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第164話 学園祭その1

 学園祭当日……朝から何枚写真を撮られたことだろうか。


 我がクラスの出し物『男女逆転コンテスト』は昼から行われる予定だった。


 しかし、このクオリティーを昼まで放置するのは勿体無いという話になり、午前中は男女逆転コスプレカフェとして、お客様の撮影リクエストにお答えしている。


 女装趣味という新たな黒歴史を身に刻んだ僕は、その名に恥じぬ評判で、朝からひっきりなしに撮影のリクエストが入っている。


 もう即座にリクエスト通りの笑顔を作ることすら可能だ。


 ここまでくれば、隠すとかのレベルではない。


 僕イコール女装ってイメージが完全に出来上がっている。


 不幸中の幸は、僕のことをルナだと思っている人が誰もいないってことだ。


 でも、正直そんなこと、どうでもいい。


 ……帰りたい。







 ——凛と愛夏の男装も上々の評判だ。


 特に凛は、その一挙手一投足に、女子たちから黄色い声があがっていた。同じ顔なのに羨ましいやつだ。


 ちなみに、ユッキーは暇そうにしていた。



「すんませーん」


「あ、はい」


 こ、この声は?


 振り向くとそこいたのは朝子さんだった。


「音無鳴って知ってはります?」


 ど、どうしよう……。


 僕ですって答えるのが1番簡単なのだが……抵抗がある。


 そんなことを考えていると「おーっ! 音無鳴! 久しぶり!」


 凛が木村さんに思いっきりハグされていた。


「あれ? 君、背が縮んだ?」


 んなわけない。


「ちげーよ! 私は凛だ! 鳴はあっちだよ」


 もちろん凛は素直に僕を指差した。


「なんやて! 音無鳴?」


 朝子さんにすごい勢いで睨まれた。


「ど……どうもご無沙汰してます」


「音無鳴!」


 城ホール前の再現のように木村さんが飛びついてきた。


 そして、その再現のように僕は『ラッキータッチ』を発動してしまった。


 でも厳密には再現ではない。今回僕は女の子仕草で防御したため、両手でタッチしてしまったのだ。


 もうヤケクソだから揉んでやろうかと思ったが、それはできなかった。


「音無鳴、可愛くなっても私のおっぱいが好きなんだね」


「ち……違いますよ」


「ん……触りたくないの?」


「え……それは……」


「あほ! そこ悩むなや! 自分彼女おんねんやろ! よその女のおっぱい触ってええ気になってたらあかんで!」


 朝子さんの大声で、僕の『ラッキータッチ』が多くの方に目撃されてしまった。


 でも……ある意味女装でよかったかもしれない。


「お二人は、もしかして僕たちのライブを見に来てくださったのですか?」


「そうだよ! 結衣に教えてもらったんだ」


 満面の笑みの木村さん。木村さんも結衣さんと知り合いなの?


「でもね……朝子が音無鳴に話しがあるんだって」


 にやけ顔で交互に僕と朝子さんを見る木村さん。何か悪だくみでもしているのだろうか。


「朝子さん僕にお話って?」


「ら……ライブが終わってからでええから! ま……まあ、頑張りや!」


 2人は嵐のように去って行った。


 もっと女装のことを突っ込まれるかと思ったが、そこは案外スルーだった。


 もしかして、関西ではこれしきのこと当たり前なのだろうか。


 そんなバカな事を考えつつ僕は、次々と来るお客様に笑顔を振りまいていた。


  

 女装でもラッキースケベ!


 本作が気になる。応援してやってもいいぞって方は、

 ★で評価していただけたりブクマ、感想、レビューを残していただけると非常に嬉しいです。


 よろしくお願いいたします。

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