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⑤⑤


いつもはリロイが一人で訪ねて来ると「モイセス様について教えて下さいませ!」と、直ぐに突っ込んでいくルビーだが、今日は必死にリロイに向かって、アイカとジュリエットの間にあった事を話始めた。

こんな焦っているルビーを見たのは初めてだった。



「アイカ・ドノレス……か。ドノレス侯爵家の……そういえば一度パーティーに一緒に出席した事があったかな」


「アイカ様もそう言っていました」


「でもあの時は…………」


「??」


「いや、何でもないよ。キャロラインからも何度か聞いた事がある名前だなと思ってねぇ……ふーん、そういう事か」



リロイは顎に手を当てて何かを考えているようだった。

それよりも二人には確認しておきたいことがあった。



「リロイ様とルビーお姉様に聞きたい事があるのですが、ベルジェ殿下の好きな人はアイカ様なのですか?」


「え…………?」


「…………は?」



眉を顰めて困惑するような表情を見せたルビーとリロイに、交互に視線を送っていた。



「……ベルジェが誰を好きだって?」


「昨日、アイカ様が自分で言っていましたけど……」



結局、アイカの言葉が嘘ではないかと推察したものの、ハッキリと明言しなかったので本当かどうかは分からない。

所々違和感は感じていたし、嘘だとも思ったが、普通に考えて余程自信がない限り、あんな風に言い切ることは出来ないだろう。

もしかして、二人でじれじれな片想いでも楽しんでいると思っていたのだが……。



「それはあり得ないかな」


「わたくしはベルジェ殿下から直接聞いたけれど、間違いなくアイカ様ではないわ」



二人の言葉に首を捻る。

何故こんなにも堂々とバレる嘘を吐いたのか……以前のジュリエットはルビーを嫌い、リロイと関わりがなかった。

それを見越しての事だろうか。


(あの様子だとベルジェ殿下に直接聞いても照れて答えてくれないだろうし……)



「結局、ベルジェ殿下の好きな人って誰なんだろう」


「それは……」


「…………えっと」



そして二人共、答えを濁した事で、ずっと気になっていた事を口にする。



「今回のパーティーだって、その方を差し置いて私が一緒に参加してもいいのでしょうか?」


「…………」


「ベルジェ殿下だって、勘違いされたら困るだろうし……」



それはジュリエットが本命だから……と言いたいのを二人は我慢していた。

何故ジュリエットはベルジェからの好意に気付かないのか。

何故もう一押しで伝わる筈なのに、ベルジェはあと一歩を踏み出さないのか。

周りから見ていると二人のすれ違いが焦ったくて仕方なかった。

あと少し……それだけで関係は大きく変わるだろう。



「あー……まぁその内、直接言うんじゃないのかな?」


「ベルジェ殿下が、誰かに告白するって事ですか?」


「そ、そうですわね。タイミングとかもありますし」


「確かに……」



そんな時、リロイが思い出したかのように気になる言葉を呟いた。



「最近、ラドゥル伯爵邸に出入りする人が居るみたいなんだ」


「それって、もしかして……!」


「断言は出来ないけど、そうじゃないとも言い切れない……もう少し調べで見るけど限りなく黒に近いだろうね」



リロイの言葉に驚き目を見開いた。

ラドゥル伯爵家……それはマルクルスの事だ。

出入りする人、それはアイカの事を指すのだろう。


そんな時、横から身を乗り出したルビーはリロイの肩を思いきり掴んでグラグラと揺さぶっている。



「あの……ッ、ジュリエットは大丈夫でしょうか!?これ以上、何かあったら、わたくしは……!」


「お姉様……っ!落ち着いてくださいッ」


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