第四章:再生への道
リゼリスを失った後、アステリアスの心は深い喪失感で満たされた。彼が唯一「誰かのために生きる」と感じられた相手が消え、彼の存在意義そのものが揺らいでいた。
村の人々はアステリアスを慰めたが、彼の胸には空虚な穴が開いたままだった。夜になると、彼は一人で丘の上に立ち、星空を見上げながらリゼリスの笑顔を思い出していた。彼女が彼に語った「自分のために生きる」ことの意味が、少しずつ理解できるようになってきた。
「誰かのためだけに生きるのではなく、俺自身が生きる意味を見つける…」
リゼリスが言っていた言葉の本当の意味が、今になって彼の中で形を成し始めていた。彼女の死によって、アステリアスは自己犠牲ではなく、自分自身を大切にすることの意味を学び始めていたのだ。
ある日、親友のカレウスが村を訪れ、アステリアスに話しかけた。
「お前がこの村にとどまったのは、リゼリスのためだと思っていたが…どうやら、それ以上のものを見つけたようだな」
アステリアスは黙ってうなずいた。カレウスの言葉には、彼を支える温かさがあった。
「俺はリゼリスを通して、自分の人生に意味を見つけた。彼女がいなくなった今でも、その意味は消えていない。俺は、自分自身のために、この村と共に生きていこうと思う」
その決意を胸に、アステリアスは村に留まることを選んだ。彼はリゼリスが愛した村の人々を守り、自分のためにも生きていくことを決意した。
リゼリスが教えてくれた「光」は、アステリアスの中で静かに輝き続け、彼はもう一度新たな一歩を踏み出したのだった。