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第8話 動く要塞を超えろ! 新必殺技誕生!

試合開始のゴングが鳴る。


 「――ッッ!!」


 鉄の鎧を軋ませながら、重騎士団がゆっくりと前進を始めた。


 速くはない。だが、絶対に退かない。


 前線は重装歩兵、後方に控える守護騎士がボールを回収し、すぐさま分厚い壁の中へ隠す。


 (取れない……!)


 健斗が何度も突っ込むが、鉄の盾と分厚い鎧で完璧にガードされる。


 突撃すれば、逆に重装の体当たりで弾き飛ばされる。


 「おおっと! 赤沢健斗、完全に押し負けています!!」


 実況席の魔導通信機が騒ぐ。


 ――ドゴォ!


 鉄壁に跳ね返された健斗が土煙を巻き上げて転がる。


 「くそ……! 体が鉄の塊みてぇだ……!」


 立ち上がる健斗を、重騎士団のキャプテン・バルドが見下ろす。


 「速さなど、鈍重なる鋼には通じぬ。小僧。」


 ドス黒い声が、鉄仮面の奥から響く。


 後方ではトマトッツが眉間に皺を寄せ、杖を握りしめていた。


 (雷で吹き飛ばそうにも、魔法障壁を鎧に内蔵してやがる……!)


 打つ手なし――

 誰もがそう思った。


 だが、その時。


 「トマトッツ!!」


 健斗が叫んだ。


 「お前の魔法、爆風だけじゃなくて、俺を飛ばすことはできるか!?」


 トマトッツは目を見開き、次の瞬間、狂ったように笑った。


 「できる。いや、やってやるさ!」


 健斗は泥だらけの顔をあげ、ニヤリと笑った。


 「なら、俺が鉄壁を超えてみせる――!!」


 重騎士団の鉄壁フォーメーションが再び前進する。


 ――その前に、健斗が立ちはだかる。


 「《雷撃加速・第二段階》……!」


 トマトッツの杖が空気を裂き、健斗の背に巨大な雷の竜巻がまとわりつく。


 「いっけえええええええッッ!!」


 ドォン!!!


 雷光の推進力を受けた健斗が、鉄の壁へ真っ直ぐ飛び込む。


 重騎士団の盾と鎧を轟音と共に弾き飛ばし、後方の守護騎士の背後へと一瞬で回り込んだ――!


 「もらったぁあああああああ!!」


 ――ズドン!!


 稲妻を纏ったスライディングキックが、守護騎士の脚元からボールを刈り取る。


 目を剥く守護騎士。

 だが次の瞬間、健斗の足元に現れたのは――


 「《ヘヴンズ・クラッシュ・テンペスト》ッ!!」


 トマトッツの大魔法が、健斗とボールを一気に吹き上げた!!


 空中へ跳躍した健斗の右足が、稲妻を伴って閃光と化す。


 「くらえええええええええッッッ!!」


 ――ゴオオオオオッ!!


 鉄壁の要塞のさらに上空から放たれた雷撃シュートが、重騎士団のゴールネットを粉砕した。


 轟音と土煙――

 フィールド全体が歓声で震えた。


 「……やった……!」


 泥だらけで笑い合う健斗とトマトッツ。


 誰にも破れない鋼鉄の壁を、二人の新必殺技《雷撃加速》が打ち破った瞬間だった――!


つづく


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