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実情:世界の裏側、彼の内側

4話でござる(`・ω・´)+

 殺し合いは、終わっていない。

 彼女は、そう言った。

 戦争という言葉が、死語になりつつある、この世界で。

 未だ、殺し合いは続いていると。

「……ありえない」

統矢は、首を振って否定する。

 戦争があっているなら、報道が入るはずだ。そんな物生まれてこの方聞いたことがない。どこかで、戦争が起こっているなどと。

「戦争は、起こっていないはずだ」

「ええ。戦争は起こっていません。ですが、殺し合いは起こっているのです」

「……? それは……俺が聞いてもいいことなのか? 情報の隠蔽とか言って殺されるのは嫌だぞ」

「大丈夫です。少なくともあなたは。」

少女は、髪をかきあげ、

「続けます」

やはり淡々と語る。

「争いはなくなりません。人類は他人のことを最終的には理解し得ないのですから。ただ、戦争という形から次の形にシフトした、というだけです。その形は、簡単に言えば、一騎打ちです。各国から強豪を集め、殺し合わせ、それを戦争とする。それが、遥か昔に考えられた戦争の代わりのシステム、正式名称『デュエル』です。あだ名では一騎打ちとかバトルとか色々言われますが」

「一騎打ち……」

「まぁ、一騎打ちとか言いますけど、実際は集団戦です。1~4人のメンバーでの戦いになります。魔法は対魔法魔術とかで防がれがちですが、科学は流石は未知、防がれることは少なく、だからこそ我々科学の力を使える者、人呼んで『科学者』が一騎打ちに出るわけです」

「……」

「頭の整理、追いついてますか? ……進めます。この提案が出た当初は各国ともかなり混乱したらしいですが、人口の減少も少なくて済む、この合理的なシステムに、最終的に全世界が満場一致でこのシステムを採用しました」

「……そして、他の人々が平穏に暮らせるように、この事実を隠蔽し、和平したように見せかけた?」

「理解が早くて助かります」

それは、少なくとも戦争をするよりは、理想的な形のはずだ。

 しかし、統矢は何故か、それを認められない。

 少し前までの、科学の存在の否定のように。

「それは……正しい、のか? 少なくとも、『科学者』っていう奴らは、他の奴らが味わえる幸せを味わえないんだろう?それは……差別なんじゃないのか?」

「あなたが言いたいことは、わかります。ですが、嫌だからといって通る世界ではないのです。必要悪、という物です」

「……」

「言い方を変えましょう。例えば、富豪の家に生まれた子供を考えてください。彼もしくは彼女は、一般的な子供と比べて、習い事などのために、遊ぶ時間が少なくなってしまう。しかしそれは、しょうがないことです。それに、それ自身が当人に対して利になるでしょう。それと同じです」

「……」

統矢は、納得できたわけではない。

 しかし、それは仕方のないことだと悟った。

 あえて言うなら、この苦しみは、人々に課された、原罪なのだろう。

 そう思い、諦めただけだ。

「それで……俺も、その『科学者』なのか」

「ご名答です。スカアハさんは、あなたが『科学者』であると言っていました」

「スカアハさん……、あの女性に、人が『科学者』であるか見分ける力があるのか」

「そのようです。私も詳しくは知りませんが」

少女は1呼吸置き、

「そして、兵力確保のためにあなたを攫った」

その後暫く、両者とも沈黙した。

 これ以上知りたいなら、私たちの仲間になれ、という暗黙の要求だった。

 そして、その沈黙を破ったのは、

「ただし、俺たちは強制はしないぞ」

今まで沈黙を貫いてきた、義人だった。

「俺は、お前のことを賭け値なしの親友と思ってる。……こんなことに巻き込んでしまってすまないが、選択する自由までは奪わない」

彼は統矢に、まっすぐな視線を向けていた。

「やらなくても、今までの日常は変わらない、と約束する。やるとしたら、悪いようにはしないことも約束する。その上で選んでくれ」

彼はしかし、統矢がどちらを選ぶかはわかっていた。

 その上で問うた。

 本当にそれでいいのかと。

 統矢も、そう聞かれていることを十分理解している。

 その上で、答えは1つ。

「やるよ」

迷いなく言い切る。

「親友が知らないところで傷つくのを無視はできないからな」

そう言って義人に笑いかけると、あっちからは困ったような苦笑が帰ってきた。

 少女の方は、驚いたように、ほんの少し眉を吊り上げていた。

「随分、即答するんですね。命を懸けるんですよ?」

「あぁ……わかってる。……でも、」

統矢は、少女に笑いかけた。

「俺の命なんて、安いもんだろ?」

ゾッ、と、した。

 その言葉を聞いた瞬間、その笑みを見た瞬間、少女は知る。

 それは、虚勢ではない。

 彼は、自らの命のことを、何とも思っていない。

「…………」

少女は、気づいた。

 冷静沈着。

 もしかして、冷静を極めたら。

 自らを、世界全体から、主観的でなく、相対的に見て。

 ゴミとすら、思わなく、なる?

 果てしなく、意味がないように、思う?

 自らの、存在位意義を、見失う?

 この少年は。僅か10代後半の、少年は。

 既に、そこまで、悟りきっていたというの……?

内容がないy 黙れッ!>(´・ω・)つ)主)∵グハッ

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