第12話 森を越え、新たなる脅威《暗黒ストライカー》
甲獣狼を討ち、勇者の石碑を越えた健斗たちは、魔獣の森を抜け、北の交易都市へとたどり着いた。
街には旅人、商人、傭兵、そして各地の強豪サッカー部隊の噂が飛び交っていた。
酒場の片隅、健斗は久々に椅子に座り、冷えたスープをすすっていた。
隣ではトマトッツがド派手に肉を喰らい、フィリスが人目を盗んでパンを盗み食いしている。
「……しかし、街はどこもサッカーの話ばっかだな。」
フィリスが頬をパン屑だらけにしながら呟いた。
健斗はスープを置き、耳を澄ませた。
「最近また一つ、化け物みたいなチームが北の草原に現れたって噂だぜ。名は《暗黒ストライカー》――」
近くのテーブルの傭兵が低く話す声が、健斗の耳に突き刺さる。
「……暗黒ストライカー……?」
トマトッツが眉をひそめる。
「そいつら、何者だ?」
傭兵が声を潜め、顔を寄せた。
「正体不明だがな……試合では相手チームを問答無用で壊す。剣で、魔法で、闇で……相手を再起不能にするまで叩き潰すんだと。」
「ルール違反じゃねぇか……!」
トマトッツが吐き捨てた。
だが傭兵は肩をすくめる。
「この世界で勝てば官軍よ。誰も止められねぇ。王国騎士団も黙認してる。なぜなら――」
「強いからだ。」
静かに割り込んできたのは、一人の黒髪の青年だった。
鋭い目、血のように赤いユニフォーム。その背には闇を纏うような雰囲気があった。
「……お前は……?」
健斗が立ち上がると、青年は微笑んだ。
「暗黒ストライカーの副将、ダグラス・クロウリーだ。」
トマトッツが杖を構える。
「てめぇ、こんなとこで何してやがる……!」
ダグラスは冷たい目を健斗に向けた。
「転生者の勇者候補だってな。……面白ぇ。次の試合、俺たちが相手してやる。」
酒場の空気が凍り付く。
ダグラスは静かに一枚の羊皮紙をテーブルに投げた。
――『試合予告状』
そこには、次なる舞台の場所と時間が記されていた。
決戦の地へ――
フィリスが睨みつける。
「どうする、健斗? アイツら、マジでヤバいぜ。」
健斗は予告状を握り締め、笑った。
「やるさ。勇者になるって決めたんだ。……誰が相手でもな。」
トマトッツも不敵に笑う。
「雷で闇を焼き払ってやろうじゃねぇか。」
こうして、勇者の卵と仲間たちは――
次なる強敵、《暗黒ストライカー》との死闘へと歩を進めた。
つづく




