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⑤⑧ アイカside1


自分よりも美しいものが邪魔だった。

自分よりも可愛いものが煩わしかった。

自分よりも恵まれているものが目障りだった。


(わたくしの上に立つなんて……許せないわ)


侯爵家に生まれ、幸い容姿にも恵まれた。

蝶よ花よと育てられ、年が離れた兄姉に可愛がられて『貴女が一番可愛い』と言われて育てられた為か、心の中は自信に満ち溢れていた。


侯爵家の中……狭い世界では自分が女王様だった。


けれど外に出向いて世界が広がっていくと、色々な令嬢達がいる事に気付いた。

それでも自分の方が上に立っている……そう思った。


(あの子は下、あの子もわたくしの下……あの令嬢もわたくしよりブサイク……あの令嬢はわたくしより格下)


どこに行っても自分が上でなければ気に入らなくなっていく。

けれど、この世界には自分よりも上の女が沢山居た。

公爵令嬢や王女などがそれに当てはまる。

偉そうに振る舞っているのを見ると、苛立ちで頭がおかしくなってしまいそうだった。


(わたしより上の存在なんて、要らないのに……)


そう思っていても、自分がどうにか出来る事ではない。

気に入らないが侯爵家に生まれた以上は仕方ないと割り切って考えた。


けれど……それよりも、もっともっと気に入らない存在がカイネラ子爵家の姉妹だった。

ルビーとジュリエットは恵まれた容姿を持っていた。

ルビーは宝石のように美しくて、ジュリエットは花のように可愛らしかった。

その時、生まれて初めて強烈な嫉妬に苛まれた。


身分が下なのに、自分よりも美しいことがどうしても許せない。

しかしどんなに努力しても、どんなに性格よく振る舞っていても、元々持っている輝きには敵わない。


(わたくしの前から消えなさいよ……目障り目障り目障り目障り目障り目障り目障り目障り目障り目障り目障り)


そう思っているのは自分だけではなく他の令嬢達も同じだった。

ルビーが苦しんでいる姿を見て晴れ晴れとした気持ちで居られると思いきや、それは不可能だった。


何故ならば、ルビーの芯の強さや優しさに惹かれて様々な人が彼女を守ろうと動くからだ。

ルビーを貶めようとした令嬢達は次々に色々なものを失っていった。


それを見ながら思っていた。

馬鹿な彼女達と同じやり方をしてもルビーやジュリエットを排除する事は出来ないと。


暫く観察していると彼女はその眩い光で妹のジュリエットの盾代わりにになっていると気付いた。

何も知らずに無邪気に笑うジュリエットの顔が一番癪に触った。


そんな時、社交界で名を馳せていた一番上の姉が良いことを教えてくれた。

それは今の自分にとっては最高の助言となった。



「いい?アイカ……じっくりじっくりと追い詰めて最後には自分が笑いながら相手が朽ちていくのを見るの」


「お姉様、それってどういう事?」


「アイカは気に入らない奴はいる?嫌なことを言ってきたりとか、腹が立ったりとか……」


「うん……少しだけ」


「フフッ、オススメはね、その嫌いな奴の前でも笑って味方のフリをしながら機会を待つの……!」


「味方のふり……?」


「外からは固くて壊せなくても、中は案外脆いのよ……?まぁ、馬鹿と馬鹿が互いに潰しあってくれたらそれが一番楽だけど。自分の手が汚れなくて済むもの!その為には下準備も大切よ」


「…………」


「アイカにはまだ早かったかしら……ウフフ、ごめんなさいね」



姉の言葉を何度も繰り返しながら考えていた。


(良いことを思いついた……!まずは目障りな二人から排除しましょう。そして王女も引き摺り下ろしていけばいい)


そして自分が女王になればいい、と。


(わたくしが、全てを手に入れるのよ……!)


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