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双刃の剣

泥と血の匂いが染みついた、薄暗い司令部の天幕。ドレフィス総司令官は、腹心の参謀から忌々しげな報告を聞いていた。


「…以上です。例の『隻眼』と狐の女…アポロとシルクですが、彼らのいる部隊の突破力は凄まじい。ですが、同時に味方の指揮系統を著しく乱しております。あまりに奔放すぎる」

「わかっている…」


ドレフィスは地図を睨みながら吐き捨てた。あの二つの駒の有効性は認めざるを得ない。だが、その力はあまりに野生的で、制御が効かなかった。


「奴らは劇薬だ。病巣を焼き切る力があるが、使い方を間違えれば我が身を滅ぼす。双刃の剣よ」

参謀が懸念を口にする。

「では、いかがなさいますか。一度、後方へ?」

「いや…」


ドレフィスの目に、爬虫類のような冷たい光が宿った。


「…ならば、病巣ごと焼き切らせて、灰になるまで利用し尽くすのが最善だろう。最も過酷な場所に投入し、敵もろとも消えてもらう。それが、あの忌々しい牙を最も有効に使う方法というものだ」


彼は、使い捨てる駒に、一瞬の憐憫すら抱いていなかった。


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