表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/6

05話 災いを解き放つ

後半にほんのちょっと、グロい?表現が入っています。


 テルドはこの空間の奥へ避難させた。


 ドォン!

 魔物は拳を振り上げ、ヒュノ目掛けて振り下ろした。


 後ろに飛んで避け、その隙を狙ってテルドのいる出口へ走る。


「はぁ……はぁ……!」

「んだよ、あいつ〜」


 壁に寄りかかりながら、だるそうな表情を浮かべたテルドがそう言った。ヒュノは恐怖と走りで息が切れていた。


「大丈夫か、ヒュノ」

「なんとか。 ……あれ見て」


 ヒュノの指差す先には、扉のついた小さな部屋のような場所があった。濡れたままのヒュノは歩いて行き、扉に手を伸ばす。


「なんだこりゃ??」


 テルドが、小さな部屋の中を見つめる。

 円形の、ほんと小さな部屋。


 まるで、後付けで誰かが造ったみたいに。


「なんだろう、この本と、指輪」


 丸い部屋の中央には、円形の木のテーブルと、その上には分厚い本が1冊と、赤い宝石の付いた指輪が置いてあった。


「シウに渡すか」

「そうだね、シウなら何か分かるかも」


 そう言い、ヒュノが本に触れた、その時だった。

 本は光を放ち、白く丸い球となって、天井に飛んで消えて行った。


「うお!?な、なんだ!?」

「??」


 ヒュノは首を傾げ、指輪の方を手に取る。


「落とさないように、ハメて帰るよ」

「そうだな、もう、奥は無さそうだしここが最新部ってことか?」

「そうかも」

「んじゃ、お前に夢を見せてたのって」

「あの本の光かもしれない。シウに報告しよう」

「そうだな」


 小さな部屋を出て、少し道を歩く。

 そして


「あ〜、あいつがいるんだった」

「……さっきみたいに、上手く避けていこう。俺が先頭を切る」


 そう言うと、ヒュノは剣を構え、ひとりで走った。


「おい!」


 ヒュノは素早い足取りで魔物の目の前まで行く。

 魔物は咄嗟に拳を握り、ヒュノに伸ばした。


「くっっ!!」


 その拳を剣で防ぐも、力が強く後ろに突き飛ばされた。

 ヒュノはすぐに立ち、剣を構え直す。


 その時だった。


 ぼわっ!

 ヒュノの持つ剣の刃に、赤い炎が宿ったのだ。


「……へ?」

『グルル……!グァァァァッ!!』


 魔物は急に雄叫びをあげると、今までよりも素早いスピードでヒュノに向かって来た。


「な、なんだよ!?」

「ヒュノ!」


 ヒュノをテルドが突き飛ばし、ふたりともその攻撃は当たらなかった。だが魔物は、ヒュノだけ目掛けて走ってくる。


「おらっ!!」


 走る魔物に剣で傷を入れるも、魔物はテルドには見向きもしなかった。


 まるで、盗られては行けないものを盗られた人みたいに。


「……やってみるか」


 ヒュノは、剣に集中を込めた。

 剣の炎は更に激しいものになっていく。


 激しく燃える剣を持って、ヒュノは剣を振った。

 魔物の拳に向かって剣を振ると、魔物の拳が焼き切られるように真っ二つになった。


 そのまま、ヒュノは剣を両手で持ち、左から右に体を回転させながら2回、魔物の腹を焼き斬った。


 魔物は血を噴き出し、そのまま倒れた。


「ヒュ、ヒュノ?お前……?」


 その時、ヒュノの意識はすぐに遠くなっていった。

 倒れるヒュノに、テルドは急いで駆けつけた。




 ☆☆☆☆☆




 ズバァン!

 男の頭に拳が飛んだ。


 男は血を流し、そのまま倒れた。


「ひゃぁぁっ!」

「おい女、お前は知ってるか?」

「し、知らないぃぃ……」

「そっか」


 すると、黒い男は女の顔面を素手で掴んだ。


「許してください!許してください!!」


 男の手に、黒い力が宿る。

 すると、女の顔は岩が砕けるようにボロボロと崩れ落ちた。


「貴様あああ!」

「……失せろ」


 男が手を構えると、その手のひらから岩が銃弾の如く飛び、叫びながら剣を構え走る男の身体を貫通した。


 辺りにいる村人たちは、男の使う謎の力を見て驚いた。

 怯え、逃げ出す者もいた。


 逃げた先には、黒い鎧に黒い兜を身につけた兵たちがいた。


「な、なんなんだお前た……!」


 逃げた男が叫ぶ途中に、その首元に矢が飛んだ。


「やめい!わしが村長だ!!」


 老人に矢を構える兵もいたが、仲間が止めた。


「……あなたが村長か」

「そうだ!」


 謎の力を使う男は村長に近づく。


「この村に伝わる、魔法使いルナの話、聞かせてもらおう」

「……この村には、ない!」

「ん?」

「別の村だ!ここはアバカの村!お前らの求めるものはない!」

「アバカ……?」

「そうだ!」


 すると、頭の良さそうな男がやって来て、謎の力を使う男の横に立ち、ひそひそとなにかを告げた。


「この村は用済みだ」


 村長が安堵の表情を浮かべた後、その首が飛んだ。


この黒い兵士たちが動いてきます

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ