No.6 ダイリンオー見参!!
しばらく一話当たりの文字数を減らそうと思います。
『骨のある奴がまだ居たか!』
「その通り、簡単にゃ砕けないぜ!」
突貫工事で《ブリード》用のフライトブースターを二つ溶接、同時に《ダイリンオー》のバランサーを空中戦に対応できるよう改修。それとは別に各種兵器を搭載した。現在右手に保持する《ダイナミック・クラッシャー》もその一つ、刃渡り32mの両刃剣だ。
「リディアさん、だっけ?こいつは借りでも何でもねぇ、俺達が生き延びるための真似だ」
「だから、そこの子たちを連れて後ろに下がっててください」
龍神慧慈と宇奈月亨、二人して恩を売ろうとしたわけではない。自分達に全ての判断基準を置く二人だからこそ、指示を無視して駆けつけられたのだ。
「わ、分かった。但しお前達も無理をするな、いいな!」
「言われずとも、承知の上だ!」
バリアを破って、《ブラッディア》と《ブリード》3機は退避した。
『不本意だが、貴様らの相手は俺だけではない!!やれ、《ジルコニオン・E》!』男の合図で一斉攻撃が飛んできた。
「その程度の対策は済んでんだよ!纏めて消してやらぁ!!」
《ジルコニオン・E》の群れを正面に捉えた《ダイリンオー》の胸部カバーが展開し、砲身がせり出す。コクピット内ではコンソールの下から赤いボタンが現れた。
「エネルギー収束率、97%!」ユゥが機体エネルギー操作を行い、
「ロックオン完了、撃てるよ!」亨が安全装置を解除し、
「任せとけ!こいつで一網打尽だ、ギガ・バスターキャノン!!!」慧慈がボタンを押すと、砲身から圧倒的熱量を持った光弾が発射された。目標地点まで直進した光弾が突如として爆散し、桁外れの高熱で一帯を焼き尽くす。爆炎が晴れた後、20機の《ジルコニオン・E》は跡形もなく消えていた。
「そ、そんな……あの数が一瞬で……」はるか後方のレナが驚きを隠せないのに対し、
「……戦艦クラスの一撃か……恐ろしい奴が来たものだ」リディアが呆れながら、三人を戦闘空域から離脱させるよう誘導する。
「げっ、だいぶエネルギー喰ったな……幾ら効率上げたとしても消費量自体はあまり改善してないか」
「うーん、まぁ急ぎの仕事だしね……試し撃ちも兼ねてって事で」
『…………………何という力だ』
《ジルコニオン》を駆る男が、通信で慧慈達に呼びかける。
『貴様達の実力、見せてもらった。どうやら、俺と斬り合うに相応しい相手のようだな』
「そりゃどうも」
『名を名乗れ。覚えてやろう』
「……龍神慧慈だ」「宇奈月亨、別に忘れてもらって構わないけどね」「あたしはユゥ!」
『……ふん。我が名はノーマン・ベルファスト……』
「ノーマンか、記憶したぜ」慧慈が不敵に笑い、次の発言を促した。「で、どうする?あんたの虎の子は皆お釈迦になったが、まだやるか?」
『望むならば、今から相手をしてやろう』
「だってさ……どうするよ?」慧慈が他2名の意見を聞く。
「僕としては断固反対だね。あくまで稼働データをとるだけならこれ以上の戦闘は無意味だし、ましてや敵エースクラスとはこんな状況下でやり合いたくない」
「あたしもお父さんに同感かな……深追いしてもいいことなさそう」
「……という訳だ。ここは見逃してくれないか?あんたも万全じゃない相手を追いかけ回して楽しいとは思わないだろ」
『……いいだろう、龍神慧慈。どちらにせよ目的は達成された』慧慈の提案に対し、ノーマンはやや不服そうに受け入れた。
『さらばだ』そう言って、ノーマンは《ジルコニオン》を変形させ、一瞬でその場を離れた。
「……見逃してくれたね」
「ここまで上手く行くとはな、疑問点もあるがまずは戻るぞ」
飛行でエネルギーを使いまくった挙句、必殺技を使ったせいで本当に余裕はなかった。反省会も兼ねて、基地に帰る必要があるのは明らかである。