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赤男-若手俳優連続殺人事件簿-  作者: 燭間茉楼


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第20話 復讐

 倉庫内は銃声と叫びで満ちていた。

 コンテナの影が揺れ、血の匂いが潮風に混じる。


 佐藤一は口の裂傷から滴る血を拭い、拳銃を握り直した。視界がぼやけ、痛みが脳を刺す。


 蒼木五虎を支え、コンテナの影へ移動する。

「五虎さん、無事か!」


 五虎は咳き込みながら、掠れた声で答えた。

「ありがとう……(はじめ)……」


  (はじめ)は頷き、五虎を壁際に座らせる。


 手良秀吉がSPに命令を飛ばす。

「侵入者を殺せ!」

 SPたちが一斉に銃を構える。


 イド――口井藤馬は滑皮全一に銃口を向け、

 引き金を引く。

 弾が滑皮の肩をかすめ、血が飛び散るが、

 滑皮は笑みを崩さない。


「画の完成まで、もう少しだよ」


 滑皮のナイフが(はじめ)に迫る。(はじめ)は歯を食いしばり、

 口の痛みを堪えて拳銃を構える。


 その瞬間――倉庫の天井近くから轟音が響いた。


 1台の黒いバイクが非常口を突き破り、

 火花を散らして滑り込む。目が血走っている。


 白川(しらかわ)拓実(たくみ)だった。行方不明だったはずの男が、

 バイクごと滑皮に向かって突進する。


「滑皮ァァァ!!」


 バイクの前輪が滑皮の体を狙い、跳ねるように襲いかかる。滑皮はナイフを構え、間一髪で横に飛び退く。


 バイクがコンテナに激突し、金属音が響く。


 白川は転倒しながらも即座に立ち上がり、

 拳を握り締めて滑皮に迫る。


「藍を殺したのはお前だろ!許さねえ!!」


 白川の声は獣のように荒々しく、目は憎悪で燃えていた。汗で張り付き、歯を剥き出しにした表情は鬼のようだ。


「藍は俺の親友だった!お前が壊した!剥ぎ取った!笑顔も、輝きも、全部奪って!!」


 白川は拳を振り上げ、滑皮に飛びかかる。

 滑皮はナイフで受け止め、刃が白川の腕をかすめる。

 血が飛び散るが、白川は痛みを無視してさらに迫る。


「お前みたいな奴に、藍を殺す権利なんてねえ!」


 白川の拳が滑皮の仮面をかすめ、赤い破片が飛び散る。滑皮は後退しながらも、穏やかな声で返す。


「君の憎しみも、いい絵の具になるよ」


 蒼木五虎が壁際から叫ぶ。

「よせ、白川!そんな事したら殺人犯と一緒だぞ!」


 五虎の声は必死だった。親友だった藍の仇討ちを止めようとするが、白川は聞く耳を持たない。


「黙れ、五虎!お前らみんな、藍を殺した奴を許せって言うのか!藍は、俺に『一緒に舞台に立とう』って言ってくれた!それなのに……あいつは殺された!」


 白川の声は震え、涙が混じる。

 憎悪と悲しみが交錯し、拳がさらに激しく滑皮を狙う。


 (はじめ)が血を吐きながら叫ぶ。


「待て!殺したらお前も終わりだ!」


 イドも銃を構えながら、声を張る。

「落ち着け!奴を殺しても、組織は止まらない!」


 だが、白川の目は狂気に満ちている。

「関係ねえ!藍を殺した奴を、俺が殺す!仇は俺が取る!お前らに邪魔はさせねえ!」


 白川は再び滑皮に飛びかかり、拳を振り下ろす。

 滑皮はナイフで受け止め、刃が白川の胸をかすめる。

 血が飛び、白川はよろめくが、すぐに立ち直る。


「返せよ……返せよ、滑皮ァァ!!」


 混乱の中、手良秀吉のSPの一人が動いた。

 端正な顔立ちの男――日神総一だった。


 SPに変装していた日神が、森谷茂に近づく。

「森谷代表、赤い額縁を避難させる。こちらへ」


 日神の声は冷静で、森谷は頷いて額縁を抱える。

 森谷は肩の傷を押さえながら、日神に支えられ、

 倉庫の奥へ移動する。


 額縁は赤い木製で、内部に赤く塗られた顔の皮膚が張り付けられていた。


「最高傑作だ……。」


 日神は無表情で頷き、森谷を支えながら奥の扉へ向かう。赤い皮膚が照明に照らされ、不気味に輝く。


 日神は森谷の背中を支えながら、

 静かに拳銃を抜く。


「君の役目は終わりだ」

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