全ての始まり 賢者様side
初めての投稿で分からない事だらけで、作文なども余り得意ではないので文体が可笑しい事もあると思いますが、此れから投稿しながら勉強していきたいと思うので暖かく見守ってくれると嬉しいです。
よろしくお願いします。
この世には沢山の世界が存在する。
そんな世界の一つは悪しき魂に支配され、消滅の危機に瀕した。
しかし、それは立ち上がりしその世界の力ある数名の戦士達の手により防がれた。
多くの犠牲が出た。
多くの生物が涙した。
そんな世界は終わりを迎えたのだ。
一人の賢者の犠牲によって・・・
気がつけば、私は流されて居た。
何処に流されているのか、何処を流れているのか皆目検討がつかない。
身体は指一本動かせない。
動くのは思考のみで、私の生まれた村は、国は、世界は如何なったのだろうか?
人は死ねば私のように流されるのか?
本に記されることのない死後を私は体験しているのだろうか?
此れから全て忘れて、新たなる人生を歩む事となるのだろうか?
それともこの後直ぐに消滅するのか、はたまた私という意識を持って永遠に此処を流れるのだろうか?
などと考え続けた。
そして気がついた。
目も開けられぬ闇の中、何一つ音も無く、何かに触れている感じは無い。
なのに何故流れていると感じたのか?
ただ、流れていると無意識にそう感じた。
答えを求められればそうとしか答えようが無い。
他にもっとまともな答えは無いものかと考え始めた時だった。
「コレは神の意思なり・・・」
「神だと?っ?!」
小さな音、まるで子供の声のような高い声で聡明そうな小さな声が聞こえた。
そして神と言う言葉に反射的に声が出た。
だが、今まで声を出そうとしても音一つ発する事が出来なかったにも関わらず、一つの言葉が聞こえた途端に声が出たのだ。
神・・・賢者というものは魔法使い、僧侶の知識を完全に知り、その力を使える者の事を指す。
僧侶とは神に遣えし者だ。
故に僧侶や、賢者といったものは神への信仰心があるが、残念ながら私にはコレッポチも無い。
強いて言うならば、"神は死んだ"と唱えた者に賛同する。
神なんて存在しない。
もし存在するならば何故死滅の道を辿りし我らが世界に助けを差し伸べてはくれなかったのかと文句を申したい程だ。
「神とは面白い。
さて、その神が今頃私に何のようかな。」
「神は望む。
我が子達の幸せを・・」
我が子、それは僧侶の知識で言うなれば人を指す。
さて、もし人を指す言葉として私に何をしろというのだろうか?
あの世界はすでに私や勇者達により世界崩壊は免れた。
後は国の仕事だ。
「異界の神が望まれしは、異界の世界。
神は導こう。」
会話が出来ないだと?
「っ?!」
その声を聞いてから声は出なくなった。
問答無用ということか、それにしても強引な神様な事だ・・・
ゆっくりと意識を失うのを感じた。
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ある小さな村の離れには大きな森が存在する。そしてその森の奥深くには一軒の大きな屋敷が存在する。
死の森とも恐れられるその森は沢山の魔物が住み着き、誰も近づかないので誰一人としてその屋敷を知る者はいない。
そんな屋敷は私が住んでいる。
「さて、誰も立ち寄らぬはずのこの地に何故こんなモノが・・はぁ」
担ぎ上げたのは小さな少年。
川に水汲みに来ただけなのにな・・・
身綺麗な高価そうな服を纏った金髪の少年。
面倒事だと捨ててしまいたかったが、勇者のお節介が移ったのか、私はその少年を屋敷に連れ帰った。
「面倒ごとを背負い込んでしまったようだな。
コレも神の意志とやらか・・傍迷惑な者だな。」
この世界に来て最初に行ったのは多くの知識を集める事だった。
生きる為にも必要だったが、元々賢者という者は知識に対して貪欲な者が多く、私にもコレは当てはまり、趣味も兼ねて知識を集めた。
結果、少なくともこの国の宰相に成れるくらいには知識を持っている自信がつく程にはこの国を、世界を知ったつもりだ。
この世界はとても興味深い。
私がいた世界とはまた違う。
あの世界は全ての人間が魔力を持っていたが、この世界は王侯貴族のみが魔力を所持し、稀に平民も魔力を持つと言うものだった。
そして、この世界の魔法は矢鱈と呪文が長い。
全ての呪文には神への祈りが込められていて、一つ唱えるのに早くても2〜3分掛かる。
私もこの世界の魔法を使う事が出来たが、あの世界の魔法の方が利便性の高いものだと判断して研究をするも使用する事はない。
まぁ、愚痴はこの辺にして置いて・・・
「王族・・か・・・。」
少年の服に刺繍されているのは紛れもなくこの国の王家の紋章に間違い無かった。
恐らくは、家督争いのようなもので暗殺されそうにでもなったのだろう。
容姿から見てまだ幼い10歳位という事は侯爵家の母を持つ第一王子のアレックス王子だ。
「拾ったのは間違いだったか?
だからと言って、此れから捨てるのもな・・・はぁ
勇者に毒されたな。」
勇者に出会う前の自分なら直ぐさま捨てただろう。
いや、拾いすらしなかった筈だ。
さて如何しようかと考えていた時だった。
王子さまのお目覚めだ。
「っ!っ?!
だっ誰だ。」
「命を救ってやった恩人に礼の一つも言え無いのか。」
目覚めた王子さまを黙らせるのは簡単だった。
一発殴れば、頭を抱えて黙り込んだ。
これは何時も喧しい勇者に利用していた手で、殴れば大概黙っていた。
稀に痛いやら暴力やらごりら?やらと意味のわからん事を喚いていたが、もう一度殴れば必ず黙った。
これは経験談だ。
「っ?!
賢者アーシャ?!」
「?!・・ほぉー。」
ニヤリと頬骨が上がるのを感じた。
何故私が生まれた世界では無いこの世界で私を知る男がいるのか?
それは私と同じ境遇の者という事だ。
面白い。
捨て無くて良かった。
「さて、命の恩人たる私に君の持てる知識を与えるのは当然の報酬だと思わないかね?」
「え?」
「勿論、命の恩人だ。
否とは言うまい。」
顔を引きつらせて、後退りしているが関係ない。
このような面白い事を逃すわけにはいかない。
目が覚めた王子さま。
出会ったのは美しい姫君ではなく、知識を貪欲に求める賢者様だった。
此れが後に語り継がれる賢王と賢者の出会いであった。
さて、始まりました。
此れから少しづつ完結に向けて投稿していきたいと思います!