第14話 暗黒ストライカー戦、血のキックオフ!
黒曜の原野が闇に包まれる。
空を覆う暗黒雲の下、ダグラス・クロウリーが漆黒のボールを蹴り上げた。
――ゴオオォォォ……
ボールが空を裂く。
蹴り出された瞬間から、闇の魔力が渦を巻き、重力を歪ませていた。
「健斗! 来るぞ――!」
トマトッツが雷を纏い、フィリスは矢を番えた。
だが、相手チームの選手たちはすでに人ではない。
黒い鎧を纏い、赤い目をした魔族兵――《闇のフォーメーション》がフィールドを埋め尽くす。
闇の支配
「オイオイ……これがサッカーかよ……!」
トマトッツが叫んだ。
闇の魔族兵たちは、ボールを運ぶより先に、敵選手を斬り裂き、押し潰し、血の道を作って進む。
ダグラスが冷たく笑う。
「これが我らのサッカーだ――奪い、壊し、屍の上でゴールする。」
彼自身は中盤に陣取り、黒い魔力を操り味方を強化している。
健斗、挑む!
「こんなやり方……許せるかよ……!」
健斗が前へ飛び出した。
盗賊のステップを刻み、敵の刃をギリギリで避け、影縫いの短剣で防御を弾き飛ばす。
フィリスが援護射撃、トマトッツが雷の結界を張り、三人で一点を突破する。
「健斗! ゴール前に行けッ!」
雷と影を背に、健斗は闇のフィールドを駆け抜けた。
だが――そこに待っていたのはダグラス自身。
ダグラスとの一対一
「勇者の小僧……来い。」
ダグラスが黒いボールを足元で撫で、冷笑する。
「貴様が未来を視るなら……俺は闇で未来を塗り潰す。」
――ギュオオオッ!!!
ボールを蹴った瞬間、健斗の視界に数秒先の未来が滲んだ。
(右……! 避ける!)
が、ボールは軌道を捻じ曲げて襲い掛かる――!
「――クッ!!」
肩に衝撃が走り、健斗が吹き飛ばされた。
勇者の眼、覚醒
倒れ込んだ土の匂いの中で、健斗の耳に声が響く。
――立て。
《勇者の証》の奥に、確かに聞こえた。
――未来は視るだけじゃない。
変えろ。切り拓け。
「……ああ、そうだよな……!」
健斗が膝をつき、ゆっくり立ち上がる。
右目が完全に金色に輝いた。
「ダグラス……! お前の闇ごと、俺が未来を切り裂くッッ!!」
反撃のカウンター!
トマトッツが叫んだ。
「今だ健斗ォォッ!!」
フィリスの矢がダグラスを牽制し、隙を作る。
健斗が闇の重力を突き破り、稲妻のようにボールへ飛び込む――!
「おおおおおおおおおおッ!!」
渾身のシュート――勇者の眼で軌道を捻じ曲げ、ダグラスの黒魔力を断ち切った。
黒曜の原野に、鋭い白光が弾ける。
――ゴォォォォル!!
地鳴りのような歓声はない。
だが、誰もがそれが勝利の一点だと理解した。
崩れる闇
「ば……馬鹿な……勇者の……眼……!」
ダグラスが血を吐き、膝をついた。
周囲の闇の魔族兵たちは次々と崩れ落ち、黒い霧となって散っていった。
トマトッツとフィリスが駆け寄る。
「勝った……! やったぞ健斗……!」
健斗は荒い息を吐きながら、右目に手を当てて笑った。
「まだまだだ……でも、これが……勇者の……!」
つづく




