2-3「ご立派なドレフィス総司令官と愉快な仲間たちは、俺たちをエサとしてここで敵ごと潰す気だ。」
アポロは静かに頭を下げた。
その恭順な態度に満足した総司令官と参謀たちは、金を渡したアポロ達の背中を見送りながら、誰にも聞こえないよう遮音の魔道具を用い「フン金の亡者め。」「せいぜい、敵兵を道連れにする餌になってくれよ。」と呟いた。
西の渓谷地帯、『蛇の腹』。
アポロは、シルクとその部隊長たちを集め、静かに告げた。
「ご立派なドレフィス総司令官と愉快な仲間たちは、俺たちをエサとしてここで敵ごと潰す気だ。おそらく、俺たちが敵と交戦を始めた頃合いを見て、崖の上から落石でも起こし、この渓谷を敵の巨大な墓場に変えるつもりだろう」
「なんだって!?」
「あんの野郎、やっぱり…!」
シルクたちが激昂する。だが、アポロはそれを手で制した。
「だが、それを逆用する」
彼の隻眼が、狩人のように鋭く光る。
「聞くんだ。総司令官の筋書き通り、シルク隊は渓谷の中央で敵の追撃を迎え撃て。ただし、これは囮だ。全力で戦うフリをして、敵をこの渓谷の奥深くまで引きずり込め」
「フリだって? 正気かい、あんた!」
「ああ。俺の部隊は、囮となる部隊の援護と崖の死角に潜む部隊に分ける。そして…」
アポロは、彼らが通ってきた後方の崖の上を指さした。
「『味方』が俺たちを裏切るその瞬間、俺たち崖の死角に潜む部隊がその『味方』を背後から叩く」
そのあまりにも大胆不敵な策に、シルクは一瞬言葉を失い、そして次の瞬間、獰猛な笑みを浮かべた。
「…はっ、面白い! あんた、見かけによらず、とんでもないヤツだね!」
「まだその先がある・・・・」続きを聞いたシルクたちは動揺し、背中を這い回るような戦慄を感じていった。




