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始動

第十一話 始動

「「え?」」

 今やっと脳が働いた。それと同時にやばいことに気づいてしまった。

・・・・・・え?俺の同居人ってリーナ?え?

「・・・・・・同居とか知らないし。ってか同居人が来るとかも聞いてないし!」

「・・・・・・俺もリーナだって聞いてないし!」

 同居人がいる、とは聞いていたものの、女子だなんて、しかもリーナなんておかしいと思う。

「そういえば・・・・・・この部屋ベッド二個あるなーって思ってたんだよなー」

・・・・・・もう少し疑問持てよ!

 その後、校長に問い合わせた所、「部屋が足りないんだよね。ブルン君とフランジェ君は相部屋だし・・・・・・」だそうだ。だから何やねん。じゃあ俺達も相部屋でいいんか?あ?

「もう・・・・・・そんな怒んなくてもいいじゃん」

「・・・・・・そうだな。怒っているだけじゃ何も始まらないしな」

・・・・・・しかし、リーナと同じ部屋か。

 確かに、昔は同じ部屋で何回か寝たことはある。だからといってな?今はそんな訳無いだろう。まさかこの歳になって同じ部屋で寝るとは・・・・・・。俺達は少々気まずくなりながら寝た。


 何と言っても翌日は、入学式である。俺の。

「新入生、呼名。小学部、首席ヴァイヤン・フェール」

「はい」

 推薦&超飛び級のフールの名前が呼ばれる。首席扱いなのが羨ましい。

・・・・・・ちなみに、小学部は八歳から始まるから、現在六歳のフールは飛び級なんだ。

 それから、小学部の生徒、中学部の生徒が呼ばれて、ついに高等部の新入生の出番になった。

「高等部、首席ヴァイヤン・シリル」

「はい!」

 俺はこういう時の呼名で大きな返事をするタイプだ。まぁ、周りの人がちょっとビクッとしただけだから大丈夫だ。殆どは俺の名前に驚いて、こっちを見る人だ。

「フランリュー・フランジェ」

「はい!」

「フランリュー・ブルン」

「はい」

 ちなみに、高等部の入学者は三人しか居ない。他の七人はフランジェに倒されたり、ビビって逃げ出したり、シンプルに魔物にやられたりした人だったそうだ。

・・・・・・まぁ、弱い人は必要ないって事だよね。

 それから、校長のアルフォンス・デュマのありがたーいお話と、PTA会長のありがたーいお話と、その他諸々来賓の方の以下略を聞いた。そういえばその中にロワ・ラファール国王も居たな。

・・・・・・え?国王?

 校長は校長でいるが、代々建物を治めているのは、王族なので国王も学校関係者なのだそうだ。いちいち話を聞くのは面倒くさいが、俺は寝ずにしっかりと聞いた。

・・・・・・だって、話す人が二十人くらいっておかしくない?


「あー疲れた」

 俺は部屋に帰ってきた。幼馴染がいる部屋へ。

・・・・・・意外とキツくなくてよかった・・・・・・。本当に。

 俺が一番気がかりだったのは、着替えである。どうなるかなーってヒヤヒヤしていたけれど、なんと魔法一つで着替えられるらしい。風呂のあとも同様だ。良かった。

「ぐぅぅぅぅぅぅぅ」

 おっと、不覚だ。お腹がなってしまった。

「あ、お腹すいた?ちょっと早いけど晩御飯にしよっか」

・・・・・・まじすか!?やったぜ!

 どうやら、リーナの母親はリュミエール食堂の料理長らしい。そして、リーナは母親に料理を学んでいたため、自称&俺称滅茶苦茶料理が得意なのだ。

・・・・・・たまにしか作ってくれないから、楽しみだなぁ。

「・・・・・・なんか期待しているとこ悪いけど、別に私作らないよ?」

・・・・・・えぇぇぇぇぇぇ!?


「美味しかったね!」

「・・・・・・うん」

 結局、晩御飯はリュミエールの食堂だった。リーナ母の絶品料理だったが、完全にリーナの手作りだと思っていた俺は、少し残念に思えてしまった。

「何でそんなガッカリした顔してんの?もしかして美味しくなかった?」

「美味しかった、美味しかったけど・・・・・・」

 謎の沈黙が流れる。そして、先に口を開いたのはリーナだった。

「・・・・・・はぁ。しょうがないわね。今度絶対作ってあげるから」

「本当か⁉︎」

「本当よ。約束するわ」

・・・・・・よっしゃぁぁぁぁぁあ!

 俺の気分が一瞬で晴れた。とってもうれしい。ヤッタ!

・・・・・・ん?てか、なんで俺こんなに喜んで・・・・・・?

 俺は目の前にいるリーナを見ながらよく考えてみた。

・・・・・・あれ?もしかして俺ってリーナのこと・・・・・・。

『おい、勇者シリル』

「くぁwせdrftgyふじこlp!?」

「どうしたのクロ?急に変な声出して・・・・・・」

 突然の事に、変な声が出てしまった。それよりも、大事な事がある。

・・・・・・何だ神様。久しぶりだな。

『・・・・・・折り入って長話がある。誰もいないところに行け』

・・・・・・はいはい分かりました。

「ごめんリーナ。ちょっとお腹痛いからトイレ行ってくるわ」

「別に言わなくてもいいと思うけど・・・・・・。まぁ、いってらっしゃい」


「で、何の話なんだ?まさか、このリュミエール内に敵がいるとかじゃないだろうな?」

『そのまさかだ』

 神は悪びれる様子もなく言った。

「はぁ?ふざけんじゃないぞ!俺は平穏な学園生活を楽しみたいんだよ!」

『声が大きい。心の中だけに留めろ』

・・・・・・まじですみません。誰もいないからと声に出してしまいました。

 俺は自分の行動を恥じた。もし誰かに聞かれていたらどうするのか。ん?誰かって誰だよ。

『まだ何も話していない。妙に深読みするな』

・・・・・・再びすみません。早く話してください。

『そう焦るな。あっち側もまだ動く気配はないからな。・・・・・・そうは言っても安心はできない。こちらに干渉できる時間も限られているので、手短に話すぞ』

・・・・・・お願いします。

『先日、お前はアルマジーニを倒したな?』

 あれは倒したというより勝手に自爆したのだが。

『そして、それが闇の女神の手先だったことも知っているな?』

・・・・・・知っています。

『どうやら、闇の女神がまた違う手先を一人送ったそうだ。・・・・・・強さや知能はアルマジーニよりも全然上だ』

・・・・・・またか。

『私はそこまでしかわからない。手先の正体はわからないから、近づいてくる者全員警戒しろ』

・・・・・・分かりました。

『話はこれで終わりだ』

・・・・・・一つ質問していいですか?

『なんだ?』

・・・・・・あなたは光の神ですか?

『・・・・・・』

 神様がいきなり黙り込んでしまった。やってしまったか、と思っていたが、すぐ神様は返答をくれた。

『そうだ、我こそが光の神だ』

・・・・・・なるほど。だから闇の女神のことが分かるんですね。

『まぁ、そうだな』

・・・・・・なんか秘密の話とか聞かせてくださいよー。

『嫌だ。あいつとは碌な思い出がない。それに、秘密の話は秘密だから言わないぞ?』

 そんな感じで少し神様―――光の神と少し話して俺はトイレを後にした。


「あぁ、おかえり。ずいぶんと長かったね」

 部屋に帰ると、とても眠そうにしているリーナが目に映った。

・・・・・・あれもうそんな時間だっけ?

「もう寝るのか?外はまだ明るいが・・・・・・」

 疑問に思い、外を見ているとまだ太陽が見える。なのにリーナはもう寝る準備までしている。

「あー。私、早寝だから。睡眠時間が短いと、体壊しちゃうんだよね」

・・・・・・なんかそんなことも言ってたっけ?

 よくよく昔のことを振り返ってみると、リーナは睡眠が大事!とか言ってたような気がする。その発言はこのためだったのか。

・・・・・・なんでだろう。魔法の反動だったりするのかな?

 色々聞きたいことがあったものの、もう目が半分も開いていないので、寝かせてあげることにした。俺は邪魔にならないように学校探索をすることにした。


「あ、勇者シリル様じゃないですか!」

 外に出てみると、思いの外人がたくさんいた。そりゃそうだ。まだ夕方だぞ。

・・・・・・それに、なんかみんな勉強してたり、話してたりしているな。

 ちなみに、今俺はエントランスロビーにいるのだが、とりあえずどこを見渡しても本、本、本。本がたくさんある。

・・・・・・本は嫌いだ。勉強もあんまり好きじゃないから・・・・・・。

 リーナによると、今までの魔法の記録の本などがほとんどで、その中で自分と同じような魔法の本を読んで、使い方を上達させるらしい。先人の魔法がそっくりそのまま反映されている場合があるので、重要なものなのだそうだ。

・・・・・・ちなみに、本の場所とかは誰も教えてくれないから、本の内容を理解する時間よりも本を探す時間の方が明らかに長いそうだ。

 まぁ、俺の魔法ってほぼ魔族の魔法みたいなもんだから、関係ないのだが。

・・・・・・ん?待てよ。その本を読んだらその魔法も覚えられたりするのか?

 前言撤回。何事もまずはやってみよう。とりあえず、俺はそこにあった「クブキアパホシャ」という滅茶苦茶古そうな本を手に取ってみた。

・・・・・・古すぎて魔法名がわからん。とりあえず前半だけ読んだら召喚系の魔法だと言うことは分かったけど。

 とりあえず、一通り頭に入ったので実際にやってみよう!

・・・・・・とは思ったものの、ドラゴンとかが出てきたら困るので、授業で実技訓練をする実技場に行って召喚をしてみることにした。誰にも見えない端っこの方で。

・・・・・・なんだろうな。使い魔とか出てくんのかな?いや、敵の可能性もあるか。

 俺は少し用心しながら、呪文を唱えてみた。

「『クブキアパホシャ』!」

「シュイーーン」

 呪文を唱えた瞬間、魔法陣のようなものが浮かび上がった。そして、光の柱が立つ。

・・・・・・うおっ!やばっ!めっちゃ目立つやん!

 俺が少し焦っていると、白い物体が出現した。やがてそれは、猫のような形を模す。

・・・・・・ね・・・・・・こ?

「全く・・・・・・誰だ私を召喚したのは。今私は暇を楽しむので忙しいんだ」

・・・・・・全く忙しくないじゃん!

「誰だよお前・・・・・・」

「ん?おや。勇者シリル君じゃないか。はじめまして、どうもミネットです」

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