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戦闘:唐突に襲い来る殺意

6話ですかね。

「うわあああぁぁぁ!!」

 三槍統矢は絶叫した。

 どうしてこうなった!?

 彼が『一騎打ち』に参加することを決めてから、およそ3時間。

「逃げないでくださいよ統矢さん、きちんと狙えません」

「きちんと狙われたら俺が死ぬだろうが!」

「私はこれでも熟練ですよ。寸止めくらい余裕です」

「当てるって言ってたよね!?」

「先っぽだけ、先っぽだけですから」

そこは、決して広い空間ではない。闘技場のような、何もない空間だった。

 統矢はその中で、科学の鎧を纏う少女に追い回されていた。

 自らのほんの数センチ横を、剣やレーザーが通り過ぎていく。

「危なッ!?」

「あ、レーザーは寸止めできないので、根性で避けてくださいね」

「なら撃つなッ!!」

ただでさえ相手は、科学の鎧で素早く動ける。その上、自分は動きにくい革靴なのだ。

 とてもではないが、避けられるはずがない。

 普通なら、何もわからない状況ならば。

「(あの鎧の、少女の駆動には、決まりがある)」

それを、統矢は既に悟っていた。

 ゴッ!!と、轟音を立て、凄まじい速さで先回りする。

 しかし。

「予想通り」

 彼は小さく呟くと、一気にUターンする。

「……?」

少女は驚きつつ、再び追い立てる。

しかし。

「予想通り」

また、丁度いいタイミングでUターンされる。

 その様子を伺っていたスカアハは、

「ほう……」

かなり驚いた。

「もう性質を悟ったか……何て奴だ」

少女の鎧は、直線上にしか飛べない。

 だからこそ、その駆動途中に相手が違う方向に避ければ、あっけなく避けられてしまう。

 その弱点を、統矢は、短時間の観察で見抜いていた。


 それから十数分が経った。

「終わらないな……」

スカアハは、そう呟く。

 未だ、2人の戦闘は続いていた。

 どころか、まだ少女は1発も、攻撃を入れられていなかった。

「……なるほど、やはり」

スカアハが呟き、

 その頃、2人は、同じことを繰り返していた。少女が攻撃し、統矢が避ける。

「……何故、当たらないんです?」

少女の小さな呟きに、

「避けてるからに、決まってるだろ!」

息切れしながら、統矢は返す。

 とはいえ、このままではマズイ、と統矢は悟っていた。

 あちらの方が、スタミナを使わず動けている。このまま持久戦を続けるのは、マズイ。

 とはいえ、どうすればこの戦いが終わるのかが、全然わからない。

 その時、

『あー、あー、聞こえるか2人とも』

脳内にテレパシーが来る。スカアハの声だった。

『これ以上無益な運動は慎みたい。よって、武具の開帳を許す』

「武具の開帳……?」

「それでは……やりすぎます!」

少女が叫ぶが、スカアハは聞く耳を持たなかった。

『単純な話、彼が武具を開放できれば助かるだろう? ここまで開放できないなら、彼は無能なのかもしれない。それなら、もう殺すしかないだろう』

「しかし……」

『やれ。これは命令だ』

「…………わかりました」

少女は、1度目を閉じたあと、

「お願いします……死なないでください。今からする攻撃は、絶対に避けられません。絶対に、受け止めてください」

その言葉を最後に、何かを詠唱し始める。

「It is one of the chariot run the battlefield.(それは戦場を走る1つの戦車。)」

「It just runs in order to destroy the enemy.(それはただ敵を滅ぼすために走る。)」

「Go the future, silver chariot! !(未来を拓け、白銀の戦車!!)」


「なッ!?」

少女の言葉が終わると、鎧の形が変貌していく。

 より武装を増やし破壊に特化し、抵抗をなくし速度は増して。

 より、戦いに適した形へ。

 それを操る少女自身の顔も、元の無表情は身を潜め、凶暴なものになっていく。

「何だ……ッ!?」

少女が右腕を振りあげる。

 その少し太くなった先端から、シュッ、という音と共に剣が突き出、それは次第に光を帯びていく。

「(あれは……まずい! 寸止めとかそんな次元じゃない!あんなもんに当たったら……即死だッ!

しかも、避けられないだと……!?どうしろっていうんだッ!?)」

……受け止めるしかない。なんとか、真正面から受け止めるしか!

 統矢は、覚悟を決めた。

 とにかく、生きねば。

 それだけを考え、行動に移す!

 この一撃、受け止めてやる!!


 輝く剣が、振り下ろされる。




「……何?」

その様子を見ていたスカアハは、呆然と呟いた。

「槍ではない…………剣、だと?」

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