101話 地震・雷・火事・エルフ
前回のあらすじ。
昼ドラ、いや火○サスペンス劇場、開幕!!
ダンダンダーン!!
「その小娘は、何なんだい?」ズズズ…
笑顔の土エルフさんが、にじり寄る。
その迫力に押されて、後退る。
キィン♪キィン♪キィン♪
ああぁ! 髪留め、うるせぇ!!
あのレイヤ、どうやってこんな機能を組み込んだんだ!
いや、元は私の〈呪怨〉だけども! だけども!!
「はなっ!話を! 話を聞いてください!?」
「ほう…? 話…?」
「テイラ。何言っても無駄だ。下がってろ。」
「で、でも…!」
「へぇ…。テイラ、って言うのかい…。可愛いらしい名前だぁねぇ…。」
「…っ!」
なんか負のオーラが増したー!?
シリュウさんのアホー!?
「私! 私はただの飯炊き女です!!
シリュウさんと色恋沙汰とか! 恋愛感情とか! 一切、有りません!!」
「…。」
「…、」
ん? なんか、気温が数度下がったような…??
「だーれが!? シリュウを好きだってぇ!?」
ドウッ!!
とんでもない突風が吹き荒れる。土エルフさんを中心に色んな物が飛ばされていく。
「テイラ…。ダリアの逆鱗に触れたぞ…。」はぁ…
「え? えっと??」
「なんであいつを見て色恋だのって言葉が真っ先に出るんだ…。」
ハッ!? そうか! 私が髪留めの警報で妄想しただけで、普通は知らない秘密かぁ…!?
キィーン♪キィン♪キィン♪
うるせぇ!! 笑うなぁ!
つーか、笑ってんの!?
まさか髪留めの中にミニ・レイヤとか存在してないよねぇ!?
「私の前で…!! いつまでイチャついてんだい…!!」
…っ!!
土エルフさんからオレンジ色の粒子が吹き出しはじめた。
私にも見える段階ってことは、相当濃密な魔力を循環させてるってことだ…!
ガチギレである。
「ご、ごめんなさいー!? 悪気は──」
「テイラ!下がれ! もう無駄だ。俺が相手をする。」
「で、でも! お知り合いなんじゃ!?」
「1度、本気でぶっ飛ばそうと思ってたんだ。
丁度良い…!!」
シリュウさんの体からも、赤い粒子が立ち昇り始めた。
って、シリュウさんまでガチ本気!?
「やる気になったみたいだねぇ…!! 嬉しいよシリュウ!!
今のアタシにはコイツが有るんだ。楽に勝てると思うんじゃないよ!!」
「ソレを、俺に向けんじゃねぇ…!」
土エルフさんが、背中の巨大棍棒を構えた。
それを見てシリュウさんの体から赤い粒子が噴出する。
なんか知らんが、とんでもなくマズイ!!?
特級冒険者とエルフのガチバトルだ。
全力離脱する他ない…!
身体強化マックス!! 背面アームは収納!
脚力、全開!!
とりあえず西へ!
エルフさんが来た北でもなく! その攻撃の射線上の南でもない方向へ!!
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ドゴン!! ドガン!! ゴイン!!ガン!ゴン!
背後で猛烈な激突音が響いている。
私は未だに全力で走っていた。
シリュウさんと土エルフさんの魔力量がどれ程か分からない。分からないけれども、人間並で収まる範疇には無いはずだ。
エルド島に居た氏族のエルフ達を基準にして、恐らく普通に天変地異を起こせるレベルと見なすべき。
その2人が興奮状態でぶつかってる訳で。
どれだけ離れれば攻撃範囲外に出るのか想像できない…!
髪留めの危機感知も最大にして、とにかく移動するしかない!
────────────
ズ… ゴ…… ゴ…… ン……
「ぜぇ…!…はぁ…!」
かなり…離れた…と思うけど…。
背後を振り返る。
人影は見えないが、変形した地面と、私にも見える2色の光の粒子が舞っているのが分かる。
向こうに見える地形は完全に別物になっている。
ここから見えるくらいに広範囲に渡って、地面が隆起しているのだ。2人の内のどちらかが周りの地面の物質を、支配下に置いたのだろう。
巨大な槍の様に飛び出たり、大規模な地割れの如く崖が形成されたり、それが砕けて瓦礫の山になったりしているみたいだ…。
ゴオ…… ズズズ…… ゴオオン…!!
遠くの地響きと共に見えてる地形が、更に変化していく…。
そして吹き荒れる橙色の粒子と、山火事の様な巨大な赤い炎…。
「…っ。」ぜぇ… ぜぇ…
もう一段階、安全対策を、取ろう。
〔世界を 巡る 強き 風よ…。〕ぜぇ… ぜぇ…
魔法詠唱を息も絶え絶えに呟いていく。
起動ワードの次は、増幅ワード…。
現象指定ワードで発動する風魔法を指定…。
風による物理防御を選択…。
詠唱終了ワードを唱えたら…、
発動ワードを即時宣言…。
〔突風 の 守り手〕
フォー…オオオ…
良し…。髪留めも緑色に光ってるみたいだし、風が渦巻いてる音も聞こる…。
これで私に向かってくる物体を、上手く逸らしてくれる風の防御膜が、私の周りに形成されたはず…。
ゴオン…!!ゴオン…!!
不味い!戦闘音がさっきより近い!
全力疾走、再開…!!
────────────
「」ぜぇはぁ… ぜぇはぁ…
いくら走っても同じ光景が続くから、距離感がよく分からん…。
「も… 無理…。」
膝に手を付いて、その場にしゃがむ。
腕輪でいくら身体能力を強化しても、動かしているのは私の体だ。レイヤの火の魔力は私の動きを大いに補助してくれるけど、私の体力が減ることを肩代わりしてくれる訳じゃあない。
息をなんとか整えつつ来た方向を振り返ると、巨大な暗雲が立ち込めていた。
ゴロゴロ… ゴロゴロゴロゴロ…
うん…。稲光が見えるね…。稲が無い場所では「雷鳴」と言うべきか…。
とにかく、積乱雲だ。
シリュウさんか土エルフさんが、天候を操る魔法を放った…、可能性もあるけど…。
なんとなく、2人には水属性に適性が無さそうだから、単なる自然現象かもな…。
シリュウさんの発熱とかで上昇気流発生…低気圧の塊レベルに発達…。有り得そう…。
「ここから… どうしよう…。」はぁ…はぁ…
さあて、ここから(執筆)どうしよう…。
すみませんが、更新頻度を変えてみます。
1日おきから…3日おきくらいにしてみようかな?
次回は…とりあえず29日の14時で。
その間は他の作品も見てみるとよろしいかと思いますです。
多分作者の名前をタップすれば、作者のブックマークした作品一覧も見れますので、そちらの素晴らしき作品様を是非、是非。




