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312話 久々のガチのお叱り

投稿タイミングが予定からズレまくって申し訳ありません。

とりあえず、作者の方で天災の影響は、ゼロです。



フラグ管理や話の整合性も一層バグってきましたが、適当ゴーゴーの精神で書いていこうと思います。

なんやかんや、適度にお付き合いいただければ。


今年もよろしくです。



 逆鱗(げきりん)、と言う言葉をご存知だろうか。


 (さか)さの(うろこ)、と書いて逆鱗。

 確か地球の伝承においては、「龍」の(あご)の下に()える、他のものとは向きが異なっている鱗のことだ。


 細かい由来は忘れたが、それに触れると龍が激怒すると言う結果になる話は有名だった。


 こちらの世界では、ドラゴン──翼を持つトカゲ型の竜──にも、この「逆鱗」が生えていることが有る。


 この場合の逆鱗は、ドラゴンが過去に大怪我を負い、その再生が上手くいかず鱗が歪んで生えた状態のことを指す。

 つまりは「古傷(ふるきず)」だ。神経が過敏になっていて、不快な痛みが生じる部分である。


 そんな所だから、()れれば当然、ドラゴンの怒りを買う。

 彼ら彼女らの、精神的負傷(トラウマ)をも刺激するが故に。




「──で? 言うべきことは?」ゴゴゴッ…!!



 ここに、逆鱗に触れられたドラゴンが如く、(いか)(たけ)る人物が居た。

 日が昇ったばかりの寒々しい草原を、その熱で塗り潰そうとしているかの様だ。細められた目線に物理的な圧力さえ感じてしまうほど。


 頭から角を生やした──と言うか比喩抜きに1対の角が有る額当て(かぶと)を装着している──シリュウさんである。

 大変に遺憾(いかん)だと言いたげな、鋭い声色で問いを投げる。



「え、え~~っと…、」


 その相手たる私は、マイ外套(マント)にくるまりながら、その(いかり)を正面から受け止めていた。



「す、すみません…。

 ラー油もどきの新作料理はまだ試してる最中──」──キィ~~ン…


 言葉を発した時点から、危機察知の髪留めが警告の音を鳴らす。

 が、()えて何も対策はしない。


 これから起こるのは多分、誤魔化しの()(ごと)を吐いた私に対する必要なお仕置きだろうから。


 警告音も心無しか、気の抜けた感じだし。



 ──ズビシ!!!



(いっったぁ)あ!?」おでこを押さえる…!

茶化(ちゃか)すな…!」スタッと着地…!


 シリュウさんが一瞬で目の前まで飛び上がり、私に手刀を振り下ろしていた。


 こ、これは、久しぶりにガチのチョップ…! あ、頭が、割れそう…!!



「よりにもよって、あの馬鹿(バカ)夢魔に、言わんでいいことべらべらとッ…!!」憤怒の形相…!!


 ひいいー!? 噴火する火山の幻影まで見えだしたー!?




 ──────────




 昨夜、シリュウさんの所にダブリラさんがまたちょっかいを掛けに行ったらしい。私が自身の呪怨(のろい)について解説したって事実を、それはそれは上機嫌で伝えたそうな。とても騒がしく不愉快の極みだったみたい。


 ダブリラさんに釘を刺した後、シリュウさんはすぐさま加速魔法で移動し町の前までやって来て、夜勤の門番さん達を通じ私を呼び出したと言う訳。


 いやぁ、いまだ夢の中な早朝に召喚竜のカミュさんがすっ飛んで来て、何事かと思ったよね。まあ、シリュウさんを怒らせるとかある意味、天変地異クラスの騒ぎで間違いないんだけど。



「あの夢魔(馬鹿)はっ、夢魔の女王とっ! 直接繋がってるんだぞ!

 それでなくてもギルドの特級職員で、面倒な命令を出せる立場に在るってのにっ!!」


 はははっそんなの今さらですよ、って返事したら更なるお叱り&チョップをいただいた。

 うぅむ…、ガチのお怒りモードである。これはひたすら受けるしかないか…。



「しかもその対価が、あんな異常貴族(いじょうおんな)の為とか何を考えて──!!」怒りのお小言…!!

「うぅ──。」


 シリュウさんのお説教は体感的には1時間を超えた。

 防寒具たる外套(マント)が有っても、完全に体が冷えてしまったくらいだ。特殊魔鉄下着(水のアーティファクト)が無ければ、トイレに駆け込んでいるところだろう。


 怒り疲れたのかシリュウさんは大きな溜め息をついて、魔鉄ストーブを取り出してくれた。

 それに手と体を近づけ暖を取りながら、思考を巡らせる。


 ダブリラさんはかなりウザいキャラしてるけど、ちゃんと会話をするだけまだマシな存在だとは思う。

 私は迎撃(カウンター)できるからあの夢魔(ひと)の〈汚染(おせん)〉を受けないも同然だし、使える者は有益に使っていきたい。


 ローリカーナが自立、と言うかより真っ当な方向に進めば、この町の人間関係とかが諸々マシになるし。引いてはこの国全体の利益に繋がると思うし。


 だから損得の釣り合いが取れると踏んでいるのだが。

 そんな考えを、落ち着いたシリュウさんにポツポツと告げる。



「あのなぁ…。あの馬鹿が眷属(けんぞく)に欲しがるなんてよっぽどなんだぞ…。」

「いや、でも、夢魔族って勢力拡大に余念が無いってのは、当たり前なんじゃ…?」

「俺の知る限り、あのダブリラが眷属を持ったことはない。」

「…そうなんです? でもきっと子どももいっぱい産んでるでしょうから、似た様なものでは?」

「あれが子どもを作ったって話も、聞いたことがないな。」

「え…?」


 女王の娘だし、男好き発言ばっかりしてるし、てっきり交わり(ヤり)まくってるもんだと思ってたけど。発生から500年経ってるって話だし、子どもが何人居てもおかしくない気はするが…。



「夢魔族って、他の種族とでも交配可能な体質なんですよね?」

「そうは言っても、魔力も呪怨(のろい)も強過ぎるからな、あれも。簡単には出来ないじゃないか?

 そもそも、子供を欲しがる様な性格(やつ)じゃないだろ。」ゴク!ゴク!


 シリュウさんが凄くどうでも良さげな雰囲気で、アクアの冷水をがぶ飲みしながら答えてくれる。


 ああ~…、確かに。ダブリラさんなら、妊娠・子育て期間とか面倒、とか言って避けるか。



「なら、あの夢魔(ひと)が眷属を求めるってのは、相当なことなのか…。」

「そう言ってるだろうが…。」くそデカ溜め息…


 ははっ…、面目無い。頭の足りない下等女ですみません…。

 まあ、もう過ぎたことなんで諦めてくだせえ…。今度ダブリラさんに会ったら私からも言い含めておこう…。



「あ、あの、シリュウさん。

 せっかく町まで来たんですし、顧問さんのお屋敷に寄ってご飯でも食べていかれます…?」


 とりあえず、まずはシリュウさんへの謝罪と言うか迷惑をかけた(ねぎら)いをしよう。つまりは食事だ。



「いや…、()めとく。

 言いたいことは言ったから、拠点に戻る。」


 気怠(けだる)い様子で(きびす)を返すシリュウさん。

 ま、不味い。このままでは迷惑を掛けたままで終わってしまう…!



「え、えっと、それなら…、

 そうだ! 実は昨日、新作のスイーツ──甘味を作ってたところでして! 味見くらいはしていってくれませんか!? 多分出来てるはずなので!」


「『多分出来てる』…??」


「はい! 良い感じに冷えて固まったはずです。

 冬に相応しくない(・・・・・・)(すず)やかさを感じる夏スイーツですよ!」

「ほう…!」そわっと興味ありげ…!


 よしっ! 食いついた!


 先日届いた新スライム粉で、「ゼリー」の試作実験をしておいて大正解だったね…! ありがとう、スライム牧場の皆さん…!


 このままご機嫌取りに使わせてもらいま~す!



 ………。まあ、かなり適当に作ったから凄く不安だけど…。

 …上手く出来てることを、祈っておこう…。


実は門まで一緒に来てた心優しいダリアさん

(まぁた馬鹿な会話だったね…。シリュウもなんだかんだ甘いしよ…。ケッ!)内心舌打ち…



一方その頃、鉄拠点の内部。


呪鉄の(かすがい)やら釘やらで拘束された灰色夢魔さん

「シリュウく~ん!? いつ帰ってくるの~!! 影転移できない(動けない)んだけどー!?

本当に謝るから呪怨鉄(これ)外して~!!(泣)」



次回は、12日…、に投稿できたらいいな。



──────────



そして、蛇足なお知らせ。


実は、短編小説なんかもちまちま書いている作者です。

例の如く、中身の無いチラシ裏の殴り書きな内容ですが。


ただ、この作品を読んでくれている特異な読者の皆様なら、欠片くらい楽しめる仕掛けが有る…、かも、しれない…。(ぬ~○~のアニメ冒頭風に)


なので、お暇潰し用に置いておきます。↓


https://ncode.syosetu.com/n6654io/ )



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