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そんな姿を姉の唯一の友人である侯爵令嬢のアイカと共に眺めていた。

アイカはルビーに「ジュリエットが心配だから様子を見て来て」と頼まれたそうだ。



「何がジュリエットが心配だからよ!!自分だけ楽しんでッ!許せないわ」


「ジュリエット……気持ちは分かるけれど落ち着いて」


「落ち着いてなんていられない!!腹立たしいものッ!!アイカ様だってお姉様の側にいたら損ばかりするわ!!」


「そんな事は……」


「ッ、アイカ様もお姉様の言う事なんて聞かなくていいのよ!!自分ばかり良い思いしているからって調子に乗って……!」


「ふふっ……まぁ、仕方ないじゃないんじゃないかしら。ルビーは、わたくし達にないものを沢山持っている。皆、そう思って諦めているわ」


「……っ」


「でもジュリエットに婚約者が出来たり、幸せになれるのはルビーの後でしょうね」


「え…………?ど、どうして!?」


「だって、全員ルビーを選んじゃうでしょう?」


「ーーーーッ!!」


「あっ、ごめんなさいね……別に悪気はないのよ。でも事実、ルビーは特別だもの」


「ううん、アイカ様のせいじゃないもの……悪いのはっ、悪いのは……ッ!!」


「…………そうね、貴女は何も悪くないわ」



その後、アイカに言われた言葉がずっと頭を離れなかった。


(私は悪くない!お姉様が全部悪いのッ!!自分だけ幸せを独り占めにして、私の幸せも奪うなんて絶対に許さないんだから!!)


今までの事を思い返してみれば誰が悪いのか……答えは明白だった。


(私、甘かったんだわ……これ以上、不幸になりたくない!!私も幸せになりたいッ)


今日もニコニコと嬉しそうな笑みを浮かべて話しかけてくる彼女が悪魔に見えた。



「おはよう、ジュリエット」


「……」


「ジュリエット……?どうしたの?何かあった!?」


「……調子に乗らないでよね」


「え………?何のこと?」


「私に……近付かないで」


「ジュリエット?」



固い決意を胸に不安そうな声を出すルビーに背を向けた。

その日から嫌がらせをパワーアップさせた。

それなのにルビーは全く気にする事なく難なく困難を乗り越えていく。


(邪魔ッ!邪魔ッーー!邪魔なのよッ!!人の好きな人を次々に取っておいて何様のつもり!?)


ついには子爵令嬢ながらも、王太子との顔合わせまで漕ぎ着けたのだと嬉しそうに笑う両親から聞いて愕然としていた。


(クソッタレ……!いつか絶対にバチが当たるわ!!)


しかしそんなジュリエットにチャンスが訪れる。

神様はちゃんと自分の頑張りを見ていてくれたようで、ついに幸せを掴む事が出来たのだ。


姉に靡かない貴重な令息をやっと見つけることが出来た。

それが伯爵令息であるマルクルス・ラドゥルであった。

少々ナルシストな部分と思い込みが激しい所が気になるところではあったが姉に普通に接することが出来る数少ない男性であった。


マルクルスを大切にしようと、ジュリエットは精一杯の事をやった。

また姉に取られてしまうかもしれないという思いから彼に尽くしまくっていた。


それから一カ月、マルクルスと婚約する事が出来たのだ。

やっと訪れた春に安堵していた。


(もうお姉様なんて、どうでもいいわ……!だって私が幸せなんだもの!)


姉が誰と何をしていても、笑顔で纏わりついてきても、もうどうでも良かった。

取り巻きの令息達と和気藹々と過ごしている姿を見ても苛立ちは湧き上がってこなかった。


(フフッ、アイカ様ったら嘘吐きね!私がお姉様より先に幸せになるのよ!)


普通の幸せを手に出来た事にホッとしていた。

順調に育んでいる愛は、これからも永遠に続くと思っていた。


姉の事など忘れかけていたある日の事……事件は起こったのだ。


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