1.友達の恋の相談
僕には唯一の友達がいる。
それは「一ノ瀬 怜」という名前の親友だ。
怜は、中学生からの友達で同じコンピュータ好きの仲である。
そして、イケメンである....。
170cmで顔は俳優並みに整っていて、髪型はセンター分けをしている。
イケメンであるがチャラくはない。
清楚イケメンである。
何人かの女の子から告白されてきては僕に相談に乗ってほしいと、話を持ち掛けてくる。
正直うらやましいが、僕は怜の恋を応援している。
いつか怜にお似合いな人ができるといいなと思いながら、毎度のごとく相談に乗っている。
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中学生のとある日
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キンコンカンコーン
休み時間になりいつものようにイケメンの怜とコンピュータの話や新しいパソコンのブランドの話をしていたら、怜からまた相談してほしいことがあると持ち掛けてきた。
「俺また告白されそうなんだけど、どうしよう...」
また告白されたのか...贅沢な奴だよほんと...。
そうだとしても唯一の親友だから相談事は親身に乗ってあげなきゃね。
僕は少し不満に思いながらも親友の話を聞くことにした。
「そうだな~、今回はどんな子なの?」
「今回の女の子は、かわいいんだけどメンヘラ気質があるって噂されてる子なんだよね」
メンヘラって噂れてる子はこのクラスにはいないし下の学年の子かな?
下の学年の子から告白されるなんて前にも何度もあったから不思議じゃないけど。
この前、メンヘラは一途で束縛激しいから好きなんだよね!とか言ってて、「ドMなんじゃないか?」って思わせる友達がいたな。
「メンヘラか...、でもメンヘラちゃんは一途って聞くけど、怜は一途な女の子がいいとか言ってなかった?」
最近、怜はどんな女の子がタイプなの?って聞いたときに一途な子がいいなって言ってたのを思い出し聞いてみた。
だが怜の表情はあまり嬉しそうではなかった。
何か不安に感じている様子で言葉が返ってくる。
「そう、一途な女の子がいいとは言ったけどメンヘラって噂がある子だからさ、断ったら何かされるかもしれないじゃん?」
「あー断った時の問題ね。確かに、なくはないよね」
メンヘラは一途だけど危険だから取扱注意!ってドMの友達が言ってたっけ。
それなら、断った時のショックとかで何かしてくるかもしれないな。
「でしょー?で今回は断った時に何かされた時の対抗策はないかなって相談!」
恋愛経験ゼロだから対抗策なんて聞かれても何も思いつかないんだよな。
僕は悲しい感情と何の力にもなれないという申し訳ない気持ちを含め言った。
「断る前提で話していて、それに慣れてる僕が少し可哀そうだし、相談に乗ってあげるって言いたいところだけど、僕ってほら恋愛経験ゼロだし、それもメンヘラというおまけつき、対抗策なんて思いつかないよ」
思っていることをすべて言ったら怜がぴえんの絵文字みたいな目をしていた。
「碧夜頼むよ~!俺たち友達だろ~、頼れるのが碧夜しかいないんだよ~」
反則だと思う。ずるいよ。
そんなイケメンな顔でしかも目をウルウルさせながら頼んできたら断れないじゃないか。
僕は呆れた表情でそれでいて、どこか嬉しそうに再び相談に乗ることにした。