 柱、壁面、屋根全てをとても硬い「褐色魔鉄」で構成し、頑強に改造。

 発熱の「深紅魔鉄」をキッチンスペースの随所に配置して調理の利便性も高める。もちろん、私用に炬燵(こたつ)やストーブなんかも完備しており、以前と同等の快適性も確保する予定。


 その為に私の血が大量に必要な訳だが…。数日かけて美味しいご飯と睡眠で増血能力をフル回転させることで、締結(コントラクト)しまくり準備は完了している。

 アクアのおかげで回復ポーション無しで済むし、私の体内状態も把握してくれていて、かつてないほど安全かつ高効率で行え、大助かりである。



 あと、アクアの生み出す「水の魔鉄」らしき物も、できれば水回りに使いたかったのだが…。


 アクアのスライムボディに「血液」は流れていない。彼女と私の2人きりでは、既に信頼関係が築けていても、魔鉄の創造はできないのだ。

 この前行った魔鉄創造は、私の呪怨が籠った血と誰かの血を混ぜ合わせたものを、アクアが上手く仲立ち(・・・)することで生み出すことができるらしい。


 実は私が下着に利用している、布的な柔軟性を持つ水属性魔鉄(アーティファクト)も、レイヤの血に当時のアクアが力を貸して創っていたんだとか。


 完全に初耳でめちゃくちゃ驚いたが、おかげ様でとても快適な異世界放浪をさせてもらっていたので文句は言えない。

 むしろ、その反動で寝てばっかりになってたみたいで申し訳なかったが…。


 まあ、その話は今は置いておこう。


 ともかく。水魔鉄は利用できないが、アクアのお水を鉄瓶なんかに入れて溜めておくことはできる。

 アクアの高魔力水はシリュウさんの黒革袋(マジックバッグ)に問題なく保存可能なので、水回りはそれで十分だろう。



「さあ~て。大枠はこんなもんで…。

 そろそろ、例の場所を作りましょうか~。」魔鉄接着操作~…

「…。」不安げなオーラ…


 シリュウさんは少々煮え切らない雰囲気を出しているが、ひとまず強引に進めていく。

 今回の目玉は何と言っても「寝室」である。とても堅牢かつ安全な寝床を、新設するのだ。


 超絶存在な特級冒険者のシリュウさんは、「睡眠」を取らない。

 精霊と言う非有機生命体としての性質なのか、丸1年も寝ずに活動し続けられる。夜の間は目を瞑り、体を横にするだけで休息は十分と言う剛の者。


 だが、いくら強大な精霊の力を宿しているとは言え、シリュウさんは生身の人間だ。


 不機嫌の原因は、クラゲ頭関連のアレコレだと思うが、「寝不足」なのも精神的余裕を奪っていると睨んでいる。どう考えても不健全だし。

 だが、シリュウさんが眠ると、普段意識的に抑え込んでいる絶大魔力が解放され、周辺がそれはもう大変なことになるらしい。


 そこで、安心して魔力解放ができる場所を自作しようと考えたのだ。


 使用する材料は私の呪怨鉄、シリュウさんの魔鉄2種類、そしてアクアの高魔力水。

 それらで床、天井、四方の壁、全面を覆った超絶シェルターにする予定。

 恐らく完成すれば、核爆弾の直撃にすら耐えるんじゃなかろうか? …流石にそれは言い過ぎか。まあ、どのみち耐久試験はしないといけないが。


 それに、“寝る子は育つ”と言うし、たっぷり睡眠を取ればシリュウさんの身長も今からでも伸びるかも──



「おい。何を考えてる…?」

「いっ!? いいえ!何も!!」

「…。」ギロリ…!

「さ、さあてっ! パパっと作っちゃいましょうっ!!」建築建築楽しいなぁー!



次回は6月2日予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ