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244話 鉄の拘束と妄想リラックスタイム

 兜の隙間から液状鉄を流し込んで固定!

 視界が塞がれ、冷たい金属が顔に触れる恐怖! 呼吸はできてもパニック必至!


 ローリカーナ の 攻撃は 当たらないない!!

 勝利! 次!



 死角から鉄杖を肩に引っ掛けて、派手に転ばす!

 良いぃぃぃ転倒音(おと)だぁ! だけど、うるせぇんだよ、金属鎧!


 ローリカーナは 自力で 起き上がれない!!

 勝利! 次!



 足と手を鎧の上から鉄塊を巻きつけてロック!

 orz(四つん這い)人形(オブジェ)の、完成! 文字通り、手も足も出ない! 次!



「──焼滅せよ──!!」愚直に魔法詠唱!


「──!!」ヒット&アウェイで高速移動!!



 奴の周りを移動しながら鉄の壁を複数展開! 三方向を囲って閉じ込め!


 おっし!成功!

 これぞ「デルタ・フォーメーション・──」!


 ──何だっけ? 「バリア」? いや、もうちょっと長くて、なんか固いイメージの単語──「ピラミッド」?「トライアングル」? いや、Δ(デルタ)と三角が被ってる…。


 ええい!忘れた! とりあえず重力砲(グ○ビティカノン)代わりの鉄塊(10キロちょっと、中空。)を、壁の上に(かざ)した手の先に出現!

 逃げ場のない、ピラミッドの空いた頂点から、自然落下でドーン!!



 ドゴッ!(直撃音)ガン!(地面に倒れこむ音)


 ザリ…! ズリ…!!



 死んだフリしたって無駄だぞ、おらぁ! さっさと復活(ア○ビエントォォ!)してデ○ザウラーと融合しろやぁ! どうしたぁ!○○○──名前、忘れた…。えーと…、あれ…?欠片も出てこない?? もういい! とりあえず、デ○スティンガーのパイロットさんよぉ!! はぁ…!はぁ…!(連続妄想による脳内疲労的な息切れ…)



「──テイラ殿。貴女(あなた)の、勝利です。」


 審判をしているナーヤ様からの声が頭に届く。



「…あれ? 中でまだ、ガシャガシャ言ってますけど…?」


 ピラミッドと言うにはあまりにも不恰好な、黒いバリケードもどきを見やる。

 中からは金属同士が(こす)れる不快な音が響き続けていた。


 周りの鉄板は適当な鉄塊を重しとしてくっ付けてはいるが、地面に固定はしていないので持ち上げれば簡単に脱出できると思うのだが…。



「完全に行動不能です。ローリカーナ様が挽回する可能性は欠片もございません。」

「身体強化で、鉄塊を退()かしたり、跳び上がって出てきたり、は…?」

「不可能かと。ただ手足を動かすので精一杯のご様子──」

「早くこの鉄を退()けろぉ! 青髪(あおがみ)ぃ!」



 現在、おバカ貴族(ローリカーナ)との模擬戦中。

 今回も私の全戦全勝の様だ。

 おバカ従者(バンザーネ)がキー!キー!と私を(たた)えるかの様な騒音(ことば)を吐いている。



 ローリカーナが放つ魔法は1度も完成することなく、私は完全に妨害しきっていた。

 相手の得手を潰し、嫌がることを連打する。これが、必勝法だ! 主に、遊○王やス○ブラでの、ね!


 ふははは! 昔から、人の足を引っ張ることには定評が有るんだよ! 召喚無効のカウンター罠を積み込んだり、カ○ビィで空中追撃・復帰妨害しまくったりね!

 まあ、自分側のコンボとかスマッシュ技がなかなか決められず最終的には負けるんですけどね!

 ふぅーっはっはっはっはっ!!


 ──はあ…。疲れた…。


 こちとら、体力は一般人以下の非魔種なんだよ。

 ちょっと、休もう。



「私は! ローリちゃん(ローリカーナ)底力(そこぢから)(笑)を、信じる…!!

 ってことで。

 しばらく放置し(みまもり)ますね~。」すたすたと(はじ)に移動…


「ごら゛ぁ!! 置いていくなぁ! あんたの──(呪怨(・・・))──っ(これ)、は!! 魔法操作ができないんですのよぉ!!」

「土魔法使い、お疲れで~す。」すたすた続行…

「きぃぃ!!

 ナーヤァ!! 手伝いなさいなぁ!!」

「…、はい。」



 ふっ…、どこぞで羽虫が(わめ)いておるわ。

 気分は良いけど、うるさいから鉄で耳栓しよう。


 見守っていてくれていたシリュウさんとダリアさんに軽く手を振って、感謝の意を伝えおく。

 さあて、奴が復活するのはどれくらいかかるっかな~。


 鉄のリクライニングシート(ゆったり椅子)を展開し、その上にぬくぬくマントをクッション代わりに敷いてゆったりに腰かける。

 水筒を取り出して、アクアの水をたっぷり頂く。はあ…、美味し。


 これで、メロンソーダでも有れば良い感じなんだけどなぁ。むしろここは、ジャンクな気分に従ってコーラかなぁ。


 異世界でコーラを再現、か。


 炭酸水はまだなんとかなるけど、コーク部分がなぁ。あの茶色は、砂糖を加熱して出来るカラメルの色由来だったはずだから、再現できるだろうけど…。あのうま味成分はどうしようもないよなぁ。

 確か薬屋さんで売ってた滋養に良い粉を、炭酸水に入れて出来上がった飲み物…、だって英語の授業で聞いた様な、違う様な…。

 苦味と旨味が有るものに、砂糖と炭酸水を混ぜて──


 ハッ!? 上級回復薬(ポーション)の苦味とか、良い感じじゃない!? あの水薬に砂糖を入れて、炭酸も追加すれば(ある)いは!? 炭酸水に変化させるには、炭酸水素ナトリウム、か…!


 ──いや、待て。

 化学の知識のボロボロな私が、異世界でどうすればそんな物質を合成できるんだ…。諦め(止め)よ…。



 ん? シリュウさんが私を見て何か言ってる。

 あ、ローリカーナが復活したかな?


 鉄耳栓をスポッ

「試合続行ですね?」立ち上がる…

「違う。

 ダリアの奴が、あの女と戦闘(バトル)するんだとよ。だからもっと休んでていいぞ。」


 座ってろのジェスチャーをしてから、向こうの方を呆れた顔で見るシリュウさん。


 視線を訓練場の中央に向ければ、鉄の囲いから脱し、立ち上がって叫んでいるローリカーナが見えた。そして、その前に立ち、涼しい顔で笑いながら奴を見下ろしているダリアさんが居た。



 あら~? 何故にこんな状況に…?


※正解はZ○IDSに登場した「デ○タ・フォーメーション・ブロッケイド」。古過ぎて作者も、名前うろ覚えでした。ラスボスに必殺の一撃を当てる為の、決死の拘束技とお考えください。



次回は21日予定です。

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