ブランコ
その方面に想像力が豊かな方に感じていただける、
これは純然たる性的な物語です。
けれど18禁指定でないのは、想像しなければそういう話ではないからです。
嫌悪感を催される方はお読みにならないことをオススメします。
ブランコに乗っている。
いつから乗っていたのかはわからないし、いつ降りるのかもわからないが、とにかくブランコに乗っている。
座っている、のほうが正しいかもしれない。私はブランコを漕いでいない。ゆれないブランコには乗っているというべきかどうか、私は少しだけ考えてやめた。
ふと、視界の隅に白いものが移った。
首を傾けてみる。私と同じく、ブランコに腰掛けた少女だった。
肩より下りの黒い髪、痛いほど白いスカートの裾は微動だにしていない。
少女はまっすぐ前を見ていた。私などまったく眼中にないようだった。
静かな場所だった。
ブランコと、私と、少女しかなかった。暗くも明るくも無く、寒くも暖かくも無い、乾燥しても湿ってもいない場所だった。
私は、何かの疼きをもってしてブランコを軽く前後にゆすった。
少女が、それに釣られたかのように私と同じく前後に揺れた。
空気が変わった気がした。
面白くなって、私はどんどんブランコを漕いだ。ゆれ幅が大きくなる。重心を上手に取って、もっともっと激しく大きく動くように。
少女のブランコは私と連動しているかのように、私のゆれ幅と同じだけ大きく前後し始めた。
少女の髪がブランコよりも少し遅れて前に後ろに揺れている。
何もかもが私のするとおりに揺れることが面白くてたまらなかった。
もっと、もっとと貪欲に、私はブランコを揺らした。
空気が暖かく、熱くなってきた。
じっとりとまとわりつく湿気が、不快すぎて心地よかった。
ブランコを支える私の頭上の繋ぎ目が、これ以上揺れないと悲鳴を上げ続ける。
少女の髪が、スカートが、乱れて揺れて、美しいと思った。
私にはこの場所も、少女も、ブランコの意味もまったくわからないのに、けれどなぜか私はこのブランコの行き着く先だけはしっかりと理解していた。
揺れるブランコと、揺れる少女と、揺らしているのは私。
やがて訪れたえもいわれぬ衝撃のような爽快感に、私は小さく声を漏らして、まぶたを閉じた。
ブランコの揺れはびたりと止まり、私はまた、ただブランコに乗っている。揺らすことを、まったく望んでいなかった。
辺りは静かで、濃密だった空気は薄ら寒いものになっていた。
隣のブランコに首を廻らせて見たが、少女はそこにおらず、やはり私のブランコと同じようにソレは微動だにしていなかった。
少女がいたブランコの下に、小さな赤い水たまりができていた。
私は女なので男性の完成の話を書くと、ある種のファンタジーになってしまうんじゃないかと思ってます。
だからこれはファンタジーの話。区分は違えど、ですけどネ^^;