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翼は堕ちて
――次こそは、絶対に護ると誓った。
――だから私は一切を鏖殺し、喰らうのだ。
まだ朝日が昇って間もない仄暗い明け方。細い路地裏には二人の警官と数人の鑑識がいて、その周りを《KEEP OUT》と黒字で記された黄色地のテープが囲っている。
鑑識達が集まって何やら話し合っている横で、一人の小柄な若い警官がもう一人の警官に尋ねた。
「これは一体、どういうことです?」
「俺に聞くな。……俺だって、こんな変死体……」
二人の視線の先には心臓を抉り取られ、まるで獣に食い荒らされたかのように腹部が原形を留めていない無惨な姿の死体があった。その表情は、最期のその時まで苦悶と恐怖に満ちていたようで――
「こりゃあまるで、化物の仕業だな」
壁や室外機、雨水を逃すための塩化ビニル管までもが返り血で染まっていた。
「これで四件目、か……」
死体のぐちゃぐちゃの腹には、青い鳥の羽根が数枚散らばっていた。