第3話いよいよ仕事スタート!
いよいよ仕事スタート!
末端の平社員としての仕事ってなんだろ?
コピー?データ入力?お茶汲み?
そんな事を考えながら、鬼と一緒にいます。
あっ!鬼の名前聞いて無いや!
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
「山田くんの席はそちらです。」
案内された席に行ってみると、よく見る形のシルバーの机とその上にはノートパソコンと資料が置かれていた。
「そちらの資料に目を通しておいてください。会社の説明と注意事項になります。」
(注意事項?前の会社にはそんなもの無かったなぁ、なにが書かれてるんだ?)
------------------------------------------
皆さま魔王城入社おめでとうございます。
下記の項目をしっかり守り社員としての誇りを持ち、働きましょう。
①社長(魔王)の言うことは絶対である。
②出勤は8:30 退勤は仕事が終わり次第
③週休は基本的に2日 休日出勤あり
④勇者が攻めてきた場合は速やかに上司の指示にしたかだって避難してください。
⑤もし、、いや!もしもだよ?
社長(魔王)が勇者に討伐された場合は、【新社長】が決まるまでは、全従業員は休みになる(無給)。....etc
最後に社長からのメッセージです。
第13代目社長 吸血鬼の吉田です。
皆さんは誰のために働くのか!
自分の為?家族の為?国のため?違う!
私のために働くのです。
この私の為に精一杯働いて下さい!
【全身全霊】【満身創痍】で頑張ってください。
----------------------------------------------
ツッコミどころはいっぱいあるが、つっこんでも仕方ないので、我慢しよう、、、(勇者攻めてくるんかい!)
早速仕事に取り掛かる。
今日やる仕事はデータ入力。
なんのデータかは分からないが、言われた通りに入力していく。
パソコンのデータ入力は前の職場でもやっていたことなので、スムーズに作業は進んだ。
途中に、わからないことがあり隣のデスクの人にやり方を聞いてみた、
「ここの入力なんですが、、、」
「はぁーーー」と大きなため息、そして
「自分で考えてやってもらっていい?こっちは、3日帰ってないんだよ!終わらせないと帰れないの知ってんだろ?」とものすごい勢いで怒鳴られた!
(、、、3日帰ってない????)
逆サイドの人に聞いたら優しく教えてくれた。
その時に、隣の人の話も教えてくれた。
「今、怒られたでしょ?あの人ね3日帰ってないの本当なのよ!ずっとパソコンの前で仕事してるのよ!パソコンを離れるのはトイレの時ぐらい!」
「なんの仕事をしてる人なんですか?」
「あの人は【勇者が倒した魔物】のデータ入力してるのよ、それを人材部に提出して、また新しい魔物を派遣してもらうんだってさ!」
「勇者が倒した魔物って、データ取ってたんですか?なんの意味があって取ってるんですか?」
「あれよ、勇者が倒した場所に魔物が居なくなるじゃない?そうなると、魔王様の領地が減っちゃうのよ!しかも今、勇者がお金に困ってて魔物をいっぱい倒してるんだってさ!なんか強い武器や防具を買う為に、倒した魔物の耳とか羽とかナイフで剥ぎ取って売ってるんだって?マジ、勇者ヤバいんだけど!サイコパスじゃない?」
「お前らうるせーぞ!
人の仕事をとやかく言う前に自分の仕事終わらせろや!」と2人揃って怒られた。
(俺もゲームで確かにドロップアイテムで大して高くないけど耳とか売ってたな、、素材によっては薬になったりするし。確かにこっちサイド(魔物側)から見たら仲間の耳剥ぎ取ったり羽をむしり取ったりする勇者はサイコパスに見えるわな)
絶対に回してほしくない仕事
第1位は【勇者が倒した魔物のデータ入力】に決定しました。
「ちなみに、今僕が入力してる数字はなんなんですか?」俺は素直な疑問をぶつけてみた。
「・・・・・・」数秒間の沈黙。
「あのー?このすうじ」
すると食い気味に
「今は知らない方が身のためね!」
そういって自身のパソコンの画面を見始めた
彼女はパソコンで皆んなの呟きサイト
【ツブヤッキー】を見ている。
そしてニコニコしながら自身も呟いている!
「この魔物かっこいいなぁ❤️」
そう!書きこむんじゃなくて本当に呟く!
画面からは小さい音量で
「もー少し、もー少し、ぬぉーー!」と吐息交じりの声が聞こえる、
(そんな声が聞こえたら、そりゃみるよね。健全な男子なんだから)画面を横目チラッと見ると、
ベンチプレスを上げている筋肉ムキムキのミノタウルスの動画だった!
(俺の淡い期待を裏切られた気がした)
それから俺は流れてくる「もーーー!」を気にせずに
わからないデータを永遠と入力している。
皆様には少しだけ、お見せしましょう。
----------------------------------------------
スライム 3,564,132/196,432,780
ウルフ 948,154/313,457,572,431
ハーピィ 764,359,824/39,453,194,289
ゴーレム8,593/1,270,309,487,000
----------------------------------------------
こんな感じのが永遠とA4用紙100枚以上あります。
ね?意味わからないでしょ?
現在、20枚終了。いい調子だ!
(これなら17:30まで終わらせれるな!?)
モンスターの名前とよくわからない数字だけが並んでいて、なんの資料かも教えてもらえないものをひたすら入力する!
カタカタカタカタカタカタと入力していると
怒っていた方の隣の人が話しかけてきた。
「お前の仕事なんなんだよ」
俺は資料を見せながら
「これなんですけど、なんの資料なのでしょうか?」
資料を見るや否や目をそらし、頭を掻きながら
「ごめんよ、話しかけて、集中した方が良いぜ!
ひとつだけ言える事は、今ある分が全部だと思わない事だな!」
そう言ってまた、自分の作業を始めた。
ちなみに彼の名前はゴブリンの【田中さん】右隣
常に雑用を押し付けられてる怒りっぽい性格
左隣の人はサキュバスの【石田さん】
情報通の色っぽい目のやり場に困る服装の女性
2人は5年以上働いてるベテラン
ゴブリンの田中さんは
2年前から倒された魔物のデータ入力をしているらしい、勇者が新しい村に行くと毎回、1週間は帰れないと言う。
サキュバスの石田さんは
データ入力している様に見せてるだけで、ずっとSNSをしている。仕事をしてないのに、毎回定時で帰るという、謎の1人
「もうすぐ12時だー!」
何処からともなく声がする。
「食堂飽きたよー、」
「あそこしかないだろう」
「人の肉が食いたいよ!」
(俺の聞き間違い???)
「確かに20歳ぐらいの人間食べたいよなあー!」
「少し筋肉があるほうが食べ応えがあっていいよな!」
はい!バレたら食べられるヤツーー!
よくアニメとかで見る【バレたらダメだからな!】のやつー!
この先の会話は怖くて聞けなかった、、
この人たちのご飯ってなんなんだろ。
それはまた次のおはなし!
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
【山田】バレたら死ぬという恐怖を獲得。
【山田】両サイド人との交流度を10%あげた。