2.体育館の裏
僕は怜の反則級の顔でお願いされてしまい、結局メンヘラと噂されている女の子からの告白を断った後、何かされても大丈夫でいられる対策を考えるのであった。
「それにしても対策か~」
そう、前提として僕は恋愛経験ゼロである。
そんな僕が、メンヘラちゃんの対策なんて思いつくはずもなく。
まず、その女の子は、メンヘラと噂されているだけで、実際はメンヘラではないのかもしれない。
そうだよ。噂なんだから、彼女がメンヘラだなんて根拠はないじゃないか。
僕は思いついたように怜に言った。
「その女の子はメンヘラって噂だけで実際はメンヘラじゃないかもしれないよ?」
そういってみたものの、怜はまだ不安そうにしていた。
「そうだな~、でも噂が立つくらいだからな~」
僕は怜に何ができるだろうか...。
待ち合わせ場所に行かないって選択肢は、怜にはないだろうし。
会ってちゃんと断りたいっていうだろうな。
う~ん...。
何も思いつかないな。
申し訳ない気持ちになりつつ、何もできないやるせなさの気持ちでいっぱいだった。
「う~ん、もう何もされないことを願って、覚悟を決めるしかないと思う...」
怜は意外にも落ち込んだりした様子はなかった。
むしろ、納得や諦めに近い表情をしていた。
「やっぱりそうだよな...」
そう言った後「う~ん、う~ん...」と唸っていた。
僕はその様子を見つめながら、力になれなくてごめんよと心の中で思うのであった。
そして、怜は何か覚悟を決めたように「よし」と囁き、僕にその決意を言おうと口を開いた。
「よし、俺、覚悟を決めて行くことにする」
怜の覚悟を聞いた直後、チャイムが鳴り、授業が始まるため、僕たちは席に着く。
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数時間後
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今日の授業がすべて終わり、女の子と待ち合わせをする時間の放課後になった。
「確か、待ち合わせ場所は体育館の裏...だったよね」
僕は、念のため確認してみると、怜はどこか緊張したような雰囲気で「そうだな」と返した。
しばらく話すことはなく沈黙のまま一緒に体育館の前まで行く。
「体育館の前まで来ちゃったね...。」
ついにこの時が来たかと言わんばかりに、僕まで緊張してきた。
いつも告白されるとき、慣れた様子で「それじゃ、いってくるわ」って言っているのだが、今日に限って様子がおかしい。
もしかして、過去にメンヘラから何かされたのだろうか...?トラウマがあるとか...?
そういう話は、落ち着いているときにした方がいいよね。
今は怜を見送らないと。
僕は怜のことを心配しながら、怜の後姿を見送るのであった。
「大丈夫かな...?」
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怜サイド
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碧夜が心配してくれていたけど、そっけなく言い返しちゃったな。
俺は何でこんなに緊張してるんだ...。
名前だって聞いたことないし、メンヘラの友達もいないし。
会ったこともないし、なぜこんなに不安なんだ...。
そんなことを考えていると、体育館の裏に差し掛かろうとしていた。
「ここを曲がれば体育館裏...」
まだ緊張はほぐれていないが、ここまで来たのだから行くしかない。
そう再度覚悟を決め体育館の裏に重い足を動かす。
そこにいたのは、可憐な少女だった。
前髪はきれいに整えてあり、肩くらいまでのツインテールを結んでいる。
さらに、小顔で目が大きい。
百戦錬磨と言ったら大げさだが、怜は数多くの女の子から告白を受けている。
そんな怜が見惚れてしまうほどに可愛い容姿をしていた。
女の子が怜を見つけると明らかに嬉しそうな表情になった。
そして満面の笑みで語りかけてくる。
「今日は来てくれてありがとう!」
女の子がそう言うと、怜は我に返ったように「あ、あぁ」と、言うしかできなかった。
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