第13話 闇の謀略、勇者の光
――翌日、試合の地《黒曜の原野》。
そこはかつて幾度となく血戦が繰り広げられた、呪われた草原だった。
今は《暗黒ストライカー》が練習場として支配している。
健斗たちは、原野を一望できる丘に立っていた。
「……妙だな。相手チームがいない。」
フィリスが草陰に伏せながら呟く。
トマトッツも周囲を睨む。
「嫌な空気だ……何か仕掛けてきやがったな。」
忍び寄る罠
突如、草むらがざわめいた。
数人の黒装束の男たちが、サッカーボールではなく、刃を手に現れた。
「健斗・アカザワ……暗黒ストライカー様よりの命だ。試合前に……死んでおけ。」
「……試合前に刺客を寄越すとは……筋金入りの外道だな……!」
フィリスが唇を歪め、短剣を抜く。
健斗の心臓が激しく脈打った。
(試合をする前に……終わらせる気か!)
闇の刺客が一斉に斬りかかってくる――!
雷と影、そして勇者の閃光
「避けろ健斗ォッ!!」
トマトッツが雷撃を放つ。
稲妻が闇の刺客を串刺しにし、フィリスが残党を影のように切り裂いた。
しかし――一人、健斗に向かって疾駆する黒装束がいた。
(来い……来い……!)
健斗の足が自然と動く。
視界が一点に絞られた。
――ドッ
相手の刃を視認する前に、健斗の膝が地を蹴った。
盗賊の《高速移動》と、勇者の証がわずかに開いた《未来視》が交わった一瞬――
「遅い……!」
バシィッ!!
刺客の腹に膝蹴りが突き刺さり、そのまま草むらに沈めた。
兆し
「……いま……」
健斗の右目が微かに輝いていた。
トマトッツが笑った。
「見えたか? 未来を。」
健斗は拳を握り締める。
「わからない……でも……怖くなかった。
あの時、どう動けばいいか全部わかった気がした……!」
フィリスが肩を竦める。
「勇者の証が、あんたに力を貸したのさ。……けど、まだ一部だ。」
闇の王、現る
その時、原野に一陣の冷気が吹き抜けた。
草原の向こうに立つ一人の影。
黒髪の青年、ダグラス・クロウリーが、漆黒のボールを転がしてこちらへ歩いてくる。
「……フフ……刺客を返り討ちにしたか。
流石は転生者だ。だが……試合は別だ。」
ダグラスが手を掲げると、空が黒雲に覆われ、空気が重く歪んだ。
「闇と絶望を、その勇者の目で味わえ――!」
こうして、前代未聞の《暗黒ストライカー》との死闘が幕を開ける――!
つづく




