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125話 フィギアと対話

「あっはっはっはっ!!面白い!面白いねぇ!!あんた!!あっはっはっはっ!!」


「──」チーン…


「何笑ってんだ、ダリア…。」


「だってよ!シリュウの魔石に!呪いの金属!

そっから、争いに関係しない(こんなすげぇ)もん作るとか笑うしかないだろ!?」くっくっくっ!

「どこもすごくねぇ…!余計なもん作りやがって…!」


「いやあ…!()()れするねぇ!シリュウの似姿としても造形が良い!!」

「どこがだ!」

「この表情とかかなりそっくりじゃ──」

「説明しろなんて言ってねぇよ!!」


「良いもん貰ったよぉ。これはアタシの完敗さね。」


「くっそっ!!

あのダリアをこんなやり方で止めやがるとは、この阿保(あほう)…!!」


「──」チーン…



フッ…フフッ…。試合に勝って、勝負に負けた…。そんな何か…。


ダリアさんを抑えることには成功した。しかし、シリュウさんからお(しか)り(物理)を受けてしまった。まあ、本人に許可取らなかったから、当然っちゃあ当然だけどね…。

許可が出る気がしなかったので秘密裏に進めたのも事実だが…。


かなり格好いい姿のフィギアだからワンチャンセーフだと思ってたんだけど。

やっぱり呪いの鉄で人の姿を象ったのはダメだったかもね…。



頭の痛みで椅子に沈み込んだまま、反省する私だった…。




──────────




私が復活した辺りで3人での雑談が始まった。


椅子に座り直して話に加わる。

ダリアさんが私の性質(人となり)を、対話で知ろうしてくれているのだろう。思惑通りの変化でなによりである。



ダリアさんはフィギアボックスを大事に抱えている。

その存在が気に食わないシリュウさんではあるが、取り上げたり壊したりはしないそう。まあ、ダリアさんすんごい気に入ってるもんね。




「──シリュウがあんたに惚れるのも分かる気がするよ。」

「いえ…ダリア、さん…。私はシリュウさんと男女の仲では決して…。」


まだ頭が軽く痛む…。



「ああ、いや、人として。だよ。こいつ、無愛想だからね。大概1人でできちまうから、(たよ)ることをしない。そのまま数十年独力(ソロ)冒険者さ。」


「ああ…、シリュウさん、やっぱり凄い年上なんですねぇ…。」


「言ってないのかい?シリュウ?」

「…。言う必要も無いだろ。」

「それでよく仲間だって言えたもんだねぇ。ちゃんと話さないと愛想つかされるよ?」

「…。大きなお世話だ…。」


「私が自分の情報を喋り過ぎてるだけなんで。まあ、シリュウさんも必要なことは、教えてくれてるんで大丈夫、です。」



「それにしても、シリュウ初のパーティ仲間が〈呪怨(のろい)〉持ちとはねぇ。よく受け入れたね?」


「…だから、候補の段階なんですけど──」小声


「まあ、初めは処分するつもりで接してたが。」


「…その節はお世話になりました…。」

「色々と、おかしな奴だったからな…。」遠い目…


「まあ、〈呪怨(のろい)〉を宿してるにしても、異常な子ではあるね。呪いの力で物を作るし、精霊様が憑いてるし…。」

「…。(思考・性格も凄いぞ…。)」



水精霊(アクア)は私に憑いてるんじゃなく、親友から預かってるだけですよ?」

「あん?」

「…。ん?」


「親友がアクアの声を聞いてましたから、その子と繋がっているはずです。私はアクアの声なんて聞こえないから依り代?とかそんなのになる訳無いですよ。」


「…、(シリュウ?)」

「…。(テイラがそう認識しているだけだ。(ほう)っておけ。水精霊は間違いなくテイラと繋がりを結んでる。)」


なんか2人がアイコンタクトをとっている。

はて?なんか間違ったこと言ったかな。



「それに呪いの方も、副産物として金属が出てるだけですよ?多分ですけど。

メインは生命力の象徴である、血液を消すことだと思いますし。」


「血液?」

「ええ。私の〈呪怨(のろい)〉、血液を鉄に変化させるんですよ。」

「…(アタシの手を内側からぶっ壊したのはそれか。)」

「意図せず呪いたくないから誓約魔法をかけてもらって、呪える相手を限定してはいるんですけどね。」


「どんな強力な誓約だい?それ。」

「強力なのもそうですけど、呪いのトリガー…呪いの起動する(みなもと)、である私の感情を縛ってもらっているから、効果が出てるはずですね。」

「よく分からんね。」


「あ、それなら見ます?シリュウさんにも見てもらってて。ダリアさんも感知ができるなら、多分いけるかな?」



左の腕輪を、鉄操作で緩めて手首を露出させる。



「この左手首に誓約の魔法式を結んでるはずです。見えたりします?」


「…、…、…。」じーっ…


ダリアさんが私の手首を凝視する。



レイヤがあのエルド島で学んだ知識を基に独学で作ったから、一般的なのとはかけ離れた形になってるはず。


もしかしたら構築式が壊れて見えづらいのかも、だな。

腕を1度ふっ飛ばしたからねぇ。レイヤの全力で作ったものとはいえ耐えれてるか怪しいよね。


…。



長いな…。



(まばた)きもしないで、視線がずっと動かないけど…?



「っ…。」


ダリアさんが目を手で覆った。終わったかな?



「ダリア…、平気か…?」

「…、ああ…。」


かなり集中していたのか疲れた感じを見せるダリアさん。



「かなりとんでもない構築式だ、ってことしか言えないね…。基本属性全部が複雑に組み合わせてあるから、相当だよ、これ。光属性の魔力も混じってる様に見えるし…。」


「ああ、混じってて正解ですよ。」


なんなら、闇属性の魔力も籠めてもらっているはずだが。まあ、分からないなら言う必要はないか。隠蔽効果とか呪いとの結び付きを強めるとかしてくれているはずの最重要部分だし。



「…。(この顔…。多分、闇属性も使ってやがるな…。)」

「いったい誰がこんな誓約かけたんだい…。」

「私の親友ですよ。最初の冒険者仲間にして、風の氏族エルフの子です。」


「…、((うじ)持ちとか、人間で言えば王族だよ…?それが親友…??)」頭抱え…

「ダリア。もう諦めろ…。」



「なあ、テイラよぉ。本気で1度手合わせしてくれないかい?やっぱりあんたのこと(つか)みきれないないよ…。」


「…私に戦闘を強要する気なら、…そのフィギア。

──鉄屑(てつくず)に。バラしましょうか?」ニッコリ



「ぐぅ…!?止めとくれ!?」

「…。(見事にダリアの首根っこを抑えてやがる…。なんであんな人形ごときで…。)」


「まあ、私もせっかくの作品を壊したくはないし、単なる警告ですよ。戦わないって約束を守ってくれる限り、それはダリアさんの物です。何もしません。」



ふむ。

これで良い感じにマウント取れたな。


ダリアさんの歩み寄りたいって気持ちも有り難いのは有り難いんだけどね。やり方がなぁ…。


なんか折衷案が必要だな~。



希望を与えておいて、それを奪うと脅す。

嫌な主人公ですね。これがテイラのファンサービスだ!(言いたかっただけ)


次回は9日予定です。

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