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初まりと始まり

『誰だって一度はヒーローになりたいだろ?ヒーローになって悪者をやっつけるんだ!』

ーじゃあ、だれが悪者やるの?

みんなヒーローになりたいんだもん、悪者やりたい人なんかいないでしょ?

「でも悪者いなくちゃヒーローになれないよ。戦って勝つのがヒーローさ」

「わかった!じゃあさ、交代交代にしよーよ。そしたらみんなヒーローできるよ!」

「おっけー、よしジャンケンだ!」

「ー○○負けたから悪者ね!」

ーうん、でもきっと交代してね

「大丈夫!はじめよう!」



ーねえ、もう代わってよ

「ダメだよ、まだ俺ヒーローやりたい」

ーでも僕ずっと悪者だよ?もうやだよ

『悪者がいるからヒーローがいきるんだ、

大事な役なんだぜ?』

ーでも……

『○○が悪者一番似合ってるよ。みんなもそう思うでしょ?』

ーでも、僕は……

「次俺がヒーローな!」

ー僕は……ヒーローになりたかった……


「わかった、いいよ。でも…でもね…」




ーー次は君の番だよ?




「ジリリリリリリリ!!!!!!」

けたたましいアラームで目が覚めた。

いつも起きようとしたって起きられないのにその時は嫌に目が冴えていた。

二度寝する気も起こらなかったから、いくつか設定してあるアラームを順番にOFFにして携帯を枕元に投げた。

確か早いやつは6:00に設定したはずから…

まだバイトまで余裕がある……よな?

眠くなかったけどすぐ起き上がる気にもなれなくて、とりあえずベッド下に落ちてるであろうリモコンを手探りで探してみる。

あ、これは…違う。エアコンのやつだ。

あった、あった。

テレビに向けてボタンを押すと、昨夜のまんまのボリュームで朝のこの時間にはちょいとやかましい。音量を下げつつ、なんとはなしに流れるニュースを聴いていた。


「ーでは次のニュースです。今日未明、東京都内のとある駐車場にて20代の女性の遺体が発見されました」

おいおい、朝っぱらから物騒だなあ…

「女性は遺留品から都内に住む大学生、坂崎美奈子さんとみられ、遺体の状態から警察は殺人事件として捜査しています。美奈子さんは全身を鋭利な刃物でめった刺しされており、死因は出血多量による失血死とみられています。また、警察は……」

へー、かわいそーだな。まだ大学生なのに、痛かっただろうなあ……

坂崎美奈子さんか。

さかざき、みなこ…

みなこ?大学生?


『じゃあ名前は?』

『坂崎美奈子でーす!兄がいつもお世話になってます!』

『うっわ、超可愛いじゃん!なんだよお前、こんな可愛い妹いるなんてきいてねーよ!』

『お前らに言うわけねーだろw』


『じゃあ俺、みなちゃん送ってくわ』

『わりぃな、任せちまって』

『もう大丈夫なのに。お兄ちゃん心配性なんだから』

『お前危なっかしいんだよ』

『ホントお兄ちゃんは心配性でちゅねええ』

『おめぇらは黙ってろ!』

『分かったからw安心して夜勤行ってこい』


あ…れ?


「なお、被害者が遺棄されていた自動車は同じく都内に住む知人のものであることが判明しており、警察は近々事情聴取を行うとしています」


え、だって、昨日は…佐藤と坂崎と山城と久々に飲んでて…

近くで、坂崎の妹がバイトしてるって、

そんで、終わったっていうから…無理言って呼んでもらって…

5人で楽しくやって、坂崎が夜勤あるって言うから、車で来てた俺がみなちゃんを送ることになって…

それで……それで?


わかんない

思い出せない

運転あったからノンアルしか飲んでないし、ちゃんと昨夜の記憶もある

なのに、なんでそこだけ…



『警察は事情聴取を……』


「ピンッポーーーーーーーーーン!!!」


静寂と平穏がいっぺんに切り裂かれた

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