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2 恋する魔法使いの気持ち

 センターギルドでSランク魔法使い冒険者と認定された。但しレベルは1だという。魔法も戦闘も未経験だから当然なのだが……。


 ボクは、戻ってきた聖女アリシアさんと、王都の東にある大聖堂に向かった。




「アリシアさん、ボクの余命半年の話を聞いてから急に飛び出して行ったんですが、何か気になることがあったんですか?」


「気になるも何も⋯⋯余命半年では冒険者なんかやってる場合じゃないでしょう?」


「そ、そうですね。確かに。でも早くモリクボ先輩に再会するには、これが最善とアリシアさん言ってたじゃないですか⋯⋯」


 困惑したボクの言葉に、アリシアさんは立ち止まってボクの胸をつついて言った。

「あのですね、私はこれでも聖女なのよ? 余命半年と聞いて『はい、そうですか』と聞き流すわけがないじゃないですか」


「それはそうですね」


「教会の持つ全ての魔法技術で、あなたのその余命半年の原因調査と治癒計画をたてるのよ」

「日本で原因が分からず医者も匙を投げたボクの身体を治すなんてそんなこと可能なの?」


「絶対に治す。勇者さまを異世界から召喚したからには絶対に、なんとしてでも。私たちの光魔法で必ず!」

「アリシアさぁん⋯⋯」


 会って間もないボクにそこまで言ってくれるなんて。


「そうしないと私たちの世界も危ういのよ。どうしても異世界勇者の圧倒的パワーが必要なのよ」


「あっ、はい」


 理由はどうあれ、ボクの余命半年をなんとかしてくれようとしているのは嬉しい。正直震えた。


   * * *


「それでは、このベッドに横になって……」

 ボクは服を脱いで仰向けで横になった。


「あんっ、パンツも全部!」

「ええっ……」


 聖女アリシアさんが、ボクの身体を、あらゆる光系魔法で調べ上げた。


「うーん、身体のどこにも異常が見られない。ただステータスだけがおかしい。状態異常。HP上限が少しずつ削られている」


 ステータス? HP? まるでゲームだ。


 しかし聖女や、王国でも名を馳せた大魔道士の知識と力を持ってしても削られていくHP上限の減少の原因は不明。ただし余命だけはわかった。


 このままでは半年後にはHP上限がゼロに……。



 

 そこで大司教さまが、近づいてきて助言をする。


 ——西の果てにあるという幻の都、ゴンドーラ。


 そこはかつて魔法技術で栄華を極めた一〇〇〇年王国があったという。


 今は砂漠に埋もれた遺跡のみを残しているが、その地下には古代の叡智が今も眠っている。


 西から訪れる冒険者や商人からの噂ではあるが。


 そこには不老不死の妙薬、命の秘密にせまる魔導書があるらしい。

 行ってみる価値はあると思わんか、と——




「いいですね、では早速冒険者ギルドで、パーティ編成を……」


「いやだッ!」

 ボクは即答で拒否をした。


「は?」

 聖女アリシア、その周りにいた魔道士たち。そして大司教さまが、目をまるくしている。


「そんなところに行ってたら、モリクボ先輩に会う前に余命がなくなってしまう」

「いや、それでも、今のままでは半年後には……それなら幾らかでも可能性がある方に賭けてみるのも……」


 ——ボクは、短い命を少ない可能性に賭ける位なら、直ぐにでも帝国に向かって「モリクボ先輩に再会したい」と懇願するも受け入れられず。



 ボクと聖女アリシアは、再びセンターギルドへと足を運んだ。



          —— つづく

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