表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/30

5-1狂気と閃光


続けてアポロは、呪の仮面も破壊すると血だまりの中に横たわるシルクの亡骸を、静かに抱き起こした。

そういえば種明かしのなかった仕掛けが作動せず、なぜ爆破しなかったのか、ブラフだったのか、それともオレの魔力の質が変わったせいなのかわからなかったが、シルクを失ってしまった今はもうどうでもよかった。


シルクの亡骸はまだ、温かい。

だが、その心臓は動いておらず、魂の光は完全に消え失せていた。

隣には、魂を失った双子の妹、ティナの亡骸。

ともに黒い薔薇が刻まれいていた。


「…馬鹿野郎が」 アポロの隻眼から、涙がこぼれ落ちた。

「…なぜ、お前が死ぬ。なぜ、俺を守る。…俺は、お前に守ってもらわなければならないほど、弱くはない…」

後悔と自責の念が、彼の心を灼き尽くす。


(俺のスキル…治癒(Skil 1)は、代謝の加速だ。死んだ人間は、蘇生できない)

(戦闘(Skil 2)は、俺自身の加速だ。時間を戻すことはできない)


絶望が、彼を支配しようとした。

その時、アポロの脳裏に、彼のスキルの本質が閃光のようにひらめいた。


(「生命ライフ・ストリームの加速」…)


もし、俺の能力が、単なる肉体の代謝ではなく、「生命そのものの流れ」を操作するものだとしたら?

もし、この世界に流れる魂や生命力そのものに干渉できるとしたら?


「…そうか」 アポロは立ち上がった。

隻眼に、狂気とも、あるいは神への挑戦とも取れる、凄絶な光が宿る。

「…まだ、終わりじゃない」


彼は、シルクの亡骸の隣に、ティナの亡骸を丁寧に並べた。

双子の身体。瓜二つの器。

ティナは魂を失い、

シルクは肉体を失い死んだ。

だが、ティナの身体は、魂が抜けただけの「器」として、まだ生きている。


(親和性は、高いはずだ)


アポロは、両の手をかざした。

「…動け」

彼の魔力が、周辺の空間、大気、そしてこの世界そのものに満ちる「生命の流れ(ライフ・ストリーム)」に干渉していく。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ