光と闇
そこはこの世界とは違う、魔法が存在する別の世界。人々はこの世界をグランティエラと呼ぶ。グランティエラには、古くから語り継がれるおとぎ話がある。太古の昔、聖なる光の神と、邪悪な闇の神が存在した。闇の神はグランティエラを悪の力で覆い、グランティエラを荒廃させ、魔物の世界を作り上げようとした。それを阻止するために、聖なる光の神は、稀有な力を持つ「光の子」とその仲間とともに、邪悪な闇の神に勝負を挑み、勝利して、世界に光を取り戻した。しかし、その勝負で大いなる痛手を負ってしまった光の神は、その姿を止めることができなくなってしまった。そこで、光の神は荒廃しきったグランティエラの緑、海、大地となり、この世界に輝きを取り戻した。そんな光の神の姿を見て、光の子たちは彼をこう呼んだ。万物の源「オリフェン」と。その後、光の子たちは何処ともなく姿を消したが、世界は平穏となり、今の豊かな世の中がある。このような話を聞いて育った主人公、自然豊かな辺境の村、ナタル村のレオンには、光の子と同じく稀有な力があった。魔法が使えたのだ。レオンはその力を正しく使ってナタル村の害獣駆除や警察を司り、村に貢献していた。レオンは未だ17歳ながらも村長をはじめとする村人たちからの信頼を得ていた。幼馴染としていつも一緒に育った、村長の孫娘であるフロールからも友人以上の関係となっていた。そんなある日、村長が何者かに殺されてしまう。どう見ても魔法が使われた痕跡があったために、真っ先に疑われてしまうレオン。村中の人々だけでなく、これまで長い時間を共に過ごしてきたフロールからの信頼も揺らいでしまったレオンは単身村を飛び出し、真犯人探しの旅に出るのだった。村長の死が、迫り来る闇の世界の予兆であることも、レオンの旅がそれを止める大冒険になることなど思いもよらないままに。
第1話 曲解
2018/05/14 00:24