表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

01話 村を抜け出して


 静かな朝がやってきた。

 窓を開けると、鳥のさえずりと共に気持ちのいい風が吹く。


 窓の外に向かって、大きなあくびをすると、急いで着替えて階段を下りる。


「おはよう、お母さん」

「ヒュノ、おはよう」


 テーブルには、お母さんの作った朝食が用意されていた。

 パンを頬張り、スープを飲む。


「どうしたの?そんなに慌てて」

「うん、今日は朝から約束があるんだ」

「テルドくんと?」

「そう。……よし、ごちそうさま!」

「いってらっしゃい、気をつけてね」


 ヒュノは赤いネクタイをつけ、そのまま家を飛び出した。

 家を出て北の方角に走ると、村の大きな大樹の広場があった。


「はぁ……はぁ……ついた」


 約束をしたテルドは、まだついていなかった。

 近くの石に座っていると、目の前を兄妹が通りかかった。


「おーい、アルバス!」


 自分より3つ年上で、背も高い肌黒の青年・アルバス。

 そして、その隣にいるのは自分よりも5つ年下の妹さんだ。


「お、ヒュノ、お前何してるんだ?」

「テルドと約束しててさ、待ってるんだ!」

「朝っぱらから……んで、今日はなーにするんだよ」

「ふふん、ちょっとね?」

「まさか、魔物のうろつく村の外に出ようとか思ってないだろうな??」


 当たりだった。

 村の規則で、15歳になって自分の剣を手に入れるまで、村の大人無しで勝手に外に出てはいけないのだ。


「まさか、違うよ~」

「はぁ、まあ何するか知らねーが、いくら剣術大会優勝のお前だろうが、外に出ちゃいけないのはルールだからな?絶対すんなよ」

「はーい」


 アルバスはそう言うと、妹を連れてそのまま行ってしまった。


 ヒュノは、この村の剣術大会の優勝者だった。

 幼い頃、別の町で教わっていた剣術を使い、村の子供から大人までが参加できる剣術大会で、見事優勝したのだ。


 アルバスは、村で9番目くらいだった。


「おーい、ヒュノ~!」


 大きな声で、手を振りながら歩いてくる少年。

 ちくちく髪で肌黒い肌が特徴の彼が、テルド。


 ヒュノとテルドは同い年で、彼は剣術大会4位だ。


「遅いよ~」

「おめーがはえーんだよ」

「あはは」

「んじゃ、作戦通りのルートで抜けるか」

「了解」


 事前にふたりで打ち合わせしていた村の抜け道。

 途中までしっかりと村の道を歩いて、少し草や木々が多くなってくると、周りを見てから急いで隠れ、薄暗い道を利用した。


 北西の門には、当然門番がいる。

 だが、事前に刃物で切っておいた木の塀に開けた小さな抜け穴。

 そこを潜って、村を脱出した。


 もちろん、抜け穴を切った際の切った部分をしっかりはめ、ちゃんと見ないと、そこに穴が空いているのなんてわからないくらいにしてある。


 くぐった後も、門番に見つからないように外側の塀沿いを歩いて、見えなくなったぐらいに走って村から離れていく。


「おっしゃ!脱出成功!」


 テルドの手には、片手剣が2個握られていた。


「ほら、ヒュノ!」

「ありがとう!」


 これは、魔物と遭遇した時用だ。

 テルドに、事前に村から使わなくなった片手剣を持ってきてもらったのだ。


「んで、どっちだ!」

「えっと、このまままっすぐ!!」


 ふたりは、村から北西の位置にある洞窟を目指していた。

 理由は、ヒュノの見た夢だった。


 ヒュノは3日前、村の北西門を出てまっすぐ行くと洞窟があり、

 その奥深くに壊せる洞窟の壁が存在し、その先には謎の遺跡が広がっている。


 という夢を見た。

 その事をテルドに話すと、彼はすぐに興味を持ってくれた。


 まぁ、村にいても退屈だったし、冒険心や退屈心がくすぐられたのだろう。


 村の北西に洞窟があることは、既に確認済みだった。

 村にいる、ヒュノと同い年の少年・シウに調べてもらった。


 シウは、癖っ毛でメガネをかけた少年で、本が好きで村の図書室によくいる。

 地理や歴史に詳しいが、剣の扱いは下手くそ。


 そして、もうひとり同い年の少女がいる。

 メイアといって、村長の娘だ。

 優しくて可愛く、料理作りが好きな少女だ。


 ヒュノにテルド、シウにメイア。

 この4人は昔から一緒で、幼馴染みたいなものだった。


「ヒュノ、ちょっとストップ」

「……?」


 テルドの視線の先には、茶色い毛で覆われた魔物が立っていた。


「すまん」


 テルドは一歩前に出て、ヒュノに背を向けたまま謝った。

 魔物は、じっとこっちを見つめている。


「目が合った」


1話目です。

次回、戦闘書いてみます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ