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異世界転生したエースストライカー、血と魔法のフィールドで再び輝け  作者: 南蛇井


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新たなるサッカーの始まり ――地より這い出しもの――**



大地に刻まれた黒い脈動

 魔王ヴァルディアスを倒し、世界は歓喜に包まれた。

 勇者団は王国の英雄となり、フィールドには祝祭の花が咲き誇った。

 だが――

 世界の深層、地底深く。

 そこには、かつて魔王ですら触れ得なかった《原初の災厄》が封印されていた。


魔王の死が、封印を解く

 黒い血潮のような脈動が、大地の奥底を蠢く。

 ――ヴァルディアスの魔力が散り、結界が崩壊した。

 眠り続けていた《地より這い出しもの》が目を覚ます。

 その名は――《グラウンド・ワーム》。

 大地そのものを喰らい、

 全てを肥沃な死のフィールドへと塗り替える、

 大陸誕生以前からの《原初のピッチモンスター》。


新たなる異変

 王都セレスティアの地下。

 突然、地面が割れ、黒い触手と泥沼が噴き出した。

 祝祭のフィールドは、一瞬で荒れ果てた死のグラウンドに変わる。

 勇者団が駆けつける。

 「……嘘だろ……!

  魔王を倒したのに、まだ終わらないのかよ!!」

 健斗は咆哮した。

 「上等だ……!

  ならまた蹴り飛ばしてやる!

  どんな化物だろうと――

  俺たちのサッカーは止まらない!!」


《原初のフィールド》へ

 大地の裂け目から這い出す、山ほどの触手と牙の蠢き。

 その中心に――巨大な、泥と骨の塊のような怪物。

 それが、グラウンド・ワームの本体だ。

 ガロンが拳を鳴らす。

 「また新しい“試合”が始まるってことだな……!」

 トマトッツが笑う。

 「やっぱり面白いじゃねぇか!

  地底だろうが魔界だろうが――

  ゴールがある限り、俺たちは蹴るだけだ!!」


勇者団、新たなるキックオフへ

 健斗がボールを足元に置く。

 泥の海の向こうに、仲間が集まる。

 「行こうぜ――

  新たなる《フィールド》へ!!」

 咆哮する地底怪物に向かって、

 勇者団の新たなキックオフが鳴り響いた――!


第1話 恐れを知らぬ狂戦士、現る!


地底フィールドの衝撃

 王都セレスティア地下――

 裂け目の底に広がるのは、どす黒い泥の海と化した《原初のフィールド》。

 そこに、勇者団は飛び込んだ。

 健斗が泥を蹴り、叫ぶ。

 「くそっ……!

  足が取られる! 普通のフィールドじゃねぇぞ、ここは……!」

 周囲には、牙の生えた無数のスライム状の怪物が蠢いている。


現れた狂戦士

 その時――

 ズドンッ!

 泥の海が爆発したかと思うと、巨大な斧が振り下ろされ、怪物を一刀両断した。

 現れたのは、漆黒の鎧に血染めの布をまとった一人の男。

 全身、傷だらけ。

 狂気の笑みを浮かべ、真っ赤な目をギラつかせる。

 「ハッハハハハッ!!!

  ここが死地か!? 最高だ、最高だ!!」

 怪物に飛びかかり、次々と叩き潰していく。


狂戦士の名は――クローネ

 ガロンが呆れたように呟く。

 「……まさか、あの狂犬が生きてたとはな……」

 セレナが剣を構えつつ訊く。

 「知ってるのか、ガロン?」

 ガロンが頷いた。

 「“恐れを知らぬ狂戦士”クローネ。

  かつて王国の辺境で、戦争そのものを娯楽に変えた男だ。

  奴は敵味方の区別すら怪しい……」


クローネ、勇者団に接触

 クローネは血まみれの斧を肩に担ぎ、健斗の前に立つ。

 狂気の笑顔のまま言った。

 「よう、転生勇者さんよ。

  面白そうなサッカーやってんじゃねぇか。

  俺も混ぜろ。殺し尽くすまでな!!」

 健斗は眉をしかめつつも笑った。

 「……怖ぇな。

  でも――仲間にするしかないか。」


最凶の助っ人、参戦!

 こうして――

 《原初のフィールド》にて、

 恐れを知らぬ狂戦士クローネが

 勇者団に半ば強引に加わった。

 彼の暴力的すぎるタックルと、

 規格外のフィジカルは、

 新たな戦術を生み出すのか――!?



狂戦士、フィールドを蹂躙する

 《原初のフィールド》――

 泥と血のぬかるみに、クローネの狂笑が響き渡った。

 「ハッハハハハ!!

  おらおら、もっと来いやァァッ!!」

 突進する泥の怪物たちを、クローネは人間離れした突進で吹き飛ばす。

 鎧ごと体当たり、タックル、踏みつけ、投げ――

 フィールドを血と泥で塗り替えながら蹴散らしていく。


勇者団、必死に連携

 健斗が走りながら叫ぶ。

 「クローネ! もうちょい味方のこと考えろ!!

  お前の突進でフィールドまで崩壊してるんだよ!!」

 クローネは吠えた。

 「知るかァ!! 敵を蹴散らせりゃそれでいい!!

  お前ら、もっと面白くしろ!! 血が沸くんだよッ!!」

 仲間たちはクローネの暴走に巻き込まれながらも、必死にフォーメーションを組む。


深淵の使徒、這い出る

 その時――

 泥海がさらに深く割れた。

 地底から、瘴気と共に現れたのは――

 巨大な百足のような怪物。

 甲殻には無数の人面瘡が蠢き、

 腹部には、複数の眼球がぎょろりと光る。

 「グギギ……

  勇者……団……破壊……

  グラウンド・ワーム様ノ血肉トナレ……!」

 それは《グラウンド・ワームの使徒》――

 原初の怪物の眷属だった。


絶望の咆哮

 怪物は巨体をうねらせ、泥を飛ばして突進する。

 ガロンが叫ぶ。

 「くそッ、あれはやべぇ……!

  クローネですら、踏み潰されるぞ!!」

 クローネが狂笑する。

 「良いじゃねぇか……!

  これだ、これが戦場だァァァ!!」


健斗、指示を飛ばす

 健斗は冷静に未来視の残滓を使い、全体を見た。

 「……クローネを囮にするしかねぇ!

  あいつの突進力なら、怪物の注意を全部引ける!」

 トマトッツが魔法陣を展開する。

 「よっしゃ、行け健斗!

  俺が援護する、アイツが暴れてる間に、決めろ!!」


クローネ、決死の突撃

 狂戦士は吼えた。

 「オォォォォッ!!!

  踏み潰せるもんなら潰してみろやァァァ!!!」

 巨体の顎に斧を突き立て、

 全身で食い止めるクローネ。

 人間離れした筋力と狂気が、怪物の突進を止めた。


逆転の一撃へ――!

 その隙に、健斗がボールを足元に構える。

 「行くぞ……!

  クローネの命がけのタックル、無駄にはしない!!」

 泥を蹴り、疾走する健斗。

 トマトッツの爆裂魔法が怪物の触手を焼き払う。

 ――ゴールは、目前!

狂戦士、限界を超える

 泥の海で、クローネは巨躯の使徒の顎を斧で押さえつけ、歯を軋ませて笑っていた。

 「ゴギギ……まだだ……!

  もっとだ……!

  もっと殺り合えぇぇぇぇッ!!」

 巨体の顎がクローネの胴を噛み砕こうとする。

 だがクローネの体は、狂気の魔力でさらに膨れ上がり、血が蒸発するほどの熱を帯びていた。

 ガロンが歯噛みする。

 「無茶だ……! あいつ、自分の身体を魔力で焼き切ってやがる!」


勇者団、最後の連携

 クローネが死力で怪物の動きを止めている隙に――

 健斗とトマトッツが一瞬の目配せを交わす。

 トマトッツが叫んだ。

 「行け!

  《マジック・ロングスルー》!!」

 両手でボールに魔力を込め、

 空中に弧を描く放物線が生まれた。

 健斗が泥を蹴り、跳ぶ。


新必殺シュート――《ソウル・ボレー》

 健斗の頭に、かつてのローナルドの言葉が蘇る。

 ――お前のサッカーは、魂で蹴れ。

 足先に集めるのではない。

 心臓で蹴れ、命で撃て。

 「ローナルド……!

  俺、やってやる……!」

 空中で身体をひねり――

 魂を込めた右脚が、放物線を叩き切った。

 「《ソウル・ボレー》ッッ!!」

 放たれた一撃は、魔法陣を纏った閃光となり――

 巨獣の弱点である眼球を貫いた。


巨獣、絶叫――そして崩壊

 使徒の体が、内側から光と爆発で引き裂かれていく。

 クローネは血まみれの笑顔で吠えた。

 「グオオオオッ!!

  これだァァァ……!

  これが……戦場だッ!!」

 巨獣は泥の海に崩れ落ち、瘴気の塊となって溶けた。


生還、そして――新たな恐怖

 勇者団は息を切らして勝利の余韻に浸る。

 だが――

 遠く、泥の奥底から不気味な胎動音が聞こえてきた。

 「……まだ終わらないのか……?」

 健斗が汗だくで呟く。

 トマトッツが肩を並べ、口元を吊り上げる。

 「良いじゃねぇか。

  蹴り甲斐のある奴が、まだまだ地底に眠ってんだろ?」

 クローネが咆哮した。

 「次は何だ!?

  もっとデカい奴出てこいやァァァッ!!」


《原初のフィールド》深層へ――

 こうして――

 勇者団は《地より這い出しもの》の本体へ迫るため、

 更なる深淵へと足を踏み入れる。



地底深層域――血と骨の城塞

 勇者団が辿り着いたのは、泥の海を越えた先――

 無数の人骨が積み上がって築かれた《血と骨の城塞》だった。

 澱んだ空気に、腐臭が混じる。

 健斗は思わず眉をひそめた。

 「……ここが、使徒の巣か……?」

 トマトッツが指を鳴らすと、骨壁の隙間から数十の赤い瞳がギラリと輝いた。


血に飢えたネクロマンサー

 骨の玉座に座っていたのは――

 長い黒衣をまとい、骸骨の仮面を被った男。

 城塞の支配者、《血に飢えたネクロマンサー》――アザリオ。

 彼の声は、まるで死者の呻き声のように響く。

 「……転生の勇者……

  貴様の魂と血を――

  我が屍軍の糧とする……」

 指を一振り。

 地面から、腐敗した戦士たちが無数に這い出してきた。

 ガロンが剣を抜き、低く唸った。

 「厄介だぞ……!

  あいつの支配下では、死体は無限に蘇る……!」


クローネ、突進――そして罠

 クローネは躊躇なく斧を振り上げ、ゾンビ軍団に突っ込む。

 「グハハハハッ!

  死体だろうが関係ねぇ!

  まとめて潰すッ!!」

 だが、斬り伏せても斬り伏せても屍は蘇り、クローネの周囲を覆い尽くしていく。

 「クソが……!

  切りがねぇッ!!」


健斗、ひらめく新技

 圧倒的な屍軍の数に、健斗の脳裏に電流のようにひらめきが走った。

 (……止めても意味がない。

  でも……!)

 隣にいたトマトッツを振り返る。

 「トマトッツ!

  お前の《重力魔法》、まだ使えるか!?」

 「ハァ!? 使えるけど――どうする気だ!?」

 健斗はボールを抱え、狂気の笑みを浮かべた。

 「屍の軍団ごと――

  ボールを核にして圧縮する!!

  《グラビティ・ストームボム》だッ!!」


新必殺技、爆誕!

 トマトッツが笑った。

 「お前、マジで狂ってるな……!

  面白ぇ、やってやろうじゃねぇか!」

 健斗がボールを蹴り上げる。

 トマトッツが魔法陣を広げ――

 無数のゾンビを引き寄せ、圧縮し、潰す重力の渦が生まれた。

 城塞内が呻きと骨の悲鳴で満ちる。


血に飢えた支配者、動く

 アザリオは玉座から立ち上がり、手に血塗れの杖を構える。

 「愚かなる勇者ども……

  このアザリオ自らが――屍を超える死を与えてやろう……!」

 ガロンが剣を構える。

 「来るぞ、健斗……!

  ここからが本番だ!」




アザリオ、血の魔法陣

 《血と骨の城塞》の中心――

 玉座の前で、アザリオは杖を掲げた。

 「貴様らの血と魂……

  すべて我が魔の糧と化せ……!」

 床一面に広がる血の魔法陣が、ドロリと赤黒く脈打つ。

 足元の骨と屍が再び蠢きだし、血の沼となって形を変えた。


ガロン vs 血の騎士団

 先陣を切ったのは、重装の剣士ガロン。

 「オラァァァァッ!!」

 彼の大剣が血の鎧を纏った騎士団を次々と叩き潰す。

 だが切り裂かれた血は即座に集まり、別の騎士の形を成していく。

 「キリがねぇ……が、止まるかッ!!」

 彼の鎧は血で赤く染まり、刃は何度も血肉を裂いた。


クローネ、狂気の突破

 クローネは血の海を転がりながら斧を振り回す。

 「血でも骨でも関係ねぇッ!!

  潰すだけだァァァッ!!」

 血の魔獣に噛み付かれながらも、逆に腕を引き千切って笑う。

 全身から血が噴き出すが、狂戦士の狂気が止まらない。


トマトッツ、魔力限界突破

 トマトッツは健斗の横で、両手を魔力で焦がしていた。

 「健斗……次のシュートで決めろ……

  俺の魔力、全部貸す……!」

 顔色は死人のように青白い。

 だがその瞳は火花のようにギラついていた。


健斗、決死の新必殺シュート

 健斗は呼吸を整えた。

 (奴の血の魔法陣を……破壊する!

  俺にできる最大の一撃……!)

 トマトッツが最後の重力魔法でボールを押し上げる。

 健斗の目にローナルドの面影がちらつく。

 ――心臓で蹴れ、魂を乗せろ。

 健斗は吼えた。

 「《ソウル・ボレー》改――

  《インフィニティ・ストームボレー》ッッ!!」

 魂の全てを込めた一撃が放たれる。


血の魔法陣、粉砕

 閃光の如きシュートが血の陣を貫き――

 血の沼が爆散し、玉座の周囲が崩壊していく。

 アザリオの仮面が割れ、呻き声が響く。

 「ぐ……おおおおお……ッ!!

  我が血と骨が……貴様ごときに……!」

 断末魔の咆哮と共に、血と骨の城塞は大音響で崩れ落ちた。


勝利、そして新たな迷宮へ

 血と骨の瓦礫の上で、勇者団は泥と血に塗れ、肩を寄せ合った。

 クローネが苦笑いを浮かべる。

 「おい勇者……次はどこの地獄だ?」

 健斗は泥の中から砕けたボールを拾い上げ、微笑んだ。

 「……次は、地下の更なる深層だ。

  あいつよりヤバいのが……きっと待ってる。」

 トマトッツが乾いた笑い声をあげる。

 「全員ぶっ潰して……俺たちのサッカー、証明しようぜ……!」



深層迷宮《幽霊の回廊》

 血と骨の城塞を越えた先――

 勇者団が辿り着いたのは、常に白い霧が渦巻く《幽霊の回廊》だった。

 地面は苔と黒土。

 そこに、ひび割れた石畳で造られた不気味なサッカーコートが広がっている。

 風に乗って、無数の亡霊がスウ…スウ…と漂い、健斗たちの周囲を取り囲んでいた。


突如始まる亡霊サッカー

 石造りのゴール前に立つと、霧の奥から低い唸り声が響く。

 「う……うぅ……

  ボール……渡せ……ゴール……奪え……」

 かつてこの地で敗れ、無念のまま成仏できなかった《幽霊サッカー部》の亡霊たちだった。

 彼らは亡者の肉体を鎧のように纏い、ボロ布をなびかせながらボールを求めて突撃してくる。


異形の霊チーム

 ガロンが剣を振りかざすが、斬っても斬っても霧となって形を変える。

 「クソッ、物理じゃ手応えがねぇ!」

 クローネも斧を振り回すが、霊は笑うように彼をすり抜けて背後から体当たりを仕掛けてくる。

 「ハハハハッ! こいつら、気味悪ぃが……オモロイじゃねぇか!」


健斗の新戦術:霊との共鳴

 霊の群れに囲まれ、ボールを奪われかけた健斗は、霧の中でふと気づく。

 (……こいつら、ただ暴れてるんじゃない……!

  俺と同じ……勝ちたかっただけのサッカー馬鹿だ!)

 息を吐き、目を閉じる。

 ――魂を繋げ。

 健斗の足元で、霊たちの残響が輪を描いた。

 「俺に貸せ……お前らの未練、俺がゴールに変える……!」


共鳴必殺技ゴーストドリブル

 健斗の周囲に霧の竜巻が生まれ、霊たちの力を纏う。

 足元のボールが白く光を放ち――

 亡霊たちが次々と健斗の足さばきに同調していく。

 「これが……《ゴーストドリブル》……!」

 彼の動きは残像をいくつも生み、亡霊そのものが敵のディフェンスを翻弄する。

 トマトッツがそれを見て叫んだ。

 「アイツ……霊と一体化してやがる……!

  バケモンかよ……!」


ゴール前、亡霊たちの絶唱

 最後のディフェンスをすり抜け、ゴール前で足を振り抜く。

 健斗と共鳴した亡霊たちの叫びが夜霧を震わせた。

 ――勝ちたい……ゴールが欲しい……

 「行けええええッ!!」

 ボールは霊の渦と共にゴールネットを貫き、深層迷宮に響き渡る亡霊たちの歓喜の声。


成仏する亡霊サッカー部

 霧の中で、亡霊たちは微笑み、静かに霧と溶けて消えていった。

 彼らの未練は――健斗のゴールで報われたのだ。


次なるフィールドへ

 トマトッツが肩で息をしながら笑った。

 「オイ健斗……お前、次は何を取り込む気だ……?」

 健斗はゴール前に転がるボールを拾い上げ、白い霧を見上げた。

 「俺のサッカーは……生きても、死んでも止まらないんだ……!」




湖底迷宮・水球コロシアム

 亡霊の回廊を越えた先は、巨大な地下湖。

 湖面に浮かぶのは、青白い光に照らされた円形の《水球闘技場》。

 闘技場は水没しかけており、選手たちは水中と水上を自在に行き来しながらボールを奪い合う仕様だった。

 トマトッツが水に足を浸すと、底なしの冷たさに顔をしかめた。

 「マジでここでやんのか……!?」

 クローネは両手に斧を構え、湖面を叩き割る勢いで吼えた。

 「おい健斗! 今度は泳げってか!?」


現れる水の精霊軍団

 水面が渦を巻き――

 青銀の鎧を纏った《水の精霊兵》が次々と浮かび上がった。

 手には槍と盾、そして足にはヒレのような鱗。

 水中ではイルカのように滑走し、水上では人魚のように跳躍する。

 「水の主、アクアリオさまに勝てると思うな……人間ども……!」

 無数の声が波の音と共に響いた。


水中サッカー、開幕!

 審判の笛も無い。

 湖底に響く鐘の音が試合開始の合図だった。

 水面に蹴り出されたボールが湖に沈む。

 「行くぞ……!」

 健斗は迷わず飛び込む。

 クローネも大斧を担いで飛び込み、トマトッツは重力魔法で水流を逆巻かせる。


水の主アクアリオの罠

 水の中で、健斗の視界が霞む。

 ――ドンッ!

 突然、巨魚の尾のような衝撃が健斗を襲った。

 湖底の暗闇から巨大な人魚――いや、《水の主アクアリオ》が姿を現したのだ。

 半魚人のような下半身と、蒼く輝く王冠。

 「この湖は我の血肉……貴様らの息の根は、ここで止まる。」

 アクアリオが両手を広げると、湖中に渦潮が生まれ、勇者団の隊列が引き裂かれた。


健斗、新たな閃き

 水流に巻き込まれながら、健斗は思う。

 (空気を蹴るサッカー、土を蹴るサッカー……

  じゃあ、水を蹴るサッカーがあってもいいだろ!)

 身体を翻し、足先に魔力を集中させる。

 《ウォータードリフト》――

 水を推進力に変え、魚のように湖中を滑走する!

 「俺のサッカーは――陸も空も水も関係ねぇ!!」


トマトッツの《渦重力》

 トマトッツは魔力を振り絞り、湖中に重力の渦を生み出す。

 「行け健斗!

  湖の底まで、重力ごと貫け!!」

 水の壁を引き裂き、健斗の足先に全ての水流が集まる。


必殺!《アクアブレイクシュート》

 湖底、ゴールを守る水の精霊隊。

 健斗の瞳に雷光が走る。

 「水の壁なんざ――粉砕する!!

  《アクアブレイクシュート》ッ!!」

 水を纏った渾身のシュートが水流を裂き、ゴールに叩き込まれた。

 衝撃で水の精霊たちが霧散し、湖面に光の柱が立ち昇る。


水の主、散る

 アクアリオは口を開けて呻き、王冠が湖底に沈む。

 「……我が……水の栄光……見事……」

 最後の泡と共に、湖の王は静かに沈んだ。


新たなるステージへ

 健斗は水面に浮かび、空を仰いだ。

 「……まだだ。

  水の次は――もっとヤバいステージが俺を呼んでる……!」

 クローネが水飛沫を吐き散らしながら大笑いした。

 「おい勇者! 次は火山か!? 嵐か!?

  どこでも付き合ってやらぁ!!」




紅蓮の地獄《火山スタジアム》

 地下湖の死闘を越えた勇者団は、伝説の《火山スタジアム》へと辿り着いた。

 そこは、溶岩がたぎり、空気は灼熱に焼かれ、地面はマグマの脈動で揺れ続ける――

 まさに血と炎の闘技場。

 クローネは上半身裸で、火傷も意に介さず笑う。

 「やべぇなココ……歩くだけで火傷するぞ!」

 トマトッツも魔法で汗を蒸発させながら舌打ちした。

 「水の次は火かよ……クソ勇者め……どこまでやる気だ!」

 健斗は溶岩の照り返しに目を細め、足元のボールを見据えた。

 「サッカーがある限り……俺はどこだって行くさ。」


火山の守護者《炎獣部隊》

 轟音と共に、マグマの地割れから姿を現したのは――

 溶岩の獣人たち、《炎獣部隊》。

 たてがみを赤熱したマグマで覆い、牙の代わりに火柱を吐く。

 リーダー格の《フレイムロード》が吼える。

 「ここは我ら《火山王国》の聖域……外の者が踏み荒らすなど許さん……!」

 雄叫びと共に、火花のように散った獣たちが猛スピードでボールを奪いに襲いかかる!


火を纏うサッカー

 クローネが吼える。

 「健斗! こいつら、体当たりごと燃やしに来るぞ!」

 炎獣のタックルが炸裂し、ボールごと健斗を押し潰そうとする――

 だが、健斗は逆に炎を蹴り上げた。

 「火を……怖がってたら、こいつらには勝てない!」

 足元から火花が噴き上がり、健斗のスパイクが赤熱する。


**閃きの必殺技

《フレアドライブドリブル》**

 健斗の身体が赤い稲妻のように火花を引いて駆ける。

 地面のマグマを蹴り、衝撃波を起こして加速する――

 「火も……爆炎も……全部推進力だッ!!」

 爆煙を巻き上げ、炎獣たちのフォーメーションを粉砕。

 クローネが獣を斬り裂き、トマトッツが炎の渦を巻き上げて援護する。


ゴール前の一撃

 フレイムロードが口を大きく開き、真紅の火球を吐き出す――!

 だが健斗は火球ごとボールを蹴り上げた。

 「燃えろ――!

  俺の《フレアバーストシュート》!!」

 火球とボールが混ざり合い、灼熱の彗星となってゴールネットを貫いた。

 爆音と共に、火山スタジアムが赤い噴煙を噴き上げる――!


フレイムロード、散る

 ゴールの光に飲まれたフレイムロードは、燃え尽きた灰を宙に舞わせて低く笑った。

 「これぞ……火山の……誇り……」

 灰は溶岩に溶け、静寂が戻る。


勇者団、進撃は止まらない

 火山の嵐の中、ボールを抱えた健斗が言った。

 「まだ足りねぇ……まだ、俺のサッカーは進化する……!」

 トマトッツが肩を竦め、炎の向こうを見据える。

 「おい勇者。次は……天空か? 地獄か?

  お前の欲望は底なしだな……!」




大空へ――天空スタジアム

 灼熱の火山を制した勇者団が次に辿り着いたのは、空を覆う雲海の上――

 《天空スタジアム》。

 岩山の頂に浮かぶ空中競技場であり、雲よりも高く、風よりも速く、飛翔する者だけが立つことを許される伝説の舞台。

 健斗はゴールの向こうに広がる大空を見上げ、息を呑んだ。

 「……これが、空のサッカー……!」


天空の覇者《竜騎士団》現る

 轟音が雲を裂く。

 金色の鱗を持つ《飛竜》に跨る男たち――《竜騎士団》。

 先頭の竜騎士が兜を外し、鋭い瞳で健斗を見下ろす。

 「人間が空でサッカーだと? 笑わせるな……地を這う者が、空を制せるものか。」

 竜の咆哮と共に、フィールドが宙に浮かび、空中戦が幕を開けた。


空中必殺フォーメーション

 竜の背に乗った竜騎士がボールを奪い、翼のごとくフィールドを旋回する。

 地上の動きでは到底追いつけないスピードと機動力。

 クローネが吼える。

 「くそ! 足が地に着かねぇ! どうやって止めんだあいつら!」

 だが健斗の瞳は燃えていた。

 「空? 上等だ。地面が無いなら――風を蹴ればいい!」


**新たなる閃き

《エアウォークドリブル》**

 健斗は脚に風属性の魔力を纏わせ、竜の気流を踏み台にする。

 大気を蹴り、風に乗る――

 「行くぞ!!」

 爆風と共に跳躍し、竜の背を飛び移りながら空中でドリブルを繰り出す。

 竜騎士の剣が迫るが、クローネが空中で巨斧を振り回し、一掃する。

 「空だろうが地だろうが、俺の斧にゃ関係ねぇ!」


トマトッツの《雷雲魔法》

 天空に雷雲を呼び寄せるトマトッツ。

 「勇者……お前が空を蹴るなら、俺が空を支配する!」

 雷鳴が竜の翼を灼き、騎士たちのフォーメーションを切り裂く。

 竜の咆哮と雷鳴が交わり、天空スタジアムが稲光で包まれた。


**決めろ!

《ストームブレイカーシュート》**

 竜騎士団の守護竜が前に立ち塞がる。

 だが健斗は叫んだ。

 「空を割れ――!!

  《ストームブレイカーシュート》!!」

 大気を纏った稲妻の弾丸が、竜の鱗を突き破り、ゴールを貫通――

 天空スタジアムの雲をも貫いて、雷光の柱が空を裂いた。


竜騎士、跪く

 リーダー格の竜騎士が、折れた槍を握りしめ、健斗を見据えた。

 「地を這い、炎を征し、水を割り……そして空をも割るか……

  お前こそ……真の《天空の勇者》だ……」

 竜がいななき、雲間を滑り降りて姿を消す。


さらなる高みへ

 雷鳴に包まれた天空で、ボールを抱える健斗。

 「……空を越えたら、次は――何が待ってる?」

 トマトッツが不敵に笑った。

 「地底か、宇宙か……お前なら行けるだろ、勇者健斗。」

 クローネが斧を肩に乗せ、雄叫びを上げた。

 「次の相手は誰だ!?

  どこででも、ぶっ潰してやる!!」



無限の暗黒へ――《地底迷宮》

 天空の覇者を打ち倒し、勇者団が降り立ったのは――

 陽の光さえ届かぬ、古代王国が封じた《地底迷宮》。

 剣と魔法の国が最も恐れた存在、

 ――不滅のゴーレムリーグ

 誰もが一度は噂で耳にした、無限に再生する鉄塊の軍団が、サッカーフィールドを守護している。

 クローネが巨大な地下の門を見上げ、歯を鳴らす。

 「こんな場所で……サッカーなんざするもんじゃねぇぞ、健斗。」

 健斗は門の奥に潜む金属音を聴き取り、唇を吊り上げた。

 「この先に……俺の進化があるなら、行くしかない。」


開戦――《ゴーレムリーグ》の威容

 迷宮の奥へ踏み込んだ瞬間。

 鈍い轟音と共に、黒鉄の巨体が何体も立ち上がる。

 身の丈5メートルを超すゴーレムたちが、一糸乱れぬフォーメーションを組み、鋼の足でボールを奪いに来る。

 クローネが斧を振り上げるが――

 「こいつら……切っても砕いても再生しやがるッ!!」

 斬りつけられたゴーレムの破片が光を放ち、金属の響きと共に再び一体に戻る。


地底の絶望、鉄の要塞フォーメーション

 ゴーレムたちは鉄壁の壁となり、パスコースを塞ぎ、健斗たちの前に立ちふさがる。

 どれだけ突破しても、砕いても、全てが元に戻る――

 無限の守備。絶対の要塞。

 トマトッツが魔法を叩き込むが、熱も雷も鉄の装甲に飲み込まれた。

 「……魔法耐性まで備えてやがる。ふざけるな……!」


地下に響く覚悟の咆哮

 だが健斗は、冷たい地底の空気の中で熱を孕む。

 「再生するなら、何度でも粉々にすりゃいい……

  要は――守り切れない速さで突破すればいいだけだ!」

 健斗の瞳が金色に輝く。

 「地底だろうと、鉄の壁だろうと――俺のサッカーでぶち破る!!」


**閃け!

《グラウンドブレイカードリブル》**

 健斗は地面を踏み割るほどの衝撃で地底を蹴り、ゴーレムの足元をすり抜ける。

 砕けた鉄塊を弾丸のようにかわし、クローネが再生中の巨体をぶった斬る。

 トマトッツは残骸の魔力コアを封じ、再生の遅延を稼ぐ。

 「今だ健斗!!」


鉄塊の守護者を越えて――

 ゴール前に立ちはだかるのは、迷宮のグレートゴーレムロード

 通常のゴーレムの10倍はある巨体。

 だが健斗は恐れず叫ぶ。

 「重さも鉄も――関係ねぇ!!

  お前ごとゴールネットにぶち込む!!」

 地底の岩盤を割る一撃――

 《グラウンドブレイカーボレーシュート》が炸裂!!

 金属の巨体が後方へ吹き飛び、砕けたパーツがゴールラインを越えて散った。


鉄の静寂

 ゴールネットを揺らす音と共に、地底迷宮が静寂を取り戻す。

 残骸の奥からかすかに光が漏れ、封印されし古代の扉が開き始めた。

 トマトッツが血まみれのローブを翻す。

 「勇者……次は地底の奥だな。」

 クローネが鉄屑の山を蹴飛ばしながら吼えた。

 「行け健斗! 鉄の底を越えたら……お前はもう止まらねぇ!!」



地底のさらに奥――冥界門

 無限再生の鉄塊を超えた先。

 そこは、地底を突き抜けた死の世界――

 魂が帰るべき場所、《冥界スタジアム》。

 健斗たちは、澱んだ瘴気と蠢く亡霊の群れに迎えられた。

 地面に刻まれた円形のフィールドには、墓標のように突き立つ無数の剣。

 トマトッツが息を潜めて呟く。

 「ここは……死んだ戦士たちの……怨念がサッカーを続けているのか……」


不死なるチーム《ネクロサッカーズ》

 腐敗した鎧を纏う不死の選手たちが、フィールドに整列する。

 骨と鎖を軋ませ、目の奥の青白い鬼火が健斗を射抜いた。

 その中央に立つのは、冥界の支配者《死王モルテ=レクス》。

 剣を杖のように突き立て、唇の無い口元で嘲笑を浮かべる。

 「生者よ――

  我が冥界スタジアムを血と魂で彩れ。

  ここでは死すら許されぬ……お前たちの息絶える声が、我が軍団の力となるのだ!」


死と再生のルール

 冥界スタジアムでは、選手が倒れるたびに魂が剥がれ、敵として蘇りフィールドに戻る。

 つまり――

 倒れた仲間が、そのまま敵になる。

 クローネが奥歯を噛み砕くように唸った。

 「ふざけんな……死んでも生き返って戦わせるだと……!」

 健斗は青ざめるチームを見回し、拳を握りしめた。

 「なら――死ななきゃいいだけだ!」


地獄のキックオフ!

 死王モルテの号令で屍の軍団が一斉に襲い掛かる。

 腐った肉の鎧をまとった猛者たちが、猛獣の如く健斗のドリブルに食らいつく。

 クローネの斧が骨を粉砕し、トマトッツの炎が亡霊を焼き払うが、倒した敵が即座にフィールドへ戻ってくる。

 「くそッ! 無限に復活しやがる!!」


健斗、絶望の淵で閃く

 圧倒的な数と呪いの輪廻。

 だが、健斗の目は死王の胸元に輝く《冥府の心臓石》を捉えていた。

 「……あれか……!

  あれがある限り……奴らは何度でも蘇る……!」

 雷鳴が健斗の脚を包む。

 「なら、破壊する!!

  あれごとゴールに叩き込む!!」


**冥界必殺技

《ソウルブレイカーシュート》**

 屍の壁を抜ける一筋の稲妻。

 健斗が地を蹴り、空気を裂き、命を削って放つ――

 《ソウルブレイカーシュート》。

 死王の胸の《心臓石》を砕き、そのままゴールへ突き刺す。

 轟音と共に冥界の大地が揺れ、亡霊の軍団が一斉に光の粒となって消えていった。


死王、崩壊

 「馬鹿な……死を……超えた……だと……」

 死王の骸が朽ち、冥界スタジアムの黒い空に光が差す。

 健斗は息を切らし、泥まみれのフィールドで仲間の手を握りしめた。

 「まだだ……次がある……!」


冥界を越え――天空の更に上へ

 冥界スタジアムの封印が解かれ、地底から地表へ、そして天空を超えた先。

 健斗たちは、伝説の軌道エレベーターに乗り込んだ。

 行き先は――《星海サッカーリーグ》。

 宇宙空間で繰り広げられる、人知を超えた超光速サッカーの舞台だった。

 クローネは宇宙服に身を包み、慣れぬ重力に悪態を吐く。

 「おい健斗……今度はどこまで行くんだ……地底の次は宇宙かよ……」

 だが健斗は、窓の外に広がる銀河を前にして、瞳を爛々と輝かせていた。

 「これが……この星のすべてのサッカーの頂点……

  だったら、ここで俺が証明する!

  俺のサッカーが、どこまでも通用するってな!」

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