第6話 必殺コンビ技発動! 大魔法で切り拓け、逆転の一撃!
フィールドは、まさに戦場だった。
疾風騎士団の重装騎馬兵が突撃し、馬上からのパス回しと体当たりで健斗たちを押し込む。
観客席からは悲鳴と歓声が入り混じる。
「クソッ……追いつけない……!」
健斗は必死に盗賊スキルで回避し、食らいつくが――馬の突撃力は想像以上だ。
だが、その背後に一人だけ余裕の笑みを浮かべる者がいた。
トマトッツだ。
(もう少しだ……もう少し集めろ……)
杖の先端に紫電のような魔力が渦を巻き、空気が振動し始める。
「健斗!」
トマトッツの声が、雷鳴のように響いた。
健斗は歯を食いしばり、騎馬兵団の密集陣形へと単身突っ込む。
「うおおおおおおおおおッッ!!」
エルヴァの槍が健斗を狙う。
だが、健斗はその槍先を飛び越え、馬の背を蹴り、空へ跳躍――
「今だッ、トマトッツ!!」
「《ヘヴンズ・クラッシュ・テンペスト》ッ!!」
轟音と共に、上空を裂いて魔法陣が十重にも重なる。
青白い稲妻の竜が咆哮をあげ、フィールド全体を覆い尽くす嵐と共に落下する――!
疾風騎士団の馬たちは恐怖でひづめを止め、その瞬間、陣形は完全に崩壊した。
「行けえええええええッ!!」
空中から健斗が一直線に落下し、稲妻の竜の背に乗るようにしてボールを蹴り込む。
蹴撃の瞬間、雷光が弾け――
ドォォォォン!!!
騎馬兵の防壁を貫き、ゴールネットを引き裂く雷の一撃!!
観客席が悲鳴と歓声で揺れ、僧侶の結界が弾け飛ぶほどの衝撃が走った。
「決まった……!」
倒れ込む健斗の背後に、杖を支えながら汗だくのトマトッツが立つ。
エルヴァは土煙の中で、茫然とネットに突き刺さるボールを見つめていた。
「……これが……異世界人の、力か……」
声にならない呟きを残し、エルヴァは馬を引き、撤退の合図を送った。
フィールドに残るのは、雷光の残滓と、勝利の歓声だけ。
トマトッツが疲れ切った顔で、健斗に手を伸ばした。
「立て、相棒。お前の速さがなきゃ、俺の魔法も意味がない。」
健斗はにやりと笑い、手を取り立ち上がる。
「お前の魔法がなきゃ、俺の足も無力だ。」
二人の手が固く握られた瞬間、観客席から大歓声が巻き起こった。
雷と影――
最強のコンビが、異世界サッカーに新たな伝説を刻んだ。
つづく