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02話 魔物遭遇と歴史


 テルドは止まって、静かに謝った。


「すまん、目が合った」


 ふたりの先には、茶色い毛で覆われた魔物。

 2足歩行で大柄、熊のような魔物だ。


「……俺たちなら、いけるっしょ」

「おうよ」


 ふたりは剣を構えた。

 魔物は目を鋭くさせた。両者とも、戦う気は満々だった。




 ☆☆☆☆☆




 その頃、村の図書館の扉の目の前には、分厚い本を抱えたシウが立っていた。


「シウ、おはよう」

「おはようメイアちゃん」


 メイアは腕を後ろで組み、ゆっくりと顔をのぞかせた。

 その目は、持っている分厚い本に向けられていた。


「すごい本読んでるんだね」

「うん」

「面白い?」

「面白い……っていうのかな、歴史の本なんだ」

「歴史?」

「メイアは、魔法って信じる?」




 ☆☆☆☆☆




「テルド、そっち行った!」



  

 魔物の背後にまわったヒュノは叫ぶ。

 魔物は全力でテルドの方へ向かって行く。


 テルドは片手剣を両手で持って構えた。

 あのスピードと威力の攻撃を、かわさず防ごうとしているのだ。


「テルド、それはまずい!!」

「っ!」


 テルドは、ギリギリの所で受け身を取って攻撃を避けた。

 魔物は、ぎっと後ろのヒュノを睨むと、『グオオオ!』と吠え、ヒュノめがけて走ってきた。


「ヒュノ!」

「任せて!」


 ヒュノは剣を構えた。

 魔物が目の前まで来たら急いで避け、斜め後ろから魔物の足を斬りつけた。


 3回ほど、魔物の左足首を斬りつける。

 魔物は爪を振り上げ、ヒュノ目掛けて振り下ろしてくる。


 ヒュノは剣を縦に構え、その攻撃を受け流した。

 その背後から、テルドが魔物の腕目掛けて剣を振った。


「いけるぞ!」

「うん、勝つよ!」




 ☆☆☆☆☆




 図書室の開く前。

 扉の前でシウとメイア話していた。


「魔法?」

「数10年前、ひとりの魔法使いの少女が現れたんだ。城下町で兵士をしていた青年は、森の中で彼女を見つけたんだ。魔物に襲われた時、彼女は魔法を使ったらしいんだ」


 元兵士・アヴァルと、

 世界に災いをもたらした魔法使い・ルナ。


 シウは、ふたりについての本を毎日少しずつ、読み進めていたのだ。


「それでね、その少女は世界で唯一魔法を使える謎の者として、国に招かれた。だが、その魔法の力を聞きつけた帝国が、少女を自分らのもモノにしようとした」


 メイアは小さく頷く。


「戦争が起きたんだ。そして、兵士は魔法使いの少女、ルナを連れてひっそりと逃げた。ふたりは旅に出たんだ。旅の途中でいろんな仲間が増えた、でもその仲間も追ってくる帝国兵と戦っては、命を失う者も少なくなかった」


 その時だった。

 内側から扉が開いた。


「……話は飛ばすけど、仲間のひとりにお洒落な女性がいたらしくてね、ルナはその女性のアクセサリーに魔法の力を、1つずつ移したらしいんだ。合計10個……そのうち3つは帝国に渡ってると言うけど……本当かどうかは分からない。でも」


「でも……?」


「この本によると、どうやらそのひとつは、この近くにあるみたいなんだ。まだ最後まで読んでないんだけどね」


 メイアは本を見て、問いかけた。


「それって、随分ぼろぼろの本なんだけど、誰が書いたの?」

「……兵士アヴァルの仲間の人らしい」

「実話かもしれない、ってこと?」


 シウは、頷いてそのまま図書館へ入っていった。




 ☆☆☆☆☆




 魔物の腕からは血が流れる。

 また大きな声で吠えると、ヒュノ向かって襲ってくる。


 ヒュノは身を低くしながら滑り込み、脇の下を斬りつける。

 テルドもすかさず、背中の2回斬りつけた。


 魔物の体力は、痛みのせいか減ってきてるみたいだ。

 息が荒くなり、動きもだんだんと鈍くなっている。


「はぁぁっ!」


 ヒュノは声をあげ、魔物の胴体目掛けて複数回斬りつけた。

 その早技に、テルドは目を丸くした。


 魔物はズゥゥンと音を立て、倒れた。


「……ふぅ、討伐完了」

「お前、すげえな」

「ん?まあね」

「んじゃ、行くか。もう魔物とは会いたくないぜ」


 ふたりはなるべく草むらに近い場所を歩いた。

 魔物がいては、身を低くして移動する。


 そして。


「ついた、ここが洞窟か」


 テルドは、小さく空く穴に向かってそう言った。


「洞窟っていうより、なんか洞穴みたい」


 ふたりは並んだ。

 そして、唾を呑み、頷いた。


「行こう」


ちょっと、戦闘描写入れてみました。

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