表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【電子書籍化決定】婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情  作者: やきいもほくほく
拗れた恋の行方は!?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/74

②⑦


それにルビーの妹なので好かれておいて損はないとベルジェなりに気を遣ってくれているのかもしれない。

そして、いつもベルジェの背後に立っている狼のように目付きの鋭い大柄の騎士が歩いてくるのを見て目を輝かせた。



「モイセス様、ご機嫌よう……!」


「ジュリエット嬢は今日も元気だな」


「はい!モイセス様は今日も顔が怖いですね」


「…………そんなことはない、はず」


「あははっ!」


「……この私にこんな風に言えるのはジュリエット嬢くらいだ」


「そうなのですか?」


「あぁ……私が怖くないのか?」


「いえ、全然。むしろ優しさが滲み出てますわ」


「ふっ…………ゴホンッ」



声を漏らして笑った後に照れながら咳払いをするモイセスは、とても優しくて弄り甲斐がある人である。



「…………………」



そして何故か横からジメッとした空気が流れてくる。

モイセスと話しているとベルジェのテンションは下がるような気がするのだが気のせいだろうか。



「ベルジェ殿下……?」


「ジュリエット嬢……聞いてくれ!!俺は……っ」


「ーーモイセス様ッ!いらっしゃっていたのですね」


「……ルビー嬢」


「…………っ」



振り向くと満面の笑みを浮かべて此方にやって来るルビーの姿があった。

堂々とベルジェを無視する所も流石ではあるが、いつもよりも着飾っているせいか輝きが三割増である。


(ま、眩しい……!けれどベルジェ殿下を誘惑しようという気合いを感じるわ!!)


モイセスはベルジェの近衛騎士であると同時に公爵家の嫡男である。

年は十歳上で、ベルジェが幼い頃から仕えているようだ。

ルビーはベルジェが最も信頼しているモイセスから攻めていくつもりなのだろうか。

最近、モイセスに対してのアピールが半端ではないような気がしていた。



「あのっ、モイセス様……!あのっ、あの……わたくし」


「…………?」


「……っ」



そしてベルジェ同様に、ルビーはモイセスの前では「あの、あの」と言っている。

気まずい沈黙の後、見兼ねたモイセスが口を開く。



「……ルビー嬢、今日もベルジェ殿下を宜しく頼む」


「モイセス……ッ!」


「そ、それは!えっと、わたくしは……モッ、モ、モイセス様に」



顔を真っ赤にしてモジモジしているルビーは同性である自分も惚れてしまいそうなくらいに可愛らしい。

そしてモイセスもまるで父親のような表情で嬉しそうに二人を眺めている。

そんな彼を見て、ある事を思い出す。



「そういえば、この間モイセス様が仰っていたお菓子が手に入ったんですよ!商人に話していたら知っていて、仕入れてもらいました」


「何……本当か!?」


「はい、今日に合わせて用意しておきました」


「……ありがとう。では二人の間を邪魔してはいけないからな。行こうか、ジュリエット嬢」


「いつもの場所でいいですか?」


「あぁ……だが今日はあの酸っぱいお茶はナシだぞ?」


「モイセス様がそう言うと思って、今日はスースーするお茶を用意してあります」


「…………なんだそれは」


「きっと、びっくりしますよ?」


「いつになったら普通のお茶が出てくるんだ」


「私が飽きたらですわ!」


「ははっ……」


「「……………」」



モイセスとジュリエットの間で繰り広げられる温かでスムーズな会話。

ベルジェとルビーはまるで空気のようだったが、いつも人に囲まれて持て囃されている二人には会話に入る方法も、意中の人の気を引く方法も全く分からずに、チラリと目を合わせた後に去っていく二人の背を見送りながら肩を震わせた。


((……このままだと、ヤバい))


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ