14話 いざ出発…
少し短いです。
私が出て行けばまたスティちゃんは、村唯一の女の子になる。(私だって外見はギリギリ女の子だけどね!!)
さらに冒険者や領主の部下もやって来る。まず間違いなく男ばかりだろう。
心細いよね…。
一緒に居たいって願いを無視して行っちゃう私が、言えたことじゃないけど。
なので、まあ要望?通りに、私フィギュアを贈ろう!
スティちゃんに尋ねたら戦ってる姿がいいって、強い私を見てみたいって言われた。ならば、槍を構えた戦闘時の姿を全力で!
色がないせいで塗装前の素組みフィギュアって感じだけど、今にも鉄槍を投げ放つかのような躍動感ある仕上がりになった。
こう、ゲ○・ボルク!!って叫んでそうな出来である。
まあ百発投げて数発当たればいい方だけどね!
そもそも手から離れたら操作できないし、投げるのは最後の手段だけどね!
それにしてもテイラの顔作るのは恥ずかしかった。そばかすの再現とかも悲し過ぎる。
長い髪の毛も空間配置に苦労した…。
背景の屏風にもなるフィギュアカバーボックスを付けて完成である。
邪魔になったら箱にして倉庫にでも封印すればいい。
作っておいてなんだけど呪いを放出してそうだからなぁ…。
…言ったらキレ・スティちゃん降臨なので、言わないけど。
さて行くか。
布や毛皮とかを外に出して、テントをベッドごと腕輪に収納する。
借りたものを手で持って食堂の建物に向かう。できれば洗濯して返却したいけど、ここは流石にスティちゃんにお願いしよう。
「うわあああああああ!!」
!?
また魔物!?
突然、悲鳴みたいな絶叫が響いた。
布を詰めた箱を放り出して槍を構える。
声は村の北の方からしたっぽい。今日の作業場とは違う方向のはず。見回りの誰かが遭遇した?
「──あああああああ!!」
声の感じは男の人…、ん? ずっと叫んでる?
同じ声で、力の限り絶叫し続けている。
…何? 大怪我した…、感じにしても変。
どうする?
いや、助けに行くよりもスティちゃんを安全なところへ連れて行くのが先!
スティちゃんはフィギュアボックスをぎゅっと抱きしめて怯えてる。
とりあえず鉄テントを出して前みたいに避難箱に作り変える!
「スティちゃん!この中入って──」
「」ダッ!!
って、スティちゃん駆け出した!? 悲鳴が続いてる方に突撃してる!?
避難箱を放り出して身体強化も使ってスティちゃんを捕まえる。
「何してるの!?待って待って!?」
「私も戦う!!」
「ちょっ!?何言って、」
「お姉ちゃん熱下がったばかりなのに! 私、前みたいに1人は嫌!」
「だからって──」
──ギィンギィン! ギィンギィン! ギィンギィン
私の髪留めの警報音が、今までに無いレベルの警告を発した。確実に過去最大級。
は?
もしかしてドラゴンとか、出たの?
前方に、目を向ける。そこには──
化け物がいた。