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150/406

150話 確認作業と世界樹の葉

150話到達で、遂にブックマーク数が100を超えました。


ユニークPVも1万件を超えております。

間違えて踏んだ方、あらすじでブラウザバックした方、始めの数話で肌に合わずに移動した方が9割と仮定しても、

1000人近い人達がこの作品を見ていてくれているらしい。有り難いことです。


その期待に応えられているとは思えませんが、今日もゆるゆる更新します。

「風の世界樹はどんな──」

「結界?で直接見たことはないです。聞いた話では緑色の水晶みたいな──」


「非魔種とのことですがどう判定を──」

「父母に疑われて──。最終的な判断は、エルド島に来る、大陸の冒険者?ギルドの人?の魔導具で──」


「島での生活は──」

「すみません。言いたくありません。」

「…、いえ、大丈夫です。」

「一応、普通の風土・地理的なことなら──」


「冒険者とはどんな──」

「ラゴネーク国のトスラで見習いランクを2年くらい──」



私のこれまでのあらましを話した後。

秘書さんから質問され、私は1つ1つ補足していく。

私が嘘をついていないかの確認プラス、経歴を残す為らしい。書いた物にも誓約は働くから持ち出したり、他人に見せたりは無理だけどそれでも書くとは仕事人だな。

結構な情報量なのに良く順序立てて覚えてられるね。脳の働きに魔力を回すタイプだろうか?

羨ましい…。



合間合間で、お孫さんが()れてくれたお茶を飲みながら、ほっと一息つく。


このお茶、うま~…。

紅茶みたいな液体なのに味は緑茶っぽい不思議飲み物だけど、香りも良く飲みやすい。

いかにも薬湯って苦味も無く、美味しい。




「──ああ、左腕と両足を焼失させて──」

「え!?ダーちゃん、そんな怪我を!?」

「人前ではその呼び方すんじゃないよ!」

「ダリア。年寄り(おばあちゃん)が嫌って言ったのはお前なんだろ。」

「でもねぇ──」やいのやいの…



隣の4人は、雰囲気だけは親戚の集まりみたいな軽さだが、内容がアレ過ぎてギャップが酷い。顧問さんは話に参加せず、私の方にも耳を傾けてはいるみたいだけど。



「──んで呪具(こんぼう)を消し飛ばして──」

「闇の魔法──?」


「──テイラが…、とんでもない物を持ってて…それを使って回復──」

「ああ、アーティファクト──」

「──まあ、そんな?もんかも?な??」


はて?世界樹の葉を持ってることは言わない方向なのかな?

レイヤが管理者?だってことは言ってるし、同じことだと思うんだけども。



「──領の山中で、フュオーガジョンの複合呪いと遭遇したとのことですが、どんな戦いを──」

「手も足も出なくて無駄に──」


「テイラ。あの呪い女はテイラが相当削ったんだろうが。嘘をつくな。」

「止めも差せずに死にかけたんですし、貢献度なんて無いですよ。」

「それでも──」

「ですけど…──」



シリュウさんも横から訂正を入れてきてくれるので、話がどんどん長くなっていく。




──────────




「……その…、アーティファクトを直接見せていただけませんかな…??」うずうず…


話が一通り終わった後、顧問さんが更なる確認を求めてきた。



「おい、イーサン。触れたら呪いが飛んでくると言ったろう。」

「それでも、見たいじゃろう?」

「収集馬鹿のヒゲジジイ。死ぬ気かい?」

「収集できずとも。だからこそ、手に取って感じてみたいのじゃよ…。

無理にとは言いませぬ。できれば、でよろしいのですが…。」うずうず…


確認って言うよりは、単なる興味っぽい?〈呪怨(のろい)〉への警戒はどちらに消えたんです?



「あの、私に対しては敬語無しでもっと雑な口調で大丈夫ですよ?顧問さんはエルフの方なんですし、こちらは若輩者の危険人間ですし…。」

「ははは。シリュウが連れてきた客人ですからのぉ。今のところは勘弁してくだされ。」


う~ん…、ここらである程度歩み寄った方がプラスだろうなぁ…。いかにもな土エルフさんだし、純粋にアイテム好きっぽいし…。この場で変なことはしないかな…?



「そうですね…。これ、1つなら──」


私は、右足の(すね)辺りに付けている半輪を取り外して、机の上に置く。



「これも土属性のアーティファクトです。腕輪と同じく、私の鉄を出し入れするマジックバッグの機能しか有りませんけど。」

「よ、よろしいのかな…?」

「ええ。顧問さんなら、手に持ってもらっても良いですよ。」


顧問さんが、宝物を見つけた子どもの様な表情(もじゃもじゃヒゲのおじいちゃん顔だけど)で半輪を手に取る。



「基礎は魔力を弾く黒鉄──

表面に走る橙色の紋様が──刻印と組み合わせて「固体操作」──

「収納」を──この紋様そのものが「魔鉄」とやらで構成されとるのか…!!

この薄さ大きさでなんという規模の魔法を発動維持し──」早口ぶつぶつ…



「顧問さんに見せたら不味かったですかね…??」

「しばらくしたら満足するはずだよ…。放っておきな…。」




──────────




「激流蛇様の分霊はどちらに()られるのかな?」

「…。テイラの鉄で出来た入れ物の中だ。魔力を弾いて遮断する金属の、な。」

「なるほどのぉ…。姿を見ることは叶いますかな?」

「私には言葉が分からないので何とも…。」

「…。出てくる気はねぇ、と。

代わりに、これを見せよう。」


シリュウさんが黒袋から寸胴鍋を取り出してテーブルに置いた。そのまま蓋を開ける。



「ん…?スープか??」

「美味しそうだね。」


「ああ。()()()()作った物だ。」

「…!お主の「蒸発」・「乾燥」に耐え──そうか!分霊様の生成水か!!

──、精霊の水を料理に!?!?」


「凄いだろ。」


「そう、…じゃな…。」遠い目…

「…、(こいつも大概だよな…。)」

「…、(これも仕事これも仕事これも仕事──)」




──────────




「そなたの親友殿が風の世界樹の管理者である証明が…、できれば欲しいのじゃが。何か有りませぬかのぉ?

管理者の証が、どんな姿だったとか。」

「有るには有るんですが…。

──シリュウさん、()()()も大丈夫ですかね?」

「…。大丈夫じゃない…。

が…、誓約が効く今、見せた方が早いだろうな…。」


「んじゃ。出しますね。」

「何を、ですかな?」


「…。ダリアを回復させた()()だ。」


頭から髪留めを取り外し、呪文を唱える。



「『ゴニョゴニョ』ごにょごにょ──アーティファクト解放!!」


開いた部分に指を入れ、結晶塊を机の上に置く。いつも通りの丸みのある三角形な薄い結晶塊の姿で、黄緑色にほわっと光っていた。



「こ、これは??」

「世界樹の葉、です。元々は親友(レイヤ)の持ち物ですけど。」

「なん…と…。」


「今回は光も魔力も溢れ出ないね…。」

「ダリアさんを回復させた時は、なんか親友の意思?か何かが髪留めから伝わった?みたいで。普段はこんなもんですよ。」

「…、(訳分かんないね…。)」


「単なる風の魔石にしか見えませんね…?」

「じゃが…。内の内、深い深い中心に…、途方もない力を秘めておる…。

ダリアの、肉体を再構成できる訳じゃな…。」

「魔力回路の方は回復できなかったみたいで、申し訳ないです…。」

「それは言いっこ無しだろ。この武器貰って()()()だよ。」

「う、うむ。ダリアよ、その武器も後で──」


「ここにあるのが()()だけじゃなかったら完全回復できたかもなんですがね…。」


「「「半分!?!?」」」

「「??」」


「あれ?シリュウさんにも言ってませんでしたっけ?」

「聞いてねぇ!」

「どういうことだい!?」

「えーと…、親友の奴がですね?

「これはテイラと生きていくと決めた時に世界樹から渡された物!ならテイラにも半分資格があるから半分こにするの!!」って言って叩き割ったんですよ。」


「「叩き割った!?!?」」


「…。管理者が、自分の証を手離してるのはおかしい、と思ってたが…。

それ以上に狂ってるじゃねぇか…!」

「…、待ってくれ!?世界樹から生まれた極大のアーティファクトじゃぞ!?どうやったら砕けるんじゃ!?」


「レイヤの奴が、──呪い(わたし)の鉄を、ガンガンぶつけてまくりまして…。ノミで削るみたいに…。」


「「「「「………。」」」」」


「あ、でも、割った後…、なんか断面が勝手に丸く変形したから…。葉っぱ自体が、許してくれたっぽい…とかなんとか言ってたんですけど…。」


「「「「「………。」」」」」


「まあ、ダメですよね~…。」




次回は25日予定です。

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