11話 夢夜……
見慣れた夜の街。私がいる街。
「……」
大人を中心にたくさんの人が歩いてる。
賑やかで、みんな笑顔。嬉しそう。
私……、そうだ私も大人なんだ。
働く姿、スーツ姿の私。
確かに私は二十歳。
だけど何か違う。
なんだろう?
!
わかった。
みんなが居ない。
神様になった大人たち。
私を守ってくれる七人の大人。
神様になっていつも私の側にいてくれる。
いろいろ話してくれる、楽しくて面白い大人たち。
私を生かして、大人にしてくれた、とても良い大人たち。
「……」
センセー、スピール、ネーサン、シショウ、タクロー、フクサン、キンジイ。
みんな大好き。
あらためて考えると、スピールは、魔法を撃つ銃の名前がそのまま呼び名になっているんだよね。
「……」
気がついた時には十八歳になってた私。
私は普通に生きられない。
この夜の街で生きていくしかない。
こんなふうに手を伸ばして、人に触れようとしてもすり抜けていく街で。
誰一人、私を見ることも、声を聞くこともできない街で。
でも私は街全部の人が笑顔でいてほしい。
そのために私は笑顔を奪う夜獣と戦う。
例えば、こんなライオンさんの頭をした黒いスーツ姿の夜獣も、背負い投げで倒してすぐにスピールを撃って消滅させる。
そして、変なのが憑いて暗黒に堕ちそうな人を、もう一つのスピールで助ける。
お仕事として神貨を得ることもそうけど、一番はそれ。
だから街を出られなくていい。
出たところで人を困らせるくらいなら、ここでいい。
みんなが居るから大丈夫。
神様になった大人たち。
いまは感じないけど、それは夢だから。
目を覚ませば、みんなが「おはよう」と挨拶をしてくれる。
笑顔にしてくれる言葉をかけてくれる。
だから大丈夫。
私は大人。
例え一人になったとしも私は生きていける。
みんながその術を教えてくれたから。
だから大丈夫……。