03話 洞窟探索
入り口の穴は小さくも、入ってしまえば大きな洞窟だった。
遠くからじゃ草や土に隠れて見えないし、何せ洞窟の地面は奥につれて傾いていて、どんどんと下へ下がっていく感じだった。
光石の入ったランプを片手に、ふたりは進んでいく。
光石はランプの中にふたつ入っていて、摩擦のたびに擦れて光を発する不思議な石だ。
「ヒュノ〜、大丈夫か〜?」
「なんとか!」
ヒュノが戦闘を歩いていた。
進む道のりは、夢で見た通りに進んだ。
驚くほど、道や光景が同じで驚いた。
「それにしても、お前、ぐんぐん進んでいくよな」
「夢で見た通りなんだ」
「そういや言ってたな。道だけじゃなく、奥行きに傾いてるって事も」
「うん。奥深くはまだまだ先だ、行こう」
「ああ」
最近、毎日洞窟の夢を見る。
3日前くらいから間始めたけど、最近ずっと。
一度寝て、洞窟の夢を見て、
奥深くの壊れかけた洞窟の壁まで辿り着いたら光に包まれ、目を覚ますのだ。
起きるのは決まって日が昇る前。
もう一度寝ると、今度は夢を見ずに朝起きる。
「それにしても、ここに来る道中は魔物うようよいたのに、なんか全然いねーな」
「夢の中でも魔物はいなかった」
「でもなんでだ?こんな大きな洞窟だったら、いてもおかしくない」
「何かに、この洞窟が。奥深くの壁から行ける先が、魔物から守られているとしたら……」
「うは〜!ワクワクする事言ってくれるじゃねーか!」
「俺も、奥深くの先に何があるのか、知りたいんだ」
ここまで道や造りが同じ。
連日に見る夢。
何か、自分が導かれているようだ。
☆☆☆☆☆
「アヴァルさんって、どうなったの?」
「分からない。アヴァルについては、ページ半ばで終わっているんだ。それ以降はアクセサリーについてなどしか書かれていない」
この本を書いた人物は、恐らく途中でアヴァルと行動するのを止めたのだろう。それまでの事を共に経験、または話で聞き、それをまとめたのがこの本ということだろう。
「アヴァルは、魔法使いルナや他の仲間たちを連れて、帝国に住む争いの帝王を倒しに向かった。それぞれ、魔力の込められたアクセサリーを身につけて」
シウは、長文のページをスラスラと読んでいく。
「だが、帝国に2つ、魔力の込められたアクセサリーが渡っていた。このアクセサリーを身につけると、その魔法を使えるようになるが……大きな大量消費に襲われる。魔法の使えない人間が魔法を使うのだから、魔力消費じゃなくて体力消費って事」
メイアはじっと本を見つめる。
「……そっか、魔法使いは魔力を消費するけど、元々魔力の無い私たちに魔力消費なんて無理だもんね」
シウは最後のページを見る。
「アヴァルは帰れたのだろうか。魔法使いルナを見つけた、ティトル村に……」
「ティトル村って……!」
メイアは目を丸くした。
ヒュノやテルド、シウやメイアのいるこの村こそが、
ティトル村なのだから。
☆☆☆☆☆
ふたりはまだまだ進んでいた。
「こんなに進んだら、帰り道分かんなくなりそうだな」
「大丈夫、この粉が導いてくれる」
それは、削られた光石がランプから少しずつ落ちている、石粉だった。テルドが地面を見てみると、光の石粉がぱらぱらと落ちていた。
「光石、予備ならあるからさ。ランプを別タイプに変えてたんだ」
「……結構歩いたよな」
テルドの言う通り、村を出てから。
いや、洞窟に入ってからかなりの時間が経っていると思う。
「はぁ、ちょっと休もうぜ?」
テルドはそう言い、近くの石に腰掛けた。
ヒュノもランプを置き、静かに座った。
「……水の音」
歩くのをやめると、遠くで水のような音がするのに気づいた。
「近いな」
「そうだね、もう少しかも」
テルドは腕を上に伸ばした。
「ん〜まあ!何かありそうってのは確かだな」
「洞窟の奥深くの壁の向こうに、何があるのか」
「そうだな」
テルドは水を飲み、立ち上がった。
「よし、行くか」
洞窟に突入しました。
だらだらせず、来週には洞窟の向こう側へ行きます。